和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

乱読の詩。

2014-04-15 | 詩歌
外山滋比古著「乱読のセレンディピティ」(扶桑社)が
出ておりました。さっそく読了。ああ、楽しかった。

うん。私はまるで柴田トヨさんの詩を読んだ気分(笑)。
詩といえば、谷川俊太郎選「茨木のり子詩集」(岩波文庫)は、
最初に、「選者の言葉」として「初々しさ」という2頁。
最後には、大岡信・茨木のり子対談「美しい言葉を求めて」と
小池昌代の「水音たかく 解説に代えて」と
宮崎治の「茨木のり子略年譜」。
その小池昌代さんの文のはじまりに、
リルケの『マルテの手記』からの引用がありました。
そこを引用。

「リルケは『マルテの手記』のなかで次のように書いた。
『詩はいつまでも根気よく待たねばならぬのだ。
人は一生かかって、しかもできれば七十年あるいは
八十年かかって、まず蜂のように蜜と意味を
集めねばならぬ。そうしてやっと最後に、
おそらくわずか十行の立派な詩が書けるだろう。
詩は人の考えるように感情ではない。
詩がもし感情だったら、年少にしてすでに
あり余るほど持っていなければならぬ。
詩はほんとうは経験なのだ』(大山定一訳・新潮文庫)。
茨木のり子は、そのように、蜜と意味を丹念に集め、
それらがゆっくりと蒸留されるのを待って
一編を書いた。とても贅沢な詩人である。」(p362)

年譜によると
茨木のり子は1926年(大正15年)生まれ。
ちなみに、
外山滋比古は1923年生まれ。

もどって、
「乱読のセレンディピティ」は面白かった。
たとえば、こんな箇所

「いくら賢い人でも、乱読すれば、
失敗は避けられない。しかし、
読めないで投げ出した本は、
完読した本とはちがったことを
教えてくれることが多い。
失敗をおそれない――
それが乱読に必要な覚悟である。
・ ・・・・  
人間は失敗によって多くのものを学ぶ。
ときとして成功より大きなものが
得られることもある。そう考えると、
乱読が、指定参考書などより
実り多きものであることがわかる。」(p79~80)
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神田神保町の露店の本屋で。

2014-04-14 | 本棚並べ
山折哲雄著「これを語りて日本人を戦慄せしめよ」(新潮選書)
をパラリとひらくと、
折口信夫が古本を買った場面でした(笑)。

「運命的な出会いだったことがわかる。
『遠野物語』が出版されたのが明治43年(1910)、
柳田国男34歳のときだ。折口はやっと23歳になったばかりである。
・・・
折口の詩集『古代感愛集』(昭和22年)には、
『遠野物語』という名の一篇の詩がのせられていて、
  大正の三とせの冬の
  凩のふく日なりけむ――。
と歌いだされている。
神田神保町の露店の本屋で
古本の『遠野物語』を買ったことが、
感激の気持ちをこめて記された。
大正3年(1914)のころには、
すでのその名を知っていたことがわかる。」(p86)
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読んだ形跡なし。

2014-04-13 | 本棚並べ
益田勝実を読みたさに、
現代日本思想大系(筑摩書房)の2冊を注文。
それが今日届く。

高崎古書センター(群馬県高崎市上並榎町)
現代日本思想大系30「民俗の思想」
現代日本思想大系29「柳田国男」
2冊ともに、編集・解説が益田勝実。
450円×2冊+送料510円=1410円
先払いでした。
どちらも函入りで、読んだ形跡なし。
読んだ形跡なしのままには、ならないよう、
注意します(笑)。
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大震災のあと。

2014-04-12 | 地震
山折哲雄著「義理と人情 長谷川伸と日本人のこころ」(新潮選書)を、とりあえず、読み終える。

え~と、日本酒をコップ酒では、つい飲みすぎます。
と近頃思うのでした。ここはオチョコで飲みたい。
まあ、そんな感じで、この本の一章ずつをめくりました。
そうすると、オッチョコチョイな私は、
すこしズレた本の感想が浮かぶのでした(笑)。

以下に、それについて書きます。
この「義理と人情」が書かれたのは、
「月刊誌『波』2010年1月号~2011年6月号に連載された『長谷川伸と日本人』を加筆修正しました。」と本の最後にあります。

うん。間には、東日本大震災があったわけです。
ところで、本文に
「長谷川伸が作家としてデビューし、一本立ちしたのが大正十年代だった。出世作の『夜もすがら検校』が大正十三年(1924)の発表で、作者が四十歳のときだった。・・」(p76)とあります。
デビューから出世作までの間に、関東大震災がありました。
ついでに、ここも引用しておきます。

「そして大正十三年(1924)になって発表したのが出世作『夜もすがら検校』だった。ようやく文筆生活の自信をえたところで、同十四年に同新聞社を退社。そのころ、先輩記者である中里介山が『大菩薩峠』を同新聞に断続的に執筆していた。・・」(p43)


そういえば、岩波文庫の柳田国男著「木綿以前の事」の解説は益田勝実氏。
そこに、関東大震災にふれた箇所がありますので、引用。

1921年から23年までの三年間は、ジュネーブ駐在の期間が多かった。柳田国男が関東大震災の報に接するのは、ドイツ各地を旅行し、ロンドンへ到着して四日目の9月2日だった。・・・急遽アメリカ経由で帰国した。『ひどく破壊せられている状態をみて、こんなことはしておられないという気持になり、早速こちらから運動をおこして、本筋の学問のために起つという決心をした』(「故郷七十年」)と後年述懐しているが、その年の暮れに国際聯盟を辞したのだった。それからの柳田は、朝日新聞社編集局顧問として論説執筆者の一人となるが、主力を『本筋の学問』に傾注していく。・・・」(p305~306)

さてっと、次は新刊の
山折哲雄著「これを語りて日本人を戦慄せしめよ 柳田国男が言いたかったこと」(新潮選書)を、読む番。東日本大震災のあと書かれた本ですが、どのような展開となっているのか。関東大震災に触れる箇所があるのかどうか。一章ずつ、めくることにします。
そう。私が思う、こんな簡単なキーワードで、割り切れる本ではもとよりないでしょうから、新刊の内容に期待をしながら読むことにします(笑)。
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初版届く。

2014-04-11 | 本棚並べ
メアリ書房(福井市松本)に注文した
佐藤忠男著「長谷川伸論」(中央公論社)が届く。
700円+送料300円=1000円

とりあえず、机に置く。
以前に、文庫で読んだ「長谷川伸論」は
鶴見俊輔の書評に、促されてだった。
このたびは、どのように読めるのか、
たのしみ。
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藍色のカバーの。

2014-04-10 | 本棚並べ
山折哲雄著「義理と人情」(新潮選書)の
あとがきに、こんな箇所。

「私が長谷川伸という作家の凄さに
あらためて目を開かれたのは、
佐藤忠男氏のすぐれた『長谷川伸論』を
読んだときだった。そのときに覚えた
胸騒ぎと興奮はいまでも忘れることができない。
この本は1975年(昭和50)に中央公論社から
出版されているが、その和紙でつくられた藍色の
カバーの手ざわりが、そのままの姿で日本人の
情感を浮かびあがらせているようだった。」(p207)

うん。
佐藤忠男著「長谷川伸論」は
文庫本で読んだ覚えがあるのですが、
さっそく、単行本の古本を注文することに(笑)。
今日あたり、届くかなあ。
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「西行」と呼び慣わし。

2014-04-09 | 短文紹介
山折哲雄著「義理と人情 長谷川伸と日本人のこころ」(新潮選書)を
読み始めたところ(笑)。

まえがきに、こうあります。

「長谷川伸は明治の人である。母親と生き別れ、小学校も卒業せずに、父親がやっていた土木請負業の世界に入り、さまざまな職業遍歴の末、作家となった。・・・氏は自伝の『ある市井の徒』のなかで、当時、そのような流浪の土工たちのことを『西行(さいぎょう)』と呼び慣わしていたのだといっている。これはかつての西行法師の『西行』にかこつけて呼んでいたものであろう。諸国を放浪して歩いた出家僧と、いわゆる遍歴職人たちの苦難の旅のイメージが重ねられている。もともと旅の僧も遍歴職人も、こわれた道や橋をつくり直したり、井戸を掘ったり、各地でいろんな普請の仕事にたずさわっていた。・・」


う~ん。一遍が形をかえて、脈々と長谷川伸までつながっていたような錯覚を覚えます。

佐藤忠男著「長谷川伸論」を紹介して、こんな箇所も、

「・・・日本の大衆文学を築きあげた人びとのなかには、文部省のきめた学歴をふんでいない人びとが多い。吉川英治、菊田一夫、松本清張、みんなそうだが、長谷川伸はその大先輩にあたる。こうした大衆作家にとって『教養』とはいったい何だったのか、という問題である。何がかれらの生きる支えだったのかということだ。それを考えるのに長谷川伸はまぎれもなく鍵になる人物だというわけである。さらに、近代日本における『民衆の精神史研究』のもっともすぐれた開拓者だった、と高い評価を与えている。
いつごろからか私は、よく長谷川伸の作品を読むようになっていた。なぜかといえば、それで心の洗濯をしたような気分になっていたからだった。そんな癖がついてしまっていたのである。」(~p31)
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ふと口をついて出た。

2014-04-08 | 本棚並べ
昨年読めなかった、
新編柳田國男集全12巻を
今年もひきつづき、チャレンジ。

今回のガイドは、
益田勝実氏の解説に
お願いしようと思う(笑)。
どうぞ、この水先案内で、
展望がひらけますように。
すらすらと読み進めますように。
ということで、益田勝実氏の
柳田関連本を古本検索することに。


話がそれますが、
山折哲雄著
「これを語りて日本人を戦慄せしめよ
 柳田国男が言いたかったこと」
 (新潮選書)をひらくと、
まえがきは、こうはじまっておりました。

「今から十年ほど前に定年を迎えたとき、
型通りの挨拶をさせてもらったが、
これからは長谷川伸と柳田国男を
読んで暮そうと思うといった。
ふと口をついて出た言葉だったが、
じつをいえばかなり以前から
考えつづけていることではあった。
それでこの二人の全集だけは手元において、
いつでも見ることができるようにしていた。」

このまえがきで、つまずき(笑)。
ネット検索して、
山折哲雄著「義理と人情 長谷川伸と日本人のこころ」(新潮選書)を
古本で注文することに、

それが昨日とどく、
たむら書房(神奈川県茅ヶ崎市みずき)
800円+送料200円=1000円
本は帯つき新刊同様で、うれしい。

そのまえがきには、

「私は長いあいだ勤めた研究所を
やめたとき、大方の蔵書を処分してしまったが、
二人の全集だけは手元にのこした。
死ぬまでのあいだじっくり読みつづけ、
わがこころの糧にしようとひそかに
思っていたからだ。それが
『柳田國男全集』(筑摩書房)と
『長谷川伸全集』(朝日新聞社)だった。」


ちなみに、山折哲雄氏は1931年生れ。
どうも、柳田国男には
水先案内人が大勢いて
どの方の本を読めば、
柳田国男を楽しく読めるのか?
こればっかりは、
自分でね(笑)。
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コンビニのコピー機。

2014-04-07 | 詩歌
たまにですが、
コンビニにいって、
A3のコピーをします。

読売歌壇2014年3月31日の
小池光選の二番目に

コンビニのコピー機の上に
  「早春賦」一部忘らる春遠からじ
      小平市 栗原良子

選評の最後には
「こころの和む忘れ物である。」

ちなみに、三番目は

わたくしを選びなさいと本達の
      囁き聞こゆ春の図書館
   仙台市 小野寺寿子

選評の最後は
 「さてどの本を手にしようか。」


本を読まないと、
こういう歌が、身にしみます(笑)。


ああ、そうそう。
小池光選の一番目の歌も
引用しなきゃね。

さりげなく話題を孫の自慢へと
     移す女性の巧みな話術
   東京都 松井和治

選評のはじまりは
「こういう人、ときどき居る。」でした。
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おかずを買う。

2014-04-06 | 地域
ちょっと、車で出かける、
ここ数日です。

ということで、
ちょっと、大きなスーパーで
お昼と、夕飯用の
おかずを買う。

地魚のサシミ盛り合わせ。
ゴボウサラダ。
ポテトサラダ。
アジフライ。
キスフライ。
ってなところを買ったのだ。

この頃、
よく噛むように
注意しているのですが、
すぐ、忘れます(笑)。
そのわりに、
本は、さいきん、
ゆっくりしか、
読めません(笑)。
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この劣位戦が得意。

2014-04-05 | 前書・後書。
日下公人著「優位戦思考で世界に勝つ」(PHP研究所)の
本文のはじまりは、こうでした。

「優位戦思考とは何か――。
アメリカの小噺に、こういうのがある。

《メリーちゃんとマーガレットちゃんは
大の仲良し姉妹でした。あるとき、
『オヤツの時間ですよ』と言われて
二人が行ってみると、テーブルには
ケーキが一つしか載っていませんでした。
メリーちゃんは
『マーガレットちゃんの分がない』
と泣き出しました。》

これが優位戦思考である。
メリーちゃんはケーキを確保できるうえ、
『妹思いの、いいお姉さんですね』と褒められる。
先んずれば人を制す。劣位に追い込まれることなく
自分の利益を確保できる。
欧米の政治家や外交官、経済人は、
そうした思考に長けている。
国際貿易や産業・環境技術などの新ルールを
中核メンバーだけで、自分たちが有利になるように決め、
あとで日本などに参加を呼びかける。
『入らないと孤立するぞ』と脅かすと、
日本はあわてて飛んでくる。
そして必死に追いつこうとする。
これまでの日本はそうだった。
これが典型的な劣位戦である。
日本の外交官、学者、進歩的言論人、政治家は、
この劣位戦が得意である。・・」(p14)


うん。私はここだけで満腹(笑)。

ちなみに、まえがきには、こうあります。

「幸い、安倍首相の『地球儀外交』は正道を歩んで、
世界の人が納得する優位戦が進んでいる。
優位戦とは、こちらが主導権を握って戦場を選び、
時を決め、戦争の目的も手段も決められる戦いのことである。」(p3)
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臆病風邪に吹かれて。

2014-04-04 | 短文紹介
林望著「イギリスからの手紙」(東京堂出版)は、
1984年4月2日の手紙からでした。
うん。そのはじまりの手紙をすこし引用。


「さて、コモドア―ホテルですが、
これがエライ安ホテルで、フロントにこわれた
石油ストーブが放ってあり、インド人のフロントで、
何いってんのか一つも分からない。
窓はとうに壊れて開かない。消毒済のコップもなく、
いつ使ったやつともしれないプラスチックの白いペナペナ
したのがポンとおいてある。湯を出せばとまらない、
エレベーター(こっちではliftという)は故障、
廊下は、すれ違いできぬせまくるしさ。
ああ、こりゃ大変なところへ来ちゃった、
と思ったとたん、里心がついて、帰りたくなって
弱りました。
近くを見物しましたが、まったくいやな待ちで、
何人(なにじん)とも知れぬ怪しげな人がウロウロして、
地下鉄の駅などでさかんにユスリタカリをしている。
失業者はねころんでいる。本当いうと、
例の臆病風に吹かれています。
かえすがえすも来るんじゃなかったナ。」(p6)

こうしてはじまる手紙です(笑)。
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雨読。

2014-04-03 | 本棚並べ
今日は一日雨かなあ。
昨日注文した新刊が今日とどくはず。

曽野綾子著「自分の財産」(扶桑社新書)
日下公人著「優位戦思考で世界に勝つ」
林望著「イギリスからの手紙」
山折哲雄著「これを語りて日本人を戦慄せしめよ
      柳田国男が言いたかったこと」(新潮選書)
一ノ瀬俊也著「日本軍と日本兵 米軍報告書は語る」
      (講談社現代新書)

さてっと、雨の日の、
本を待つ楽しみ。
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いつも言うことだが。

2014-04-02 | 短文紹介
産経新聞2014年4月2日。
曽野綾子の連載「透明な歳月の光」は
「靖国神社の英訳」と題しておりました。
そこから引用。

「日本政府は、広報が下手、
というより、広報に気がないとしか思えない。
いつも言うことだが、
広報と表現はもっとも平和的で
しかも安上がりな武器なのである。
感情的な罵詈雑言は、
人間としての品位を末永く傷つけるから、
そのような下手な方法で相手と闘いたくない時には、
ますます裏付けのある統計上の数字で
論破する方がいい。」

う~ん。
今日はこの箇所が
妙に印象に残りました(笑)。
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抜歯。

2014-04-01 | 地域
左下奥歯が以前から歯槽膿漏で、
体調が悪いと、痛くなっておりました。
その痛み、だんだんに移動して
耳の後ろが痛くなったりして、
昨日の月曜日に歯医者へいくと
「抜きましょう」と言われ、ハイ。
先週の土曜日頃まで痛くって、
日曜日は、歯医者が休みだし。
というわけで、昨日の月曜日に抜歯。

近くの行きつけの歯医者は、
予約制じゃなくて、順番待ち。
午前中に混んでいると、
午後何人目というように
お願いして、帰ります。

昨日抜歯。
今日消毒。
待ち時間に本をもってゆく。
外山滋比古著「人生複線の思想」(みすず書房)
パラリとひらいたところを、読む。
「脱サイレント・モノローグ」に
こんな箇所。

「声を失った文字、
失わなくても弱くなったことばでは演劇は栄えない。
沈黙の言語ではドラマは成立しにくいが、
代って小説を生む。近代文学において、
演劇が栄える時代は、小説が不振である。
小説のさかんな時代、演劇がふるわないということが多い。
演劇と小説は相互に排他的であるのも、
ことばが声を大切にするか、
観念を重んじるかにかかわる問題であろう。
小説中心の文学が一般的になったのは、
ことばが声を失ってきたためであると
考えてもよいだろう。」(p43)

ちなみに、この文は5頁ほど。
その最後はというと、

「このごろ本が読まれないという声が多い。
ケータイ世代は、サイレント・モノローグから
生まれた本に違和を覚えるのは自然で、
ダイアローグがほしい。
『書きおろし』に対して
『語りおろし』の本がふえているが、
なお、モノローグ的である。
『しゃべりおろし』の本というのはどうか?」(p46)


うん。歯医者の待合室で
このページを、ぼんやり開いておりました。
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