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野生生物を調査研究する会活動記録

特定非営利活動法人 野生生物を調査研究する会の会員による活動記録です。

猪名川上流の水生生物

2018-07-17 | フィールドガイド--水生生物--

猪名川上流奥猪名健康の里で捕まえた水生生物です

シマゲンゴロウ(準絶滅危惧(NT))

止水性のゲンゴロウでため池、湿地、水田などに生息する。5〜7月頃は幼虫で、夏以降に成虫として見られる。

フタスジモンカゲロウ

河川上流でふつうにみられるモンカゲロウ。砂泥底に潜っている。6~8月に羽化し、森林内をよく飛んでいる。

タイコウチ

カメムシ目タイコウチ科に属する水生昆虫。体が扁平で、全体に暗褐色でほとんど光沢がない。前足を動かす仕草が太鼓を打つのに似ていることから、この名前がついた。

ガガンボ

成虫は『大蚊』という字をあてるように、蚊を一回り、二回り大きくしたような形態をしています。蚊のように人間を刺すことはありません。
幼虫は芋虫のようで、土の中で植物の根を食べて成長する。


カクツツトビケラ

中上流部に生息するトビケラの仲間。幼虫は枯れ葉の堆積した場所に生息しています。食性は雑食ですが、落ち葉やその上に生える藻類、生の葉を主に食べます。

ウルマーシマトビケラ


中上流部に生息するトビケラの仲間。 体は全体的に褐色で、腹にはふさふさしたエラがたくさん生えています。落ち葉や藻類を食べます。

 


国際協力 アマゾン自然学校前夜2003年

2018-07-17 | 野生生物を調査研究する会歴史

JICAの広報誌に 「FRONTIER」がある。2003年7月 NO.48に当会のアマゾン自然学校の打ち合わせの様子が載った。

記事は以下の通り

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身近なアマゾン
二人三脚でつくり上げるNPOとの連携協力

午後6時、兵庫県のNPO「野生生物を調査研究する会」(以下、野生生物の会)の理事長・今西将行さん、理事・黒田明彦さん
、林建佑さんが、JICA兵庫国際センター(HIC)の会議室に現れた。同会が提案した「アマゾン自然学校プロジェクト」が、
草の根技術協力事業(草の根協力支援型)案件として、採択に向け、大詰めの調終に入っている。
 同会は、多くのメンバーが兵庫県職員や教員といった仕事をもちながら行動をしている。もともとは兵庫県の河川流域が
メーンフィールドで、地元の野生生物の調査、研究をもとにガイドブックやカードなどの教材を作成して、流域の小中学校での環境教育を促した
り、教員や一般市民を対象にした環境セミナーを開催したりしてきた。
 今回の自然学校プロジェクトは、JICAの支援のもと、ブラジル.パラー州で現地に適した教材をつくり、自然学校を開いて環境教育を行うもの。
同時に、教材を使って森林インストラクターを養成することで、継続して現地で環境教育が実施できるようにするという。
そのため、トメアス文化協会とともに現地調査などを行う。HICにとっては、2件目の草の根協力支援案件(NGO/NPOによる3年以下の事業が対象)
であり、草の根協力支援型としてアマゾン地域で実施される初めての案件となる。
 
夕方から始まる会議

「みなさん仕事をおもちなので、会議はいつも夕方からなんですよ」とHIC業務課の阪本真由美さんはいう。
今の会議は、野生生物の会から、経費積算方法などについて質問がなされた。
ざっくばらんにみなが意見を述べあう姿に、NPOとセンターの間に信頼関係が育まれている様子がうかがえた。
 それもそのはず、こうした会議は、野生生物の会が草の根技術協力事業の相談に初めてHICを訪れた昨年秋から
頻繁に行われてきた。草の根協力支援型は提案団体とJICAが話し合いを重ねながら、その提案内容を問めていくところに特徴がある。
手間暇のかかる面もあるが、両者がじっくりと検討を加えることで、無理がなく、持続的な効果が期待し得る活動計画を作り上げることができるわけである。
 「JICAで仕事をしていると、先方政府との協議を通しての協力スキーム作りが中心となり、本当の現場の顔が見えにくい一面があります。
でも『草の根』は現場の息吹が感じられるところが魅力の1つで、現地で活動したい、と意欲に燃える人たちとのふれあいを通して、私自身が学ぶことも多いんです。
NPOのみなさんの真摯な姿を見ると、夢の実現のために自分もできるかぎりのことをしたくなります」と阪本さんは語る。
心をつかむ教材を
野生生物の会がブラジルでの活動を思い立ったきっかけは、同会のメンバーである京都大学農学部の林さんが(社)日本ブラジル交流協会の研修制度を利川して、2001年4月から1年間、ブラジルで林業研修をしたことだった。
林さんは、小さいころから自然や熱帯雨林に関心が強く、同会には、高校時代の恩師が参加していたこともあって入会した。
 林さんがメールなどで送ってくるブラジルレポートに触発され、今西さんたちも2001年夏、ブラジルを訪問した。
 「たとえば、現地の木材は多くが無駄になっており、木が次々と伐採されている。資源は無限にあると思っている人も多く、そんな人たちに環境の有限さ、
 環境保全の大切さを伝えたいと思いました。滞在でお世話になったトメアスの人たちも、ブラジルで環境教育を行いたい、という気持ちをもっていて、
 意気投合しました」と今西さん。当初は、ブラジルにまで活動を広げることに反対する会員もいたが、5月中旬の総会では、プロジェクトの実施をめざ
すことが全会一致で採択された。
 小規模でも、特定の分野で高い技術や経験をもち、これから国際協力を積極的に展開していこうとするNPOやNGOは少なくない。
そんな団体にとって、草の根技術協力事業の草の根協力支援型はいい足がかりとなるかもしれない。 
 HICの神谷克彦業務課長は、こうエールを送る。「野生生物の会は、これまでほとんど海外での経験はありません。
しかし、彼らがすばらしいテキストを作りだし、子どもたちが環境について興味深く考えることができるよう、さまざまな創意工夫を吸れていることに注目しています。
郷土の自然と教育という、2つの現場を熟知していることも感じます。ブラジルでもぜひ、人々の心をつかむ教材を編みだし、環境教育を軌道に戦せていただきたい。
JICAとしても、資金面での支援だけでなく、さまざまな角度からバックアップをしていきたいと思います」。
 
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この経過がありアマゾン自然学校が実現した。

子どもの本がおもしろい⑭ヒートアイランドの虫たち

2018-07-17 | 資料を読む

高温注意情報が頻繁に出るようになった。熱中症の危険があるので水分補給を十分にとるようにとニュースで注意をよびかける日が続く。今回は熱い日本の特に都市部でしたたかに生きる昆虫を紹介した本だ。

 

ヒートアイランドの虫たち 藤原幸一著 あかね書房 2014年

 

京葉工業地帯、工場が立ち並ぶヒートアイランドの地域で生きる昆虫の世界を紹介。こんなところにいるのかとびっくりする。

オオカマキリ、クマゼミ、ノシメトンボ、ショウリョウバッタ、ヒメハキリバチ、スズメガのなかま、アオスジアゲハ、ツマグロヒョウモン、ナナホシテントウムシ、セイヨウミツバイ、カブトムシ、コクワガタを紹介している。

 

梅雨明けから関西の公園でなくクマゼミ、九州や南西諸島の一部にいたのが、今では関西で午前中にうるさくなくセミで、今では東京でも鳴き声が聞こえ始めたそうだ。日本のセミの中で一番うるさいセミだとおもう。それが、南方のクマゼミが北上してヒートアイランドになった東京でも聞くようになったのは温暖化のせいであろうか。

昆虫の場合は、食草がないと育たない。アオスジアゲハの食草はクスノキ、街路樹になっているので、亜熱帯出身の蝶でもいきていけるのだ。

ツマグロヒョウモンも関西ではパンジーを食草にして、都市部でみられる蝶の一つ。それも、1990年以降にふつうにみられる蝶になった。

植物でも、シュロを紹介している。関西では昔の人はシュロを家の周りに上生活の道具をつくっていたのだが、東京でもどんどん増えやすくなった。

一番心配されるの遺伝子の保存。神奈川県で、日本のクワガタと外国産のクワガタの遺伝子が混じった個体が見つかった。温暖化で熱帯の昆虫が日本で生き延び、交配可能である証拠である。

このように、あたたかくなっていままで見られない生き物が増えたことは何を意味するのだろう。どこにでも生きようとする生命力をこの本から伝わってくる。

あとがきで、インドネシアのこどもたちが昆虫が金になるので学校に行かないで昆虫採取をして家計をたすける話がでてくる。温暖化で昆虫がほくじょうするだけでなく、ヒートアイランドから海外の子どもたちに影響を与える日本、こんなことまでつながっていることを筆者がいちばん伝えたかったことかもしれない。