和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

息を呑むような。

2011-12-21 | 古典
今日。新刊の「花森安治のデザイン」(暮しの手帖社)が届く。
すばらしい一冊。
大橋鎭子さんは「おわりに」で、こう書いておりました。
途中から引用

「・・それと共に、『暮しの手帖』の表紙画や、誌面のレイアウトも手がけるデザイナーでした。このたび、誕生100年の記念として、編集者としてその生涯を送った花森安治の生きがいであり、よろこびであった『暮しの手帖』の表紙原画すべてと、カット、手書き文字、新聞広告の版下などの一部を一冊にまとめ、皆様にお目にかけたいと思います。これらは、普段は決してお見せすることのない印刷前のものですが、それだけに、花森の筆づかいや気持ちが、直に感じられます。この原画の数々は、すべて長い間、暮しの手帖社で大切に保管して参りました。・・・」

その大切に保管してあった品々を、一冊に収めた感触がすてきなのです。
たとえば、私などは、芹沢介作品の展覧会のイメージがわいてきます。
民芸品を、ひとつひとつの置き場にこだわって、展示されている会場風景。
それをまるごと一冊に封じ込めたような濃密な空間をページをめくるごとに味わっているような気分にひたれました。居ながらにして、個展の息づかいが伝わってくるような醍醐味を醸し出しているのですが、創作の現場に、こっそりと立ち会っているようなゾクゾク感があるのでした。ありがたい一冊。
この気分がなんであるのかを、確かめたく、文藝別冊のKAWADE夢ムック「花森安治」を、おもむろに、ひらいたりして、気分を静めようとしておりました。お笑いください。

大橋さんは「おわりに」で、こうも書かれておりました。


「表紙は、その号の編集があらかた終わった頃に、『今日は、表紙を描くぞ』と宣言して、小さな部屋に入って描かれるのでした。表紙は、その雑誌の顔、商品ですから・・・途中で見ることは絶対禁止。みんなで息を呑むように待っています・・・」

うん。誕生100年を記念して、まさに、
息を呑むような一冊が、ここにできあがっておりました。

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