八ヶ岳はこれまで何度か登っていて、初めて赤岳に立ったのがかれこれ20年前になる。
ここ数年すっかりご無沙汰だったものの、慣れ親しんだ山という感覚があって、
今回6年ぶりとなるけど、久しぶりという感じがしない。
天候が不安定な梅雨の時期だけど、この時期に咲くツクモグサをどうしても見たくて
梅雨の晴れ間を狙って出かけてきた。北沢から硫黄岳に上がり、ツクモグサ咲く横岳を
目指し、地蔵尾根を降りる周回コースをとった。
登山口の美濃戸までクルマで入れるけど、私のクルマでは未舗装の凸凹道はムリなので、
美濃戸口にクルマを置いて6:30出発。1時間の林道歩き、がんばって行こう (゜Д゜)ノ
平日のせいか思ったより駐車場はガランとしていて、見かけた登山者も一人だけ。
林道を20分くらい歩いたところで、後ろからやって来たクルマをよけようと立ち止まって
いたら、「乗っていかれますか」と声をかけられた。渡りに船とはこのことヽ(*´∀`)ノ
もうもう有り難く乗せていただき、美濃戸口へラクして早く着くことができた。
ここで短縮できた40分が、日帰りの身にどれほど助かったことか計りしれない。
ありがとうございます!
赤岳鉱泉まで2時間、朝陽が射し込む清々しい森をぬけ、沢を何度か渡り返して進む。
足元にはびっしりと地面を被うキバナノコマノツメやコミヤマカタバミ、
朝露を輝かせて咲くミヤマスミレが、絶えず出迎えてくれてうれしい (n‘∀‘)η
赤岳鉱泉着8:55
以前に泊まったときとは様子が一変してきれいになった小屋、
ウッドデッキのテラスに屋根付きの休憩所もできたんだ!へぇ~(@_@。
赤岳鉱泉からは樹林帯の登り。部分的に残雪があり、道はぬかるんでいるところも多い。
瑠璃色の羽が美しいオオルリを見かけるも、カメラをザックにしまっていて撮影できず、
ううっ、残念だ、、(ノ∀`)
赤岩ノ頭が見えてきた。この頃にはガスが上がってきて
ときおりガスの切れ目から硫黄岳の稜線が望めた。
硫黄岳(2760m)着11:15
広い山頂はガスで真っ白。9時までは青空が広がり視界良好だったという。そうだろうなぁ、、。
硫黄岳山荘前でおにぎり1個の昼食。さらに長丁場に備えアミノバイタルを流し込む。
これが効果あったのか、いつもなら足がつるのだけどそれもなく、なぁ~んか元気(^^♪
気のせいか何なのか??
稜線にまだ花は少なく、キバナシャクナゲ、コメバツガザクラがわずかに咲いているくらい。
振り返りみる硫黄岳のなだらかな稜線と硫黄岳山荘。
下山してくる登山者とは何人もすれ違うけど、これから横岳の方へ向かう人はごく少ない。
すれ違う人にツクモグサの様子をきいてみると、あまり開いてないがたくさんあるとのこと。
よかった~
横岳の岩場手前で2つだけポツンとあったツクモグサと
初のご対面わぁ~全身フサフサの毛に包まれて咲いていた
さぁ、ツクモちゃんに会いにどんどん行かなくっちゃ。
鎖場を通過して横岳奥の院(2829m)に到着13:05。やはりガスがたちこめ展望なし。
さらにやせ尾根を通過して三叉峰分岐、ここから海ノ口へ延びる枡添尾根が横岳への最短ルート。
この尾根をピストンするのがツクモグサを見るには近道だけど、樹林帯に残雪が多いとのことで
止めにした。
ガスがたちこめては流れる稜線、阿弥陀岳をバックにオヤマノエンドウ。
始終ガスに包まれる赤岳、片側部分だけガスが引き、稜線上に赤岳展望荘が見える。
地蔵尾根まで、梯子や鎖の岩場が続く横岳を越えて行く。
進むにしたがい、斜面にポツポツとツクモグサが見られるようになるが、花は閉じていたり
半開のものがほとんど。陽射しがないと大きく開いてくれないツクモちゃん。
まあでも、ちょっぴり顔を
のぞかせたそんな姿も、微笑ましいほどに可愛らしい
険しい横岳の稜線でお花畑に癒されて~、咲いている花は数少ないけど、
ミヤマキンバイにミネズオウ、
イワカガミ、イワウメなど、健気に咲く花たちに励まされたりほっとさせられたり、
キバナシャクナゲはこの辺に来ると満開。
うっすら陽が射して明るくなった稜線、花びらを広げて咲くツクモグサ。
紫色のオヤマノエンドウも、ツクモグサとおなじ梅雨の時期に咲く花。この日、稜線で
いちばん目立っていた。
花の数はこのあたりがいちばん多い。
それにしても、咲いている場所は急斜面や
崖っぷちなど危なっかしいところばかり。高嶺の花なのね~
岩の窪みにたまった水で、気持ちよさそうに水浴びしていたイワヒバリのピーちゃん^^
水たまりで羽を勢いよくパタパタさせ水浴びしては岩に上がって風乾燥。
その爽快感がたまらないのか、それを見つめるギャラリーにもおかまいなく、何度も
繰り返し、水場と岩を往復していた。
ツクモちゃんとの出会いをじゅうぶん楽しんで日ノ岳への通過にかかる。
核心部となるルンゼ状一枚岩には残雪があり、滑ってはタイヘンΣ(゜д゜;) とおっかなびっくり降る。
あたりを見回すと、前後ともにもう誰もいない。うわ~ん、急がなくっちゃ(~_~;)
鉄梯子をつたい、やっと平らな地面に降り立った。ほっ、やれやれ。。
越えてきた日ノ岳をしみじみと振り返る。
ありがたいのは、この頃から空は明るさを増し、青空がのぞくようになったこと。
前方に地蔵尾根の分岐が見えてきたところで、どっかり腰をおろして休憩。
地蔵尾根の分岐15:30着
懐しのお地蔵さま。かれこれ20年前のこと、小屋泊まりでで八ヶ岳を縦走したさい、
お地蔵様に(?)たいへんお世話になった。というのは、財布の中身をよく確認せずに出発。
「あずさ」の車中でお金が足りないことに気づく(;゜Д゜)!。山小屋の泊り賃と帰りの電車賃
やらを計算すると残高はマイナスに近い状況。貧乏人には優しい山ではあるが、下山後を
考えると心細いかぎり。そんな思いで地蔵尾根まで来たとき、お地蔵様の台座に
置かれた小銭を見て、申し訳ないけどお借りすることにした。無言で佇むお地蔵様に、
来年必ず返しに来ますからと手を合わせ、赤岳に向かった。地獄で仏とはこのことよ。。
そして翌年の夏、お借りしたお金を返しにふたたび八ヶ岳に登った。
いまでは、そんなふとどき者を容赦しないとばかりに、賽銭箱が設置されているけど、
あのときはほんとうに助かった。そんな昔のことを思い出しながら地蔵尾根に取り付く。
地蔵尾根分岐から行者小屋まで標高差350m、吸い込まれそうな急下りで、
ザレた登山道をジグザグに降っていくと、急傾斜の鎖場、鉄階段とつづく。やがて雪が残る
ダケカンバの林に入り、針葉樹林になってしばらくすると行者小屋に着いた。
行者小屋前から、辿ってきた横岳の稜線や赤岳を眺めながらベンチで一息つく。
時計を見ると16:45、のんびりしてもいられない。これから美濃戸へ向かうのは自分だけ、
暗くならないうちに急がなくっちゃ。
朝に歩いた北沢もよかったけど、広々した南沢もよく、ともに八ヶ岳らしい雰囲気が
楽しめるアプローチだ。
苔に覆われた倒木に生えるメルヘンチックなキノコ。 沢の傍に咲くツバメオモトを見つけ
たころには陽が傾いてきた。さらに進んだ森のあちらこちらにホテイランが咲いていたけど
辺りが薄暗くなってきて撮影できず。ホテイランは各花に調査用のフダが立てられていた。
南沢のルートはこの先が工事中で、樹林の中を迂回して進むのだが、これが歩きづらい道
でくたびれた。やっと美濃戸に到着。まだヘッドランプを点けるほど暗くないので助かる。
朝来たときと違い、ひっそりとしていて誰もいない。クルマを置いた美濃戸口まで長い林道歩き。
途中で日が暮れ、真っ暗な林道をランプを照らしながら歩いていくと、草むらでガサガサッと
音がして、何かが道を横切る。たぶん鹿じゃなかろうか、ライトの光をそっちへ向けると
むこうでもこっちをそっとうかがっている気配がする。
暗くても足を前に出しさえすれば歩ける林道ゆえ、緊張しないですむせいか疲れがどっと出てくる。
まぁでも、もっとキツイときもあったからと自分で自分を励ます(´ε`;)
駐車場まで残り1/3くらい、来るときクルマに乗せてもらったところまできたと思ったその時、
後ろでヘッドランプの照らす光が近づき、車内から声がかかった。
まさかこんな時間に下山してくる人が自分以外にいると思わなかったが、それもそのはず、
赤岳をピストンして疲れたので、美濃戸の駐車場でひと眠りしてきたということだった。
それにしても、行きと帰り、クルマに同乗させていただいた場所が同地点だったのは、
なんという偶然だろう。さらに、運転されてた男性のお住まいが私の住む近くで、同乗の
女性は、朝乗せていただいたドライバーさんと同じだった。
ほんのつかのまだけど、不思議な偶然が重なったように、親切なかたたちと出会えた
ことを、ここに感謝したい!
ドロドロに疲れながら歩いていた林道で、思いがけなくピックアップしていただいて
みるみる元気回復\(^o^)/ 山では何度となく人の親切が身にしみる出来事がある。
そうした人の心の温かさにふれ、元気づけられるのもまた山の良さだ。
19:40 すっかり夜の帳が降りた駐車場、今日一日をふり返りつつエンジンキーを回す。
また来るね!八ヶ岳(^^)/