国際セラピードッグ協会が愛媛県に
2011年6月11日 読売新聞
殺処分寸前の捨て犬を訓練し、セラピードッグに育てている国際セラピードッグ協会(東京)代表で音楽家の大木トオルさん(米国在住)が講演のため来県。
連携しているNPOえひめセラピードッグの会(村上恵子代表)の会員と県動物愛護センター(松山市東川町)を訪問、同会を通じて収容中の雑種1匹を9日に引き取った。
この犬は10日に殺処分が予定されていた。
摂食障害もあったが、会員宅で療養させた後、同協会がトレーニング施設(千葉県)で育成し、愛媛初の動物介在療法のセラピードッグ誕生を目指す。
(名和川徹)
大木さんは、村上さんらの招きで4日、犬を指示するハンドラー4人、認定している4匹と共に来県し、松山市内のデイサービスセンターでお年寄り約40人と交流。
5日は同市道後町のホールで講演し、国内第1号のセラピードッグとして活躍し、5年前に死んだチロリとの思い出を語り、「捨て犬・猫をなくし、殺処分をゼロに」と訴えた。
滞在最終日の6日、県動物愛護センター(渡辺清一所長)を訪問。
殺処分の現状など聞いた後、同センターがガス室などを公開することで、飼い主に終生飼育への責任感を持ってもらおうとする努力を高く評価した。
大木さんは訪問の最後に、殺処分が予定される犬の収容室へ。
悲鳴にも似た鳴き声をあげたり、身構えたりする犬の中から、部屋の隅で震えていた1匹に、「いっぱい、つらい目に遭ってきたんだね」と静かに語りかけていた。
この日は滞在できる時間がなくなり帰京したが、同協会が同会を通じて引き取り、育成することにした。
この犬は今月初旬に南予地区で捕獲され、収容された。
雌で2、3歳とみられ、捨て犬か野犬かは不明。
獣医師に診てもらい、会員宅で療養させた後、同協会がトレーニングする。
期間は2年半から3年程度かかる。
犬は「みかん王国」の愛媛にちなんで、「みか」と命名された。
犬・猫の殺処分をなくそうと、昨秋に同会を設立した村上さんは「引き取り時はとてもおびえ、体調も心配したが、獣医師に診せた頃から落ち着きを取り戻しつつある」と見守っている。
同協会は千葉県を始め、福岡、青森県などからの犬たちを訓練。
現在31匹を認定し、他に約30匹が実習中だ。
大木さんは「みかを立派な子に育てたい。全国の動物愛護センターを、捨て犬を社会貢献するセラピードッグに育成するところ〈学校〉に変えていきたい」と語った。
国際セラピードッグ協会のワンコ達の活躍
http://ameblo.jp/japandisasteranimals/entry-10911320017.html
講演会で車いすを使いセラピードッグの訓練を実演する大木さん(5日)
収容室で「みか」に声を掛ける大木さん(6日、県動物愛護センターで)
来県したセラピードッグたち。
このコたちは皆、元捨て犬で殺処分寸前の5日目にレスキューされた。
みかちゃん
殺処分された犬たちの首輪。
この中の一つが、愛媛県動物愛護センター渡辺所長よりみかちゃんに与えられた。
NPOえひめセラピードッグの会ブログ:http://blog.goo.ne.jp/ehime-therapydog