森と池のワンダーランド、北八ヶ岳はオールシーズン歩く楽しさが味わえる。
シラビソ、コメツガ、カラマツといった針葉樹と、その根元にひろがる苔がつくる森は
北ヤツ独特の雰囲があり、その奥にひっそりと点在するいくつかの小さな池をめぐる
森と池をつないで歩く静かなトレイルが魅力的だ。
さて、10月半ばの北ヤツ秋の森はカラフルに色づいてきれいなことだろう。
稲子湯からみどり池のトレイルを歩いてみた。
中央道須玉ICを降りてR411で八ヶ岳の裾野を周り、松原湖入り口を左折、稲子湯を目指す。
R411の左には、八ヶ岳が秋空に美しいスカイラインを描いている。
稲子湯への林道を上がっていくと、周囲の木々が色づいて秋真っ盛り
稲子湯の先にあるゲートまで進んで駐車。 私のすぐあとにやって来た山女子3人、山小屋デビュー
をしらびそ小屋で迎えるといってとても楽しそう。
駐車スペースのあるゲート周辺は
カエデやカバが華やかな色づきを見せ、
山肌はやわらかな秋の陽射しに彩りも明るく輝く。
ゲートをすり抜け
林道から道標に導かれてカラマツ林に入る。
先日の台風によりルートが一部
変更され、迂回路を行くようになっていたけど、通行に支障はない。
小沢に沿ったトレイルを歩きながら、秋の淡い色づきが美しい森をしみじみ眺める。
カラマツの幹に弾むようなオレンジ色を輝かせている蔦の葉、
真っ赤なカエデに散りばめられたトレイル、ポップな色あいが目に楽しい紅葉の森。
ゴールデンイエローの葉が、陽光をうけて輝くカラマツの森はほんとうに美しく、
森全体を黄金色に染めるカラマツの
温もりのあるリッチな色あいに気分は高揚、ゴージャスな雰囲気に浸る。
自然がつくる天然の絨毯、フカフカとクッションの効いたトレイルから心地いい感触が伝わってくる。
また、森に漂う香りもこの時期は濃厚で、
葉や樹皮、苔など、森のエッセンスをブレンドした香りといったらいいか、何ともいえない癒される
いい香りだ。 立ち止まっては大きく息を吸いこみ、天然のアロマに酔いしれる。
くるくると舞い降りる木の葉が、そっと肩に止まり、話しかけてくる、、、こんな木の葉の囁きもうれしい
静けさに包まれて歩く森
グミのような赤い実が、おひとついかがと言ってるような、、、(´∀`*)
ではではと、いくつかつまんで口に放りこむ。ほんのり甘くて、きゅっと酸っぱく、ちょっとほろ苦い。
ミソサザイの幼鳥かな??
木の洞に巣があるようで、その周辺をせせこましく動きながらエサを見つけては食べていた。
こんなふうに、森は五感を刺激してくれる。
日常においては遠ざけられた感覚が、森を歩くことで目覚める。とても新鮮!
こまどり沢を過ぎると景色は一変、
シラビソやコケによる深緑の森を行く。
北ヤツ特有の針葉樹と苔の森
消えかかった文字の「おつかれさま」が
かろうじて読める道標。みどり池が近い。
薪ストーブの煙突から出るけむりが、妙にうれしく懐かしいしらびそ小屋に着いた。
小屋は増築され、新しく二階建ての棟ができていたが、昔からの小屋もそのままある。
リスが餌をもらいにやってくる窓辺、その下の陽だまりで気持ちよさそうに寝ているワンコ、
16歳というからすでに高齢だ。 いいなぁ~キミは、こんな素敵なところで暮らせて。。
みどり池正面に聳える天狗岳。6年前に登ったきりだが、こうして眺めているとまた登りたく
なってくる。
池の水面に映りこむ逆さ天狗。山のシルエットに
空の青さがくっきりと濃く、それがまた美しい。
シラビソの樹林に囲まれたみどり池としらびそ小屋。小屋の横には積み上げられた薪がどっさり。
ダークグリーンの池と、そのほとりにひっそりと佇む小屋は、絵本の一ページを見ているみたいで
ひょっこり白雪姫が水を汲みに池の淵へと出てきそうな気がしてくる。
池の周りでのんびりしたあと、小屋にも寄ってみた。
標高2,097mに建つ小屋は、一年中ストーブの火が絶えることがないそうだ。昼でもほの暗い
室内、梁にはよく磨かれたランプが下がっている。おかみさんがいれてくれた熊笹のお茶を啜り
ながら、冬の様子を伺った。通年営業の小屋なので、雪の積もる頃に来てみたいと思っている。
北ヤツの雪の森は素敵だ。何度か体験してはいるものの、ここはまだ未体験。
きっとメルヘンの白い森がひろがっているのではないかと、想像してしまう。。
...
12時を少し過ぎたあたり、みどり池をあとにUターン。
来た道をもどるのだけど、行きと帰りでは景色が微妙に違い、来るときは気づかなかった
景色に出会える。カラマツに遮られてよく見えないが、向いの山肌の紅葉が素晴らしい。
樹林の間からクローズアップして見ると、白い木に花が咲いたように、暖色系の葉が見事な
ハーモニーを奏でている。うっとりしてしまう光景だ。
去りがたい思いに
駆られる秋の森、美しい色彩に満ちた森だった。
稲子湯から近い八千穂高原はどうだろう?
帰りに寄ってみると、シラカバはすでに落葉、美しい秋景色にはちょっと遅かった。
橋の欄干越しに真下をのぞき込むと、色づいた木々を真上から眺められる。
なかなかないアングルで自分としては気に入っているのだけど、沢に吸い込まれそうで
ちょっと怖い(~_~;) ここもほとんどが落葉してた。