夏ゆれて葉陰にうかぶ青春のわすれ形見のいとしきすずらん
花ごよみがそれぞれの想い出を浮かべさせてくれて
巡りあう人々や浮雲を過ぎらせて
葉陰がゆれるとすずらんがそっと顔を覗かせる。
何の疑いもなく
愛が愛として恐れずに表現したあの頃が揺れては消える。
汚れなき青春の澄んだ心がすずらんに揺れて愛しい。
苦しみも悲しみも乗り越えられた歌
山のあなたの空遠く
カール・ブッセ
上田敏訳 『海潮音』より
山のあなたの空遠く
「幸さいはひ」住むと人のいふ。
噫ああ、われひとと尋とめゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸さいはひ」住むと人のいふ。
生涯歌い続けた歌を今も口ずさむ
青春の花や歌が生きる支えとなって今も胸底に
熱く・・熱く燃えて居る。
愛が愛であることを信じて・・
真白なすずらんがそう言った。
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