TOKIDOKI 日記

日々のなかで、「へぇ~」「ふぅ~ん」と思った、
私につながるステキなコトやモノ、そしてヒトたちの記録です。

八方尾根~唐松岳/フラワートレッキング 前編

2012-08-03 | 写真日記

梅雨明けを待って、後立山・唐松岳~五竜岳を歩こうと計画したものの、梅雨明け後も天気は
芳しくなく、期待の高気圧は下方で足踏み状態。予定をずらし、天気予報のaマークが出た
26日の前日に白馬に向かった。25日はの予報だったので、現地に着いてから空の様子を
見ながらコースを考えることにして、とりあえず唐松岳を目指す。
自宅出発02:08、白馬駅到着06:30、駅構内にある案内所でゴンドラ割引券を購入。
さて、駐車場はどこだろう?? 細い入り組んだ道をカンを頼りに走っていくと、建物の陰に数台
クルマがとまっていたので行ってみると、そこが第3駐車場だった。


ゴンドラ乗り場周辺にいくつかある無料駐車場のひとつ 
第3駐車場は、トイレもある広い駐車場で、平日の早朝なので余裕たっぷり。乗り場まで徒歩7分くらい。
ゴンドラ乗り場にも有料の駐車場がいくつかあって¥500。

ゴンドラ・アダムに乗って兎平へ。

  

兎平からはリフトを乗り継いで八方尾根へ。リフト乗り場で売られている花図鑑1枚¥100
八方尾根に咲いている花が日にちごとに印刷してあるので、これがあれば花の名前がすぐわかる。

 

 リフトの下は お花畑
シモツケソウ、クガイソウ、コオニユリ、ヤマブキショウマなどなど。花畑の上を低く通過
していくリフト、さわさわと花が足の先に触れて、なんかチョウチョになったみたいな気分

二つのリフトを乗り継いで降り立った八方池山荘の標高は1,830m。
ラクチンに運んでもらって、かかる時間はわずか30分ほど、助かります(*´∀`*)
ここから唐松岳(2,696m)まで標高差約900m、CTは4時間30分。

リフト乗り場と赤い屋根の八方池山荘。山荘前から道は登山道と散策路の二手に分かれる。
画像は登山道で石ゴロの尾根道。散策路は木道で、尾根をトラバースして合流。

八方尾根は蛇紋岩による特殊な地質のため花が豊富で、ここだけの特産種も多い。
八方池まで自然研究路となっていて、約300種の花が見られるという。

 

  

素晴らしい花の稜線、歩きだす足元には花がいっぱい まず目に飛びこんできたのは
濃いピンクのイブキジャコウソウミヤマママコナ
ママコナとの違いは花喉部分の両側が黄色とのことで、たしかにそうだった。

 

アマニュウ、キバナノカワラマツバ、イワシモツケ、シモツケソウ、

  

ミヤマアズマギクタテヤマウツボグサは最盛期なのかやたら見かける。

 

初めて出会う花も多く、
なかでもハッポウタカネセンブリは 
見るのを楽しみにしていた。意外にも八方尾根のあちこちに咲いていたので、なるべく
風の影響を受けない場所を選んで撮影するも、すっごく小さい花ゆえにピント合わせが
難しい。マクロレンズじゃないと上手く写せないや、、(*´д`*)

こんなもんで精一杯なのだが、ルーペで見たらその繊細で手の込んだ花の美しさを堪能できる。

 

これも見たかった花 
ムシトリスミレ。スミレの名がついていてもスミレの仲間ではなくタヌキモ科。
花の中に昆虫を誘い込んでパクパク食べてしまうのかと思っていたら、
そうではなく、粘液を出す葉にとまった虫を捕まえて消化吸収するそうだ。
葉で虫を溶かしてしまうのか?その現場を見てみたい。

 

曇り空からパラパラと雨が降り出してきて、傘を出そうか迷っているうちに雨が止む。
雲が広がっているけど、本降りにはなりそうもなく、花を撮りながら歩くにはちょうどいい
天気でとても涼しい。

花が途切れることなく咲く自然研究路、ニッコウキスゲもちょうど見頃で、
キスゲの先にはワタスゲの湿原、その向こうに雪渓が見えてきた。

 

  

雪渓が残る木道沿いにはユキワリソウ、ミヤマダイモンジソウ、チングルマイワカガミ
ハクサンチドリ、キンコウカ、キバナノコマノツメ、ウラジロヨウラク、クロマメノキ、
ネバリノギラン、etc.etc..と花の路がつづく。

 

方向や位置を示す印が目鼻口に見える大きなケルン、八方ケルン。
1980年12月、逗子開成高校の山岳部生徒5人と顧問の教諭の6人が豪雪のなか、
第三ケルン付近でルートを見失い、一行は誤って沢へ下降、帰らぬ人となった。
捜索が打ち切られ、翌年5月に遺体が発見された痛ましい遭難事故の慰霊碑。

 

八方ケルンを過ぎると、雪渓の上に八方池が見えてきた。

 

真っ青な夏空を映す八方池を見たい 
という思いがあるので、天気がよければ明日もう一度ここへ来ることにする。

 

  

八方尾根には花の名前にハッポウと付く固有種もあって、ハッポウウスユキソウもその一つ。
ミネウスユキソウの変種で、葉が細く上向きにつくところが違いらしいが、よくわかんない(゜д゜)
池の前に咲いていたテガタチドリ、その後ろに見えるエゾシオガマは各所で見られた。

 

ヒロハヘビノボラズ(広葉蛇不登)、へぇ~オモシロイ名前!、そして、と~ってもかわいい花
蛇紋岩地帯に生育する高さ約3cmの落葉低木樹で、花の径は6mmくらい。
幹や枝に3分岐したトゲがあるため、これじゃヘビも登れまい、、ってことで名前が??

 

ゆっくり時間をかけて自然研究路を歩き、八方池に10時近くに着くと、さすがに人が増えてきた。
夏休みとあって子連れファミリーも多い。県内の中学生は学校登山で唐松岳まで登るのが
夏休みの行事としてあるそうだ。7月中は登山道を行くジャージ姿の長い列が目立つ。
すれ違いざまに生徒たちが「こんにちは!」と元気に挨拶してくれるので、こっちも列が途切れる
まで挨拶を返す。楽しそうに山を登る中学生たち、きっといい想い出になるはず。

 

八方池を過ぎると人もずっと少なくなり、ダケカンバの美しい樹林に入る。
紅葉の頃はさぞかし綺麗だろう。

  

樹林の中に一枝だけ咲いていたハクサンシャクンゲ
クルっとカールした花びらに、雌しべも先端がクルンと上向きにカールするミヤマホツツジ
他にクルマユリや名前のわからない花などいろいろ。

 

樹林を抜けると前方に五竜岳が見えてきて、斜面にはお花畑が広がる。
下山してきた中学生たちの鮮やかなジャージも夏山に彩りを添える。。

 ニッコウキスゲやタカネナデシコなど、いっぱいいっぱい。

前を行く外人さんカップル、
きれいなカラーリングでまとめたウェア、短パンからスラリと伸びた足もキレイ
でも~日焼けは大丈夫?、、なんてつい余計な心配しちゃう(*´∀`*)
お二人とも靴はスニーカー、女性は手ぶらというのが羨ましい~

 

  

登山道両側の斜面に濃いピンクの花 オオサクラソウ上の方には群生も見られる。
どの花も咲きたてでフレッシュ

 

そしてお次に登場するは 
シラネアオイ、秘かに期待していた花が咲いていて、キャッうれしいヽ(*´∀`)ノ
かれこれ20年ぶりに見るシラネアオイ、龍門小屋手前の雪渓に咲いていたときのことを思い出す。
雨の中ずぶ濡れになりながら登った朝日連峰、いい山だった。

 

サンカヨウに初めてお目にかかったのは白神山地のブナの森だった。
そのときは名前も知らず、グリーン一色の森に咲く白い花がひときわ印象に残った。

 

      

雪どけが遅れた今年は例年になく花が多いという。ショウジョウバカマもあちこちで花を
咲かせていた。

 

 葉も花も大きい
キヌガサソウも、雪がとけるそばから花を咲かせるので、今年は見ることができてラッキー。

 

中国では民間薬として、日本でも古くは 
胃腸薬として用いられていたというエンレイソウ(延齢草)だが、有毒成分サポニンを含む。
毒にもなれば薬にもなる、適量がダイジ。

 

 地味で目立たないタケシマラン
葉の陰にぶら下がる小さな花は、秋になると赤い実になってブラブラ。

 

初見のオオヒョウタンボク、急いで撮った 
のでアングルがよくない。これだと花が一つに見えるけど、実際は一枝に二つの花が咲いているツィンズ。花は大小の赤い実になり、実は癒着してその形が瓢箪そっくりなので瓢箪木。

 

  

雪渓を渡り、いくらか登ったところが丸山ケルン。

 ビュービューと吹きつける風がたまらず、
ケルンの後ろで風をやり過ごそうと思ったけど効果なし。ほんとうはのんびりしたいとこだけど、
風が強すぎてそうもしていられず歩きだす。日帰りの人のほとんどがここでUターン。

 

辿ってきた稜線を振り返る。陽射しが戻って明るい空が広がった。

 

「綺麗な花が咲いてる!」
その声にソク反応、どれどれと行ってみると、美しい紫色の花チシマギキョウじゃないの

 

高山植物を 
代表する花のひとつにあげられるチシマギキョウ、花に品位が感じられ、惜しげもなくたくさんの
花をつけるところもまた魅力。うっかり見落とすところを、おばちゃんの一言で救われました~(^^♪

 

ハイマツなどの背丈の低い樹木が被う山肌、その根本でひっそり隠れるようにして咲いているのは
ツマトリソウ、ゴゼンタチバナ、マイヅルソウなど、
春の頃よく目にした小さな花たち、

 なかでもヒメイチゲは標高の高いところで多く見られる
ため今回が初見。花の径1cmと小さく、雪どけ間もない場所にちらほら咲いていた。

唐松岳へと標高が上がるにつれ、咲く花も新たな種類が加わり
そんなおりツマトリソウにカメラを向けていたとき、前方で、「ねぇ、これ何かしら?」という声に
振り向いたとき、お互い|゜Д゜)))アッという顔をして驚いた。6月末に黒岳山頂で出会い
偶然にもまたここで再会するとは、、、広いようで世間は狭いとね~。
彼女は70を過ぎているだそうだが、ガシガシ登る様子からはとてもそんな年齢には見えず、
この日も日帰りピストンで唐松岳を登り、明日は立山に登るという。
いやはやヨイ刺激になりまする、、、とても真似できないけど(^^ゞ
次回またお会いしたときには祝杯をあげましょう、そう言いあって別れた。

小屋に早く着いても退屈なだけなので、できるだけゆっくりしていたものの
あたりには人影もなくなり、ガスがたちこめてきたので小屋へ向かう。
鎖やロープが張られた箇所もあったが、よく整備された登山道に危険なところはない。

14:30 真っ白にガスで覆われた唐松山荘着 
中学生は隣の棟におさまり、部屋も大混雑ではなさそうだ。一泊2食付き¥9000也。

  

まだ木の香りがする新しい小屋、部屋は上下段に分かれ、大きめの敷布団一枚に2人づつ詰めて
部屋割りされる。しかし、男女相部屋はなんとかならないものか。着替えもできない。

  

夕食は17:40、水がないためか、お皿を除いて食器は使い捨てを使用。
歯磨き使用時の水も有料。水筒用のお茶は500mlで¥300。

夕食を終えると長い夜のはじまり。曇ガラスかと思っていた部屋の窓、そうではなく外がガスって
いて白くなっていたと気づく。夕陽は望むべくもないか、明日の天気が気がかり。
部屋には関西からの団体さんがいて、賑やかな話し声を聞くともなく聴いてウトウトしてたら、
「わぁ、夕焼けが綺麗!」の声に起こされ窓を見ると、さっきまで真っ白だった枠の中が
夕陽に色づく山の景色に変わっていた。カメラを持って小屋のサンダルをつっかけ外に出る。
外は風が強くやけに寒い。小屋の温度計は12℃。
寒いので、玄関を出たり入ったりしながら夕陽を眺める。

 

ようやく目の前の唐松岳を見ることができた。中学生たちも小屋前に集まって山の夕暮れを
眺めている。毎度見られるとは限らない山でのサンセット。茜色に焼けた空をバックに
難所・不帰ノ剣(かえらずのけん)の険しいスカイラインがくっきり。

 

小屋の前かrは、剣岳を頂点に居並ぶ峰々、立山連峰が真正面に望める。
この日、夕陽は雲と岩峰を薔薇色に染め、山らしいフィナーレを演出してくれた。

 

振り返った後ろには 
すっきりした夕空が広がり、オーロラを思わす雲がたなびいていた。
明日はいい天気になりそうだ(´▽`)

次回につづく