朝食をすませ、8:30白山へ出発。
白山登山口の別当出合へは、12時までマイカー規制のため市ノ瀬ビジターセンターで
シャトルバスに乗り換えて登山口へ向かう。
いくつもトンネルをぬけて市ノ瀬ビジターセンターに到着。
駐車場はほぼ満車で、係の人の指示で道路脇に縦列駐車。
ビジターセンターで登山コースが書かれたパンフをもらい、登山届をポストに入れてバスを待つ。
9:30発、別当出合までの運賃¥400
平日だと別当出合までマイカーで通行できる時間帯もあるが、市ノ瀬から道は極端に狭くなり
対向車が来た場合のすれ違いがやっかいだ。バスでよかった。。
それでも、バスはガードレールのないクネクネ道を、無線を使って対向車をかわし、慣れた道よと
すんなり進み、15分で別当出合に到着。
別当出合には休憩用の建物、トイレ、売店があった。
奥に見える鳥居の向こうに吊橋が架かり、砂防新道へはこの吊橋を渡る。
また吊橋手前の登山道を行くと観光新道の尾根コース。
白山へ登るコースはいろいろあって、
私は最短コースの砂防新道を選んだ。
吊り橋を渡り終ると、登山道は岩を積み上げてできた樹林の中を行くキツイ登りで、
こんな道がしばらく続く。
樹林の木陰では、朝露をまとった真っ赤な実が目を引き、黄色のタマガワホトトギスの
グイッと伸び上がった雄しべと雌しべ、それに斑点模様の花びらが美しいデザインにも目がとまる。
そして、白や、ブルーの涼しげな花をつけるヤマアジサイは、樹林帯のよき清涼剤だ。
水場とトイレのある中飯場
風は弱く、むし暑い。
小屋のわずかな庇の陰に身を隠すようにして陽射しをよけて休む人たち。
いやぁ~ 暑い!(~Q~;) これまでになく汗が出て、しきりに喉が渇く。
日陰もない場所では休む気にもなれなくて先へと進む。
ふたたび樹林の道となり、木陰を好む花たちがお出まし。
センジュガンピが登山道わきにたくさん咲いて
クルンとカールした小さな花は、いつもピント合わせに手こずるカニコウモリ。
右の黄色い花は、花が終わったあと、ガクが袋になって実を結ぶ様子がホオズキに似てることから
名前が付いたオオバミゾホオズキ。
流れる汗を拭いつつ、1750mの別当覗まで来た。11:30
ここで行程の1/3、まだまだ先は長い、ふぅ~(~_~;)
さらに登っていった登山道わきに「緊急連絡所」と
書かれた掲示板があり、電話が設置されていた。
登山中の怪我や事故、連絡をとりたいが電話がない、喉が渇いて脱水症状になりそう、など
登山中お困りのことがあったときは、インターフォンを利用してください。
微力ながら、対応させていただきます。 こう書かれていた。
なんて親切な! アウトドアでの活動は自己責任において対処がアタリマエ。それだけに、
さまざまなリスクを考えて準備を整え、無理のない行動をするのが基本。それでも予期せぬ
ことが起きたりするから、そんなときにありがたいけど、気軽に利用することがあってはいけないものね。
甚之助避難小屋は改装されたばかりのきれいな小屋。冷たい水も補給できた。
小屋の横からは、崩落箇所が無残な山肌を見せている。
避難小屋をあとに30分ほど
登ったところで分岐に着いた。
南竜ヶ馬場、エコーラインは右に行く。砂防新道は直進で室堂まで2km。
このあたりからお花畑がはじまって、
エコーラインへとつづく山肌には
シモツケソウ、ハクサンフウロ、コウゾリナ、ヤマハハコなどが咲いて、花たちの癒し効果が得られる。
そして、砂防新道もここから先はフラワーロードたくさんの花たちが出迎えてくれた。
霧が流れる山道で、ひときわ目立つシモツケソウ、ピンク色がくっきりと濃い。
ハクサンフウロも、このあたりに咲いているだのはピンクが濃く、花も大ぶり。
違うんだなぁ~
岩場に群生していたタカネニガナ。
低地で見かけるニガナは花びらが5~7枚に対して、このタカネニガナは10枚ある。
ヨツバシオガマはもっと下の方でもチラホラ咲いていたが、ここではたくさん見かけるようになった。
ところで、ヨツバシオガマは東北中部より北に生える北方系と、それより南の本州中部の南方系との
二つに分類されるそうだが、詳細についてはまだわかってないとのこと。
左は白山に咲いていたもの、右は平標山のもので、左の白山のはどうやらクチバシシオガマらしい。
(花のつけ根の色がうすく、くちばし状の花びらが7~9mm)
見下ろす山の斜面は花で埋まり、見入ってしまう美しさ
メタカラコウ、イブキトラノオがびっしりと群生、黄色い小花はカンチコウゾリナ。
ミヤマダイモンジソウは花が終盤にきているらしくきれいに咲いているのが少ない。
アップで見ると、咲いたばかりの花は中心が黄色だが、終わる頃になると中心が赤く変化。
世界を沸かした「なでしこジャパン」、
名前の由来はこの花からきているんでしょうか??
花びらの先が深く切れこんでいて、その繊細な切れ込みが美しい。でも、繊細な花びらは
霧がかかっただけでペシャッとくっついてしまい、いい状態を保っているのが少ない。
さて、このなでしこちゃん、カワラナデシコそれともタカネナデシコか区別が悩むところ。
なんでも苞の数が違うそうだけど、わかりにくい。
左は上のアップ、右は北アルプス白馬岳のタカネナデシコ、う~ん、比べてみると、
白山のはカワラナデシコになるのかな??
左、薄紫色の花はミソガワソウ、右はオオレイジンソウ。花色が紫のレイジンソウもある。
雌しべの先ががくるりんと丸まって、
3枚の花びらもクルっとカールしているカワイイ子、ミヤマホツツジ。
登山道途中に「延命水」と書かれた水場があった。竹筒のコップも用意されていたので、
ありがたく頂戴した。おおいなる山の恵み、こうして口に含む水のおいしさは他では味わえない。
延命水に元気をもらって歩きだすと、前方に次なる分岐「黒ボコ岩」の大岩が見えてきた。
大きな岩がいくつか並ぶ分岐(標高2,320m)は左が「観光新道」への下山道、直進が室堂だ。
そして、ここを過ぎると景色は一変し、伸びやかな草原が広がる。
弥陀ヶ原に着いた。15:20
緑のなかに散りばめられた花ばな、木道の先には白山のなだらかな頂が望めるのだが
いまは霧のベールに隠れている。
コバイケイソウは、
年によって当たりはずれがあり、今年は当たり年だそうで、草原一面に咲いていた。
そのコバイケイソウが群生する隙間を埋めるようにびっしりと淡いピンク色がおおっていて
これがまた遠目に美しい。チングルマの花が終わったあとのボウボウとした髪の毛の
ような変わり果てた姿なのだけど、それでも愛らしさを残し風に踊る姿は、
さすが山の花ねと、褒めてあげたい
弥陀ヶ原の木道に腰を下ろして大休止。ゆっくりと景色に浸ったあと最後の登りにかかる。
急坂をひと登りすると、霧のなかに浮かぶようにして室堂小屋の赤い屋根が見えた。
ビジターセンターと山小屋のある室堂は、お花畑の中にあるといってもいいくらい、
豊富な花にかこまれていた。
宿泊の受付をすませ、隣にある小屋に案内されたとき雨がポツポツ降りだし、
小屋に入ると雨はザァーっと本降りになってトタン屋根をしきりにたたいた。
傘を出すことなく来れてよかった! 山の神さまに感謝!
しばらくして雨はあがり、時おり青空もひろがった。
17:30夕食をすませ、早々と横になったが、上下ニ段の寝床に定員20名ぎっしりの部屋は
息苦しく、さまざまな音がうるさくて寝付けない。
朝、お日の出が見られそうなら、神社の太鼓が5時に鳴るという。
眠れなくても体を横たえ、明日のために備えよう。。
つづく