TOKIDOKI 日記

日々のなかで、「へぇ~」「ふぅ~ん」と思った、
私につながるステキなコトやモノ、そしてヒトたちの記録です。

今倉山/真夏の汗かき登山

2010-09-09 | 写真日記
夏の暑さも、お盆の頃には一段落して、そよぐ風にも秋の気配を感じるようになるのだが、
この夏の暑さは一向におさまることなく、梅雨明けから厳しい暑さの連続だ。

さて、お盆を過ぎた頃、山の薄暗い樹林ではレンゲショウマの花が咲き始める。
レンゲショウマの群生が見られることで知られているのは、
奥多摩の御岳山だけど、人出が多く、ロープ越しの鑑賞だそうで、
そうなると花は見たいけど、どうも気がすすまない。
ひっそりと森に咲く花は、見る方もひっそりと静かに眺めたいじゃありませんか。。


  

今倉山は山梨百名山の一座で、標高は1,470m、
春にはスミレがたくさん見られる、ちょっとした花の山で、
アプローチは不便だけど、二十六夜山や菜畑山と結んで歩くハイカーも多い道志の山。
しかし、この暑い時期に登る人は少ないらしく、
登山口に停めたクルマも私の一台だけ、まっ、こんな猛暑にやって来るヒトもいないよね~
登山口前にあるバス停の運行表を見たら、8月は運休で、他の月も日に1本程度と少ない。

低山といえど街の中よりは涼しいけど、登りはじめの樹林は風もなく蒸し暑いだけ。
流れる汗をぬぐいつつ、ハァハァと息を荒げながらスローペースで登る。

   

薄暗い森の中で、ひときわ目立つオレンジ色の花はフシグロセンノウ。
汗ダクダクながら、咲いている花を見つけると、しばし暑さも忘れウットリ~



尾根に取りつき、分岐を左に進む(左上の写真)。右は御正体山へとつづく道。
このあたり、春にはスミレが咲き乱れていたところ。

     

登山道の様子も、今とはずいぶん雰囲気が違う。


道は緩やかな上り坂で、木の間越しにときおり風が吹きこむものの、さすがに暑い!
連日30度を超す気温の猛暑に登る低山は、こんなに暑いものかと、ゼーゼー
ハンパなく出る汗に喉がやたら渇く。さらに頭がボ~ッとしてきたので、
これはヤバイとガチガチに凍らせてきたアクエリアスで水分補給し、ザックをおろして大休止。


     

腰を下ろしたそばに、ナガバノコウヤボウキオヤマボクチが風にゆれている。

キク科コウヤボウキ属には、花だけ見ては見分けがつかないほどよく似たものがいくつかあって、
△△ハグマというのにも花はそっくり。ただのコウヤボウキとナガバノコウヤボウキでは
葉の形と花の付き方が違う。よっく見ないとね。

キモチイイ手触りのオヤマボクチ。冬には枯れて、太陽の光にキラキラ金色に輝いてるのもステキ
このオヤマボクチに似ているのに、ハバヤマボクチがある。



                                  


ほてった体と乾いた喉に冷たいアクエリアスが浸透していくにしたがって、体がラクになってきた。
ふぅ~ 梢をぬけてくる涼しい風が肌に気持ちいい。
腰をおろしたついでにも食べて、汗が引いたところでまた歩きだす。
山頂まであと1時間くらいか?、標高が上がるにつれあまり暑さを感じずに歩けるようになり、
同時に咲いている花の数も増えてきた。



    

見た目が涼しげな夏の花 ソバナ     見かけたのは今回がはじめてのジャコウソウ

よく似た形と色でソバナとよく間違えやすいのがツリガネニンジンで、どちらも夏に咲くキキョウ科の花。

ジャコウソウ(麝香草)はシソ科で、名前にあるジャコウ鹿の香りはしない。



    

花としては目立たないが、小さな茶色の花はよくよく見ると風変わりで、
登山道を歩きながらつい気になる シュロソウ(ユリ科)




   

山を歩いていていちばん多く目にするのが黄色系の花で、この日もキンミズヒキ・コウゾリナなど
たくさん咲いていた。そんななかで今回お初が下の二点。

ノササゲ(マメ科)  
 
つる性で、淡い黄色の花のすっきりとした美しさが目を引く。





      キバナアキギリ(シソ科)

マルハナバチが入り込んで蜜集めの真最中。
花もそれぞれ子孫を残すためのさまざまな工夫があって、
なかでもキバナアキギリの花のつくりはスゴイ

花の奥にある蜜を採りにマルハナバチが下の花びらに乗ると、
入り口には赤い葯(右側の花の奥に見えますね)を頭で押すことになるわけですが、
このとき、雄しべに繋がっている葯が押されたはずみでシーソーのように動き、
雄しべを下げて花粉をハチの背中に付着させる、という仕組み。
わぉ花だってただ綺麗に咲いているだけじゃないのよね~





  そして~本日のご褒美???

というか、暑いなか登ってきてお疲れさん、、甘酸っぱいワタシでも食べて涼んでいってね。。
とばかりに、見るからに美味しそうな野イチゴがあっちにもこっちにも。
ウ~ム、、だけどコレ、食べられるのか? シロバナノヘビイチゴやナワシロイチゴは
食用になり味もヨイのだけど、コレはそのどちらとも判別がつかず、、、、
でも、赤い誘惑に負けて食べてみた。
半分ほど齧ったところで、なんか違うような~ お腹痛くなると困るしな~で、ポイッ。
野山のご馳走にありつくためには、しっかりした知識が必要ですね。



                             



さぁ~そろそろ山頂も近いんじゃないかと思えるくらい登ってくると、
樹林の切れ間で日当りのよい場所でも、それほど暑さを感じなくなってきた。
やっぱ、山は涼しい~

で、お目当ての花をずっと探しながら歩いてきて、やっとひとつ咲いているのを見つけた

     

猛暑にもマケズ、汗かき登山をあえて決行したのはこの花に会いたいがため、、、、
って、ちょっとオーバーだけど
もしかしたら咲いてないかもと思ってきただけに、ひとつ見つけただけでもモチベーションアップ
山頂直下の急斜面にもちらほら咲いているのを確認、
ひとまずピークに向かってグイグイと登る。


  今倉山(1,470m)山頂

山頂は樹林に囲まれ展望はなく、ベンチもなくただ平になっているだけ。
道標より左へ進むと二十六夜山、右は菜畑山へと綾線がつづいている。




山頂から菜畑山へは下り坂で、登山道は草が生い茂り道を塞ぐほどに伸びている。
草をかきわけ、しばらく歩いてみた。
森の中にポツリポツリとレンゲショウマが咲いているが、まだ蕾のものが多い。
猛暑の影響で、花の時期が遅くなっているのかも。。






森の中でひっそりと、ほの白いペンダントライトのような花を咲かせ、
かわいらしい真ん丸の蕾とともに風にゆれているレンゲショウマ。
ユニークな花の形、雰囲気あるその姿は「森の妖精」と呼ばれている。


                     

キンポウゲ科レンゲショウマ属 花びら(萼)はちょと触れただけでも
あっけないくらいハラリと落ちてしまい、そんな繊細さも、晩夏に咲く花らしさがある。
薄暗い森の中で、ひときわ印象に残る夏の花。


  山の花はうつむいて咲くものが多く、写真が撮りづらい。

レンゲショウマは細い茎の先に花をつけ、茎がしなって花が真下を向き、開くとすぐに散ってしまう
ので、なかなかやっかい。斜面に咲いているのを撮ろうとすると、ずり落ちそうになったりして、、
ま、だけど、そういったところも楽しいことのひとつかも。。



                                 



昼過ぎになると風がでて、森の中はさらに涼しさを増した。
さわさわと吹きあがってくる風の、気持ちよさったらない
暑い下界へ戻るのがいやになってしまう。
その涼しい風にのって、アサギマダラが一頭ふわっと目の前をかすめ
山の彼方へ飛んでいった。 
翅のない私は、テクテク歩いて下山
登山者は私の他に誰もいない、静かな今倉山だった。