TOKIDOKI 日記

日々のなかで、「へぇ~」「ふぅ~ん」と思った、
私につながるステキなコトやモノ、そしてヒトたちの記録です。

山百合と山椒薔薇

2012-07-18 | 写真日記

いつもの散歩コース、自宅近くの森を歩いていると、
風がほわんといい匂いを漂わせながら
鼻先をかすめ、ヤマユリの開花を告げてゆく。
辺りを見回しても、花の姿はなく、それからしばらく歩いたところに咲いていた。

強い芳香を放ち 
大輪の花を咲かせるヤマユリは日本特産種で、、ユリの女王と呼ばれ、古くは江戸時代に
ヨーロッパへ紹介され、カサブランカはじめオリエンタルハイブリッドのユリが作出された。
ヤマユリの代表的な自生地である神奈川県は、丹沢で採取したヤマユリを横浜港から
輸出していた。で、県の花はもちろんヤマユリ。

 

先日、四季の森公園でヤマユリの観察会が行われたので参加してみた。
普段はただぼーっと眺めていたヤマユリ、ここでは林の縁に咲く花がたくさん見られるが
種から花が咲くまで5年もかかり、こぼれたタネが自然のまま芽を出し、大輪の花となる
までは容易じゃないというのがわかる。 他の花もそうだけど、、。

 

むせかえるほどの強烈な香りは 
夜になるとさらに強くなるそうで、道路など一方が明るい林の縁を好んで咲くこと
に合わせ、蛾や蝶など花粉を運んでもらうためのアピール。
また、T字型の雄しべは花粉の入った葯が自在に動く仕組みになっていて、
どんな角度でも蝶の体にスリスリできるようになっている。さらに花粉には粘り気が
あり、付着しやすくなっている。それで、花粉が衣服につくと取れにくい。

 

宅地開発、乱獲、獣害によってヤマユリも年々減少傾向にあるという。神奈川県でも植栽に
よる保全が行われているが、ヤマユリは遺伝子変異の大きい植物であることから、自生地特有
の遺伝子系統を持つヤマユリでないと、本来自生地に存在していた遺伝子系統を持つ
ヤマユリが絶滅し、ヤマユリの遺伝的多様性が失われる恐れがあるそうだ。そこで県内各
自生地のヤマユリをサンプリングしてDNA分析が行われている。

ところで、植物の分類は「エングラー」や「クロンキスト」によるものが一般的だったのが、
これからはDNAやRNAの分析結果によるAPG分類が主流となっていくようだ。

ユリ科はイイカゲンなことに、
寄せ集めの科としていろんな系統の植物がぶち込まれていたそうで、それがAPG分類では
コテンパンに解体され、例えばギボウシはユリ科からキジカクシ科へ、チゴユリは
イヌサフラン科へという具合に、これまでとはまったく違うものに、、。
|゜Д゜)))えぇ~ チゴユリがユリ科じゃないなんてねぇ~(@_@。

ヤマユリの変種に、伊豆諸島のみに自生するサクユリがあり、ヤマユリとの違いは花被の
斑点が黄色で目立たない。 また、ベニスジヤマユリという花被に見られるスジが紅色の
変種もあり、10年に一度くらいのわりで見つかる「幻のヤマユリ」がある。この辺では
大船植物園でしか見られないとのこと。まだ咲いているかなぁ??

 

                           

 

山百合がユリの女王なら、山椒薔薇は野バラの女王といえて、
富士箱根周辺にのみ自生する日本固有種で、ハコネバラとも呼ばれる。
美人薄命、サンショウバラも哀れなるかな、蕾のうちに虫に食べられ、咲いても麗しき姿を
見られるのはわずか一日、出会うタイミングに左右される。
花期はふつう6月だけど、画像は三ツ峠7月初旬のもの。自生地によって差があるのかも。

 

このようにたくさんの花をつけるので 
ジャストタイミングで見られたときはラッキー。(6月中旬・西湖近くの森で)

 

 ルビーのような真紅の蕾が花開くと

 

淡いピンクの花びら(直径5~6cm)を 
ひろげ、それはそれは美しい。

 

わっせわっせと登った山の頂で、思いがけなく咲いていた花と出会い歓びも一入( ^∀^)
シンプルな美しさがワイルドな魅力を放つ山育ちのサンショウバラ、
また来年お会いしましょう。。

ヤマユリもサンショウバラも、初夏の山野でよく目立つ。小さな花が多数を占める山野に
おいては貴重な存在ともいえるんじゃないか。自生地も限られるだけに、大事に見守って
いきたい花


花と展望の平標山

2012-07-06 | 写真日記

谷川連峰の西端に位置する平標山(たいらっぴょうやま)は、花と展望が満喫できて、
登山口へのアクセスもよく、初めて4年前に登ってから、また行きたいと思っていた山だ。

今回は一週間ほど時期を早め、6月23日に訪れてみた。
咲いている花に違いはあるだろうか、青空が広がってくれるといいな。。

土曜日なので道路の渋滞が心配だったけど、意外にもスムーズに流れ、登山口駐車場着8:45。
駐車場に入るや、平日とはまるで様子が違うのにびっくり
Σ(゜д゜;)、広い駐車場はすでに満車で
とめるところがな~い! ど、どうしよう(;´Д`) と思いつつ奥へ奥へと進んだら、
いちばん奥のトイレ前に2台分のスペースが空いてた。いやぁ~よかったよかった、ほっ。
すでに帰り支度の登山者もちらほらいて、9時を過ぎて登る日帰り組は自分くらいなのか?

  

山頂へは、松手山から稜線をたどるのと、岩魚沢に沿った林道歩きから平元新道を登るコース
があって、花を見ながら登るには松手山からがいい。 そこそこ急な階段状の山道を、
息を切らしつつ(;´Д`) ゆるゆる登る。

 

  

樹林が途切れるところでは、ヤマツツジが道の両側に咲いて出迎えてくれる。
繁みに咲いている白い花はミヤマニガイチゴ、ニガイチゴより標高の高いところで見られ、
赤い粒々の実をつける。実は甘くておいしいとか?

  

ピンク色の花が新緑に映えて美しいタニウツギ、登山道のあちこちで見られた。
卯の花と呼ばれるウツギがユキノシタ科なのに対して、タニウツギはスイカズラ科。

 

苗場スキー場や、登山口周辺にある別荘地の赤い屋根など、眼下に望む景色を
振りかえり眺めては山道を登る。

 

ふたたび樹林に入ると、ブナの根元を囲むようにマイヅルソウが輪になって咲き、

 

びっしり枝に花を 
つけたベニサラサドウダン

 

かわいい壷型の花、ウラジロヨウラクが目を楽しませてくれて、

 

足元ではアカモノが鈴生りに咲いて登山道を彩る。 赤者(^<^)というほど
赤くもないのにどうしてかと思ったら、東北では熟すとやわらかくなる実を
「モモ」と呼び、「アカモモ」がなまってアカモノになったといわれている。なるほどね~ 

松手山(1,614m)にコースタイムどおり2時間で到着。ここからは眺めのよい稜線歩きになる。

  

笹原に混じって咲く花は、ミヤマキンバイ?、イワカガミ、他にもゴゼンタチバナ、ツマトリソウなど。

 

歩いてきた稜線を振り返る。晴れているけど雲が多くてすっきりしない空。

平な稜線まで、まだまだのぼりはつづく。

 

 けれどよくしたもので、くたびれてきた頃に
山の神さまは新たなお花を登場させて、疲れを癒してくれる
笹原の中にハクサンチドリ

そしてナエバキスミレ 
オオバキスミレの変種とされるナエバキスミレは、大葉黄菫より小型で茎全体が赤紫色などの
違いが見られる。なんとか間に合ったキスミレとの出会いに気分はルンルン

 

登山道が木の階段になってくるあたりからはハクサンイチゲがお目見え
苗場山にベールをかけていた雲もだいぶとれてきた。

 

振り返ると、まだまだ上がってくる登山者もいる。

 

 

なだらかな稜線に出ると、ところどころにお花畑が現われ、ハクサンイチゲが山々をバックに美しい。

真っ白なお花畑をつくるハクサンイチゲ 
あちこちの山で群れて咲く姿が見られる、ポピュラーな高山植物。

 

    

花びらの先がくちばしのように細長いヨツバシオガマ
四葉塩釜の遺伝子を調べた結果によると、東北中部より北に生える北方系と、
それより南の本州中部に生える南方系の二つに分けられるそうだ。
ちなみに写真左が平標山、右は至仏山ので、

また白山に咲いていた四葉塩釜は 
くちばし状の花弁が長いクチバシシオガマ

 

つい何度も立ちどまっては眺めてしまう景色、松手山からつづく尾根道と、その向こうに苗場山
後ろをふり向かずに歩いてしまうにはもったいない景色。

 

 

着いたぁ~ \(^o^)/
どんどん青空になってきているのがうれしい 13:30山頂着。

 

平標山頂より仙の倉岳を見下ろす。トレイル途中にお花畑がひろがっている。
仙の倉まで行きたいけど、時間的にキビシイ。いいさ、それよりお花とゆっくりしよう。。

 

  

木道を下っていくと、まずチングルマがよく来たねとにっこり~(*´∀`*)

 

見渡すかぎりのお花畑に、みなさん口々に「きれいね~」とウットリ。。
ハクサンイチゲをメインに、ピンクのハクサンコザクラ、黄色のミヤマキンバイが群れ咲いて、、。

 

  

写真を撮るにも、ロープが張られた登山道からハクサンコザクラは遠く、
さらに風で花が揺れる (´Д`)。。 そうしているうちに寒くなってきたので山頂へ戻り、
平標山の家を目指して下山にかかる。

山頂から山の家へと階段がつづく。 
真下に小さく見える赤い屋根の山小屋が平標山の家。
長い階段の途中にはベンチが置かれ、ひと休みするのに気持ちのいい場所。

午後にはガスもとれて真っ青な空が広がる平標から仙の倉。お花畑で寒かったのが嘘のように、
ここにきたら暑い。 着込んだ上着を脱いでザックにしまう。

 

  

小屋手前の湿地で見られたモウセンゴケタテヤマリンドウ。花はとても小さい。

おなじ場所に咲いていたイワイチョウ 
花弁の縁がウェーブを効かせたフリルになっているのがキュート

 

登山道より高くなったところにはワタスゲが風にゆれるミニ湿原。

 

 イワカガミは木陰で陽射しを
除けるようにして群落をつくって咲いていた。艶々したまるい葉は、名前のいわれどお
り鏡のようだ。

 

泊り客や幕営の人たちで賑わう平標山の家。午後の天気の素晴らしさからして
今夜泊りの人たちは、綺麗な夕焼けや星空が見れることだろう。いいなぁ~
小屋裏手のベンチに腰を下ろし、ここが最後となる山の景色に見入る。

 

15:30、さぁて名残惜しいが 
そろそろ下山にかからないと。小屋周辺にいる人で下山する人はいないみたい。
またラストになってしまったか、、。小屋前から樹林の中へ急下降する道を下る。
数え切れないほどの階段がずっとつづく平元新道。登りには使いたくないが、下る
さいには、トントンとリズムよく降りれば、けっこう早く下れて、松手山を下るよりいい

 

16:00 水場のある林道に到着。ここから駐車場まで1時間の林道歩き。
歩きだすと前方から走ってくる男子2名とすれ違う。これから山頂へ((((;゜Д゜))))?
ニッコリ微笑んで颯爽と走り去るカッコイイ人はほぼ手ぶら。スゴイなぁ!
あの階段を駆け上がって、暗くなる前に余裕で降りてくるというの?ひゃぁ~

 

 

林道に咲いていた、
名前のわからないお花2点。  

 

 

 17:00 駐車場着
夕方とは思えない明るさ、朝と取替えたいくらいの青空、、、ああ
満杯だった駐車場も数台を残すのみ。
花と展望を満喫できた、よい山の一日だった。