TOKIDOKI 日記

日々のなかで、「へぇ~」「ふぅ~ん」と思った、
私につながるステキなコトやモノ、そしてヒトたちの記録です。

うっかりゴクンでとんだ顛末

2012-10-10 | 雑記帳

ごく日常のなかにも、時として思いも及ばないような事に足を掬われることが起こる。
冷え込んだ日の翌日、喉に痛みを感じ、ヤバッ風邪かなと思いつつ
そのうち治るさと放っておいたら耳までおかしくなり、しかたなく耳鼻科の診察を受けた。
出された薬は4種類、カプセル1個と錠剤3個を毎回飲むも、状態は改善しない。
左の耳に閉塞感と耳鳴りがあり、頭までぼうっとするヤナ感じが続く。
薬を飲み始めて5日目、夕食後にいつものように服用。



手のひらにのせた薬をまとめてゴクっと水で飲み込んだその時、あっと思った!
錠剤の一つを中身を出さずに包装されたまま飲み込んでしまった!!
喉の奥がチクリと痛い。
けど、取り出すには遅く、尖った四隅のプラスチックに包まれた錠剤は水とともに
奈落の底を目指して落下しようとしていた。
錠剤は狭い喉を、尖った四隅で傷めながら通過。
異物を飲み込んだ違和感は喉から下にさがったものの、こんどは胸に痛みがきた。

夜遅いこともあったので、様子を見つつそのまま横になる。
一晩中胸の痛みがあってよく眠れない。
朝になっても状態は変わらず、胸のあたりが痛む。
耳の状態も依然として変わらないので、大きな病院で診察を受けようと
軽く朝食をすませ総合病院へ向かった。

しか~し、困ったことに、新患で受診するさいは紹介状に予約をとってないと受付
られないと、丁寧に断られる。このままでは門前払いされてしまうので、昨夜の誤飲を
告げると、その場合は急患にあたるということで、診察室に電話をしてくれた。
でも、診察してくれるのは耳鼻科ではなく消化器内科で、あてが外れた。

朝食はパン1個とコーヒーだったのだが、食べると同時に異物は胃に流れたらしく
それ以後は痛みもなくなっていた。喉元過ぎれば何とやらじゃないけど、誤飲の
違和感がなくなったこともあり、その先のことはあまり考えていなかったのだ。

すぐに消化器内科で名前を呼ばれ、診察室に入る。
なんとなく、むさいおっさん先生を想像していたのだが、ぜんぜんちがって、
バリバリ若い美人の女医さんだった。しかもテキパキしていて感じがいい。
そんなことより、、、錠剤の包装は溶けないうえに四隅が尖っているので、
すぐに取り出さないと内蔵を傷つけることになる。
食事をしてしまっているのでどうかわからないけど、胃の中にあれば取れるけど、
もしも腸の方にいっていたら、そのときはお祈りするしかないです。
先生はそうおっしゃいながら祈るように手を合わせた。 ドキン!(;゜Д゜)! どうなっちゃうの!!
なんか、コトは急展開で深刻さを増してきた。
お祈りなんて、、、いや、先のことは考えないことにしよう。

とりあえずレントゲンを撮って、次に胃カメラで診てみましょうということになった。
ガ~~~ン、胃カメラ、、、目チリ鼻チリと聞いてる耐え難いアレか、えらいことになった。

レントゲン撮影後、内視鏡室の前で順番待ちをしていると、胃カメラを終えた患者さん
3人が部屋から出てきた。そのうち2人の表情はつらそうでもなく普通の感じだったので、
胃カメラも進歩して以前よりはラクになったのかなと思ったりして見てたら、3人目の
おばあちゃんはぐったりした様子でボロボロになって出てきた。 う~ん…

レントゲンの写真から異物は見えず、いよいよお初の胃カメラとなる。
まず、ドロンとした液体を2種類飲んでから診察台に横になる。
ちょっとつらいけどがんばりましょう、私も声かけながら診ていきますからね、と先生は優しい。
そして先生が手にしているのは黒くて長いヘビのようにクネクネ動く内視鏡、
ぎゃっ、胃カメラって、もっと繊細なのを想像してたら、けっこう太い。
もうこれ以上見ないほうがいいとぎゅっと目をつぶった。
看護師さんが、深呼吸して呼吸を整えるのがコツよと教えてくれた。

カメラが口から喉へと入り込んでくる。
いちばん狭い喉の部分を通過していくときが苦しい。涙がツツーと流れる。
何度も「ウエッ」となるが、そのたび深呼吸。
看護師さんが優しく背中をさすってくれる。苦しいなかにも、この背中をさすられる
感覚が苦痛を和らげ、不安な気持ちを沈めてくれる。不思議な作用だ。
遠い昔、ネイティブのメディスンマンが手に祈りをこめて病人の体に触れ
病を治したことが「手当て」の語源だという説も聞くが、ハンドパワーの威力は
先進医療技術とは別のところでいまも確かに存在すると思った。

胃の中を探るカメラ。ときに嫌な感じが伝わってくるが、思ったより苦しくない。
何分ぐらい経ったろう、先生はしきりに内視鏡を動かしている。
そして、「ありましたよ!」の声。ひゃぁよかった、助かった!
しかし、異物をつまみ出すのは容易ではないらしく、右だ左だ、そこを挟んでなど、
話し声がつづき、それからけっこう時間がかかった。
「コレですね」と、取り出した錠剤を見せてもらってホッとする。
だが終りではなかった。もう一度カメラを入れて、こんどは傷の状態をチェックするのだ。
ううっ、またもや喉を通過する苦しさに耐えねば…

これまでケガくらいでしか病院のお世話になってないこともあって、
胃カメラなど無縁のシロモノだったのが、バカげた不注意で痛くもない腹を探られることになった。
まぁこれもよい経験と受け入れるしかない。胃で見つかったのも不幸中の幸い。
こんなドジをする人も滅多いないと思うけど、万が一ハズミでそうなったときは
何をさておき速やかに救急外来へとんで行くのが正しい。