多摩丘陵の一角を占める寺院敷地は緑豊かな自然がひろがり、
梅雨の時期には広い境内いっぱいに咲くアジサイを楽しむのに格好の場所です。
京王線・高幡不動駅から歩いて2分もかからない場所にありながら、
境内は驚くほどに緑が多く、山の斜面はさまざまな種類のアジサイで埋まっています。
山の斜面では、可憐なヤマアジサイが多く見られます。
小粒のこのアジサイの名は桃花山、とても可愛らしい
一風変わった趣のアジサイは秋篠てまり
涼しげなこちらは美方八重、、、アジサイの品種って多いんですね。
不動ヶ丘と呼ばれる寺の裏手には、四季折々の花木が見られるそうですが、
この時期の紫陽花は特に有名で、それもそのはず、境内で見られるアジサイは7500株、
自生種はじめ、全国から集められたアジサイはたいへん珍しいものもあります。
山内八十八か所巡拝路を参拝して歩くと、ちょうど境内を一周することになります。
ハイキング気分であじさいを鑑賞しながら歩く楽しい道。
爽やかな緑の風につつまれ、蒸し暑さも感じずに歩けます。
不動ヶ丘の山頂付近にある馬場跡。 お弁当を広げるのによい場所です。
馬場跡の周囲もたくさんのあじさいが見られます。
右写真のアジサイ、一輪だけ咲いていたのですが、パープルの縁取りが美しい~
不動ヶ丘への山道に咲いていたヤマアジサイ。
山歩きしていて見かけるあじさいはこのヤマアジサイです。
シンプルな味わいは、野生種ならではのもの。
境内には、もみじの木も数多くあるので、紅葉の時期はまた素晴らしい眺めでしょう。
初夏のいまは、あじさいを強い陽射しからやさしく遮る、青々とした葉がとても綺麗です。
山内八十八ヶ所を巡る散策路は、途切れることなくあじさいが並んでいます。
足をとめては花に見入り、ゆっくりと境内を一周してスタート地点に戻ってきました。
歴史ある建造物がいくつもある不動尊入り口付近には茶室もあります。
玄関の花
茶室『豊泉寮』のお玄関前を通りかかると、
「お茶を召し上がっていらっしゃいませんか?」と声をかけられたのですが、
正座が苦手な私は、はぁ~といい加減な返事をかえして縁側の方にまわりこんでいきました。
すると、ちょうど一席終えたところのお部屋で、にこにこ明るい笑顔のご主人が、
「すぐご用意できますから、一服していかれませんか」とおっしゃり、
見ると、椅子席でしたものですから、それではと300円を払ってお茶をいただくことにしました。
蒸し暑い陽気のなかでも、こうしていただく一服のお茶は暑さも忘れるほど気分が落ち着き、
ほんのりした渋みもまた爽やかです。
お茶席では、それぞれのお茶碗、茶室に活けられた花、そして掛軸など、
その由来にまつわる話をうかがうのも、楽しいことのひとつです。
この掛軸は、高名なお坊さんによるもので、ひょうたんの絵の横に書かれた文には、
ひょうたんよ、おまえは瓜や茄子ともちがい中身がなく食べられぬが、
その空っぽなるところが、欲がないともいえるし、
また真ん中がくびれたところも、ただぬぉ~としているばかりでなく、
締まるところは締まってと、めりはりがあっていい。
そんなおまえに酒など入れて親しめば、これぞ瓢箪から駒、、、。
一見、なんの価値もないようなものでも、それなりの深さを秘めてこの世に在る、
そういっているのでしょうか。。。
床の間の花は、キキョウ、ホタルブクロ、ナデシコ、ヒオウギ、オカトラノオ。
茶室に用いる花は、季節感をよく伝える、つつましやかな野の花が多く、
活けられた花は、自然を、季節の移ろいを、狭い茶室の空間において、より凝縮して見せてくれます。
お茶席で見る花、そこには野辺に咲いている姿がすぐに想像できる、そんなよさがありますね~
さて、お茶をいただきひと休みしたところで、
あじさいのみちから四季のみちを歩いてみます。
五重塔からあたご池までがあじさいのみち、その先につづくのが四季のみちです。
ボールのようなあじさいやがくあじさいが色とりどりに咲くあじさいのみち
あじさいの絵を描く、写真に撮る、花と向き合い、
無心になって過ごすひととき、いいですね~
つづいて四季のみち。
白とブルーのあじさい、それにが額あじさいが涼しげに道を彩ります。
中央の細かいのが花で、その縁を囲むのは萼で装飾花といいます。
球形のセイヨウアジサイは、全部が装飾花に変化したもの。
うっとおしい梅雨も、この時期ならではの花、あじさいが美しく咲いて心を和ませてくれます。
駅から数分の場所とアクセスもよく、自然にふれながら紫陽花が鑑賞できる高幡不動、
おすすめです