思考の7割と収入の3割を旅に注ぐ旅人の日々

一般的には遊び(趣味)と見下されがちな「旅」も、人生のなかでやるべき「仕事」である、という気概で旅する旅人の主張と報告。

姫路にて、一般観光コースではない男ふたり小旅  

2007-01-14 22:22:26 | 自分の旅話(非日常)

13日、兵庫県は姫路市北部の書写山を登りに行ったり、日本国内では早々と世界遺産に登録された姫路城の付近を散策したりした。しかもこれは単独行ではなく、2006年12月1日と2日の投稿にもある、僕の地元の関東で対面した関西在住の出がらし紋次郎氏(以下、出がらしさん)の案内で行動した。
先月は僕が慣れている関東、今回は出がらしさんが慣れている関西、で歩くことになり、サッカーで言うところのホームアンドアウェイ方式のような感じでそれぞれの特定の地域を偶然、2か月連続で巡ることになった。

まず13日の10時に、JR姫路駅から路線バスで30分ほど北へ向かい、終点の書写山ロープウェイの山麓駅で出がらしさんと集合。2か月連続で会うため、特に仰々しい挨拶もなく、なんかしょっちゅう会っているような感覚でふたり出揃い、すぐに登山開始(彼と会うのはまだ2回目なんだけど)。ふたりとも歩きにこだわっているため、ロープウェイなんぞは使わない。駅から少し南側に回り込んだところに登山道の入口があり、ゴツゴツした岩ばかりの道を登る。だが、よく踏まれているために歩きやすい。
天気も背後の眺めも良く、関東のようにスギの人工林で覆われているわけでもない開放的な雰囲気があり、絶好の歩き日和ですな、とほくそ笑みながら1時間もかからずにロープウェイの山上駅とその先にある円教寺の入口に着いた。
大半の観光客は、山を登るというよりはここにある西国三十三霊場の第二十七番札所である天台宗円教寺を目指すのだが(正字では「書寫山圓教寺」と書く。難しい)、まあ僕らもせっかく来たので、というか入山料300円を払わないと先へ進めないので、参道をほかの観光客や登山者とともにさらに進む。
そして970年創建の摩尼(まに。梵語)殿に入り、お参りし、寺の内部や床の建てつけをじっくり観察し、ここを訪れた人たちが書いた絵馬の記述に苦笑したりしながらしばらく過ごす。

そのあと、さらに西側の大講堂(国指定重要文化財)に行く。この南側こある食堂(じきどう)では以前に映画『ラストサムライ』の撮影が行なわれ、ここにトム・クルーズも来たことがある! という触れ込みで各種パンフレットでも目立つように案内しているが、たしかに見栄えの良い建物で、外国人が好むのもよくわかる風情があった。あと、ほかの芸能人で言うと、香取慎吾(SMAP)も以前にテレビ番組か何かで円教寺周辺を訪れたことがあるそうで、そのロケで何をやったのかは知らんが、やはり姫路市内では近所にある高校野球の強豪校である東洋大姫路高と同様に対外的にここは有名な場所なのね。

さらに、ここから西のほうの、物好きな登山者でなければほとんど通らないであろう山道を下り、途中で昼食を挟みながら、14時前に刀出バス停に出た。
実はこのふたつのバス停の区間は旧環境庁の長距離自然歩道のひとつである「近畿自然歩道」のコースにも設定されていて、その類の案内板や指導標もあったのだが、訪れる人にはあまりこの事実は(他地域と同様に)認識されていないようだ。ここはおそらく近畿のなかでも有名な見所なので特に早い段階で整備されたと思うが(それは案内板の署名が現行の「環境省」ではなく旧来の「環境庁」のままであることでわかる)、これは環境省の広報のやり方にやや問題があるため、まあ仕方ないか。などと思いながら姫路市中心部へ向かうバスに乗る。

で、次は出がらしさんもよく行く野外用具店「ADD SPORTS」に行く。ここはICI石井スポーツや好日山荘のような本格的な登山にも対応する、という感じではなく身近な山で遊ぶ人向けの商品が並んでいたが(それでも冬遊び道具ではピッケルやスノーシューなんかもあった)、それでも小物も含めて店舗面積のわりには結構充実していて、驚いた。そういった全国展開のチェーン店ではない、愛媛県松山市の「コンパス」や熊本県熊本市の「シェルパ」のような地域密着型の店ですな。
また、ここ主催の登山教室も関西圏の山を中心に頻繁に行なわれていて、今の時期で目立つところでは冬の大山や氷ノ山にも行くようだ。またそれ以外にも、毎週末の朝7時に店の前に集合して、参加費も登録も不要で近場の山を半日歩く、という初心者向けの企画も実施していて、面白い。
野外用具店には一家言ある僕としても、なかなか良い店であった。実はここ、店名自体は10年以上前から知っていて前々から興味はあったので、今回訪問して、店内は土足禁止で入口で靴からスリッパに履き替えることを珍しく思いながらも、2階建ての店の内部をじっくり観察できて良かった。姫路を再訪するさいはまた行こうっと。

さらに、ここから徒歩で行ける姫路城のほうへ向かい、出がらしさんの持っている姫路情報を聴きながらその付近をゆるゆる歩く。道中では、銭湯・コインランドリーの位置や野宿に適した場所のような野宿派ならではの細かい情報を教えてもらいながら進んだ。“出がらしエイブル”というか“出がらし21”というか“出がらしハウス”というか、まさに地元不動産屋のような感じで野宿適地をいくつか斡旋してもらった。姫路城の「世界遺産」という巨大な冠に迎合した土産物店や小粒な観光名所には目もくれずにそういうふうに男ふたりで野宿談義をしながら歩く様は客観的に見るとヘンかな、とも思ったが、まあよい。こんな小旅もあってよいのだ。
それから姫路城の東側にも行き、辛うじて空襲に遭わずに済んで現在も古めかしい建物が残っている通りも練り歩いた。

で、最終的には姫路駅前の商店街のなかにある居酒屋に入り、打ち上げというかお疲れ会となった。ちなみに、姫路ではおでんの特徴として、おでん種を生姜醤油につけて食べる、という風習があるそうで、駅前の観光案内所でもそんな手法によるおでんが食べられる店の案内図も配布していた。最近、それを姫路観光の新たな売りのひとつに仕立て上げているようだ。僕らもそのおでんを試してみたが、具材は関東とあまり変わらないので、生姜醤油につけたとしても味にたいした変化はないかな、と改めて飛び上がって驚くような味ではなかったが、まあ寒いなか歩きまくったあとに暖かいものを食べればなんでも美味いので、とりあえずは美味いということにしておこう。

出がらしさんと酒席を2時間強ともにして、21時すぎに解散となった。彼を見送ったあと、早速僕は先程の暗くなる前に斡旋してもらった野宿場所に向かった。最も照明の当たらない場所で寝袋を広げ、彼に別れる前に餞別としてもらったワンカップの清酒やつまみをいただきながら(出がらしさん、これらにはかなり助けられましたよ)、他地域の城と同様に当然ながら姫路城でも行なっている城の夜間ライトアップを眺めながら、快晴の夜空のなかで寝に入った。ちなみに、前日と前々日も大阪府大阪市の大阪城公園で野宿しているため、3日連続野宿となった。

姫路に来たら姫路城しか見に行かないような一般的な観光客はおそらく見落とすであろう細かい事象に歩きながら触れることができて、とても楽しい1日であった。

ただ、この姫路市内の行程自体は楽しめたのだが、それ以外にひとつだけ悔しい思いをしていることがあって、実は姫路入りする前の12日夜に、京都府京都市内を歩いているときにデジカメを地面から1mほどの高さからうっかり落としてしまい、レンズが動かなくなり、使用不能となった。というわけで、本来であれば普段はこのような道中では写真をガンガン撮りまくるのだが、この日の行動に関しては写真が1枚もない、というのが残念である。先日の「福男選び」などの撮影済みデータは辛うじて生きているが、んー、当たり前だがカメラは大事に扱うべきだな、と反省した。写真好きがカメラを失うと、真っ白になった矢吹丈(もちろんマンガ『あしたのジョー』ね)のような燃え尽き症候群に陥るため、改めて、カメラの扱いには充分気を付けましょう、という忠告もしておく。
写真を撮るために、そんなに遠くはないうちにぜひ再訪したいものだ。

ちなみに、後付けした上の写真は、書写山の円教寺の入山料を払って入山してすぐのところにあった鐘を打ち鳴らす僕(撮影:出がらし紋次郎氏)。人生のなかでこのくらい大きな鐘を打ち鳴らす機会ってめったにないと思うのだが、今回は僕の前に出がらしさんも打っていたため、そのノリで僕も人生2、3回目の鐘つきを行なった。こういうことはもし単独行であれば恥ずかしくて絶対にやらないところだが、複数人で行動するときは何の臆面もなくできたりする。これは複数人で行動することの利点であるね。

本ブログで自分以外の方が撮影した写真を載せるのは今回が初めてだったのだが(当然、本人に了承を得ている)、今後はこのような他人の写真を借りる機会もあるだろうから、僕と関わっているもしくは今後関わるかもしれないみなさん、そのときはよろしく。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿