「野良ネコには絶対にエサをあげないで!」
ハワイ当局が必死で訴えるそのワケは…
2022年5月1日(日)
ハワイに観光などで訪れた際に絶対にしないでほしいこと、それは「野良ネコにエサをあげること」だそうだ。
地元の国土天然資源局(DLNR)によると、ハワイ諸島の野良ネコたちは、伝染病をまき散らしたり、捕食するなどして、ハワイ固有の野生動物を危機的状況に追い込んでいるという。
(「ラナイ・キャット・サンクチュアリー」のツイッターから)
同局海洋生物部のライアン・ジェンキンソン博士は「野良ネコはハワイの固有種にとって信じられないほど破壊的な影響を及ぼす動物なのです」と注意を喚起する。
ジェンキンソン博士によると、特に深刻な影響を受けているのがハワイモンクアザラシ。
ネコに食い殺されるわけではなく、ネコを宿主とする原虫疾患「トキソプラズマ症」に感染して、大量に死んでいるという。
排泄物に含まれる卵母細胞が川などから海に流れ込み、アザラシが感染する。
「これが海の哺乳類にすさまじい影響を及ぼすのです。最悪なのがメス、特に妊娠したメスが感染しやすいことです」
トキソプラズマ症は、人間が野良ネコと接触することでも感染する恐れがあるので注意が必要だ。
脳機能に「それ相当の」影響があるという。
またジェンキンソン博士によると、「信じられない数の野生の鳥が野良ネコに捕食されている」という。
特に地上に巣を作る海鳥がネコのエジキになっている。
絶海の孤島だったハワイ諸島には、もともとネコが生息していなかったため、固有種にはネコに対する防衛本能が備わっていない。
そのせいで被害が深刻になっているという。
ジェンキンソン博士は、野良ネコにエサをやると繁殖して問題がさらに悪化するので、絶対にやめてほしいと訴えている。
「みんなネコが大好きなので、本当に難しい問題です」
ところでハワイのラナイ島にはNPOが運営している「ラナイ・キャット・サンクチュアリー」という「ネコの楽園」がある。
2004年に愛猫家の女性が創設した施設で、保護されたネコ数百匹が収容され、誰でも自由にネコと触れ合うことができる。
午前10時から午後3時までオープンしていて、入場料はなし。
DLNRも「ネコ好きの人はぜひここを訪れて、心ゆくまでネコと遊んでほしい」と訴えている。
いずれハワイに行こうと考えている人は、いくら可愛くても野良ネコにエサを上げるのだけは絶対NGであることをお忘れなく!