さこういっぱく

「左後一白」は名馬の証です!

愛馬物語26

2010-08-14 | 愛馬物語
続き:愛馬8頭(ホルダー/1勝、イノセント/1勝、パスワード/1勝、チャプター/未勝利、フォートレス/未勝利、ラヴリー/未勝利、リベラル/未出走)

パスワードの勝利から待つこと約半年、歓喜の瞬間がやってきた。主役はシルクチャプター。岡部騎手を背に新馬戦で追い込んで2着も、次走取りこぼし放牧に出ていた。復帰戦は未勝利馬を抱えている身にとってはハラハラしだす時期である。舞台を中京に移し、距離も1700mに延長した。放牧明けではあったが、メンバー的に抜けた馬も存在せず、3番人気に支持される。鞍上は2戦目同様若き藤岡祐。
復帰戦ということもあり、不安がよぎったが、いざレースでは2番手を進み、全く危なげない走りを披露。3角では勝利を意識したほどの安定感、4角から直線入口ではまだ持ったまま。もう既に勝利を確信していたが、あとは何馬身ちぎるかが焦点となる。終わってみれば5馬身差の圧勝。通常愛馬が優勝する時は直線で声が出るものだが、この時は愛馬が惨敗した時同様、全く声も出なかった。ただ、顔は緩みっぱなしだったのは言うまでもない。元々、北海道で1歳時のチャプターを見た時、あまりの素晴しさに見学者一同感嘆したくらいの素材。3歳6月のローカル未勝利を勝ったくらいでは驚けないという自信もあった。

その1週間後、パスワードの復帰戦となる。パスワードもチャプター同様、未勝利快勝後に凡走し、放牧に出ていた。舞台は阪神500万下D1400m。復帰戦がいきなり古馬との初対決となった。このレースにはうちの大将格であったシルクホルダーも参戦。ホルダーは骨折から復帰を目指していた矢先に屈腱炎を発症。約1年半年振りに復帰することになっていた。パスワードの鞍上は赤木、ホルダーは小牧と両馬とも地方出身騎手で挑むことになる。パスワードは鮮やかな未勝利勝ちが影響してか3歳馬にも関わらず1番人気に支持され、ホルダーは屈腱炎による長期休み明けもあり、ブービー人気(15番人気)であった。

私としては「初」の愛馬対決に複雑な心境であった。パスワードについては調教内容から、勝ち負けを意識できたが、ホルダーはとにかく無事に回ってくることだけを願った。実績からはホルダーも負けていない、十分勝負になるとは思っていたが。
レースでは序盤パスワードもホルダーも同じような位置取りを進み、両馬とも楽に追走している。ただ、勝負どころに差し掛かったとき、パスワードは押し上げていく一方で、ホルダーはついていけない。さすがに長期休み明けが堪えたか?そして4角をもったままでパスワードが直線に向いていく。パスワードにとっては完全なる勝ちパターンに持ち込めた。その頃ホルダーは既に画面から消え、後方を追走していたと思われる。ここに新旧世代交代が愛馬内で繰り広げられたと思った。ホルダーはともかく、パスワードの勝利はもう目の前にあり、秋に向けての第1歩を踏み出した・・・と思ったその時、外から猛烈な末脚で追い込んでくる1頭がいる。ホルダーか!?思い起こせば、ホルダーも強烈な末脚を披露したことがあった。しかし、残念ながらホルダーではなく、9番人気の伏兵ミッキーシャーマンであった。この瞬間手のひらにあった「勝利」の文字が跡形もなくこぼれていった。パスワードの上がりより約1秒も早い末脚を繰り出したミッキーシャーマンに脱帽だ。パスワード自身の上がりも2番目ということを考えると、このレースでミッキーシャーマンがいかに次元の違う豪脚を披露したかが分かるであろう。パスワードは残念ながら2着に終わった。
一方のホルダーはさすがに疲れたか、大差の殿負けに終わった。こんな馬ではない。何かあったんじゃないか?という不安が後に的中することとなる。

さて、このレースで負けたとはいえ、強い競馬を見せてくれたパスワード。3着馬以下にも差をつけていた。この条件では明らかに格上だと思われた。実はこのレースで子ども扱いにした馬の中に後のG1ホースであるエイシンディピュティがいたことが後に判明する。条件は違えど、パスワードは後のG1ホースをも撃破していたのだ。当時のパスワードは明らかに輝いていた。

シルクホルダー、2歳時にはいきなり新馬戦で勝利し(同日2頭出し2連勝の片棒を担いだ)、500万下ではもがき苦しむが、見事な脚質転換で勝利はできなかったものの、あと1歩(いや、あとハナ差)まで頑張った。元々ノド鳴りの持病を持ち、骨折の後に屈腱炎を患い、漸く復帰に至ったものの、このレースでまたも屈腱炎を発症。まさに満身創痍でこのレースを走ったことになる。結果引退レースとなってしまった。ここまで良く頑張ってくれた。新馬戦の逃亡劇が目に焼きついている。

ホルダーの引退はあったものの、チャプターが勝利し、パスワードが結果を出したことで、ラヴリー・フォートレスはもがいていたものの、より一層楽しみが増えた。一方で、更なる楽しみがこの時徐々に進行していたのだ。シルクエディフィスの復帰である。未勝利を勝てず一時JRAを引退し再ファンド扱いとなり、園田競馬で走っていた彼がいよいよ戻ってくるのである。晩成の血が騒いだか、園田では4戦4勝のパーフェクトな成績を引っさげてJRAに殴りこむ準備を進めていた。

そして、新たに募集が開始になる時期でもある。個人的には人生の転換期を迎えていた2005年。前年から新規出資を大きく削って(シルクリベラル1頭のみ)いたので、今回も1頭入魂!の思いで、シルクからのパンフレットを待っていた。

続き:愛馬8頭(エディフィス/未勝利、イノセント/1勝、パスワード/1勝、チャプター/1勝、フォートレス/未勝利、ラヴリー/未勝利、リベラル/未出走)