和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

手のとどかないもどかしさ。

2016-09-04 | 詩歌
古本で
古橋信孝・森朝男著「万葉首百歌」(青灯社)を
買う。これが大当たり(笑)。

パラパラとひらくほどに、
興味が増します。
うん。そのいちいちを上げるのはやめて、
ここでは、その前書と後書とを引用
して紹介にかえることにします。
「はじめに」は、
こんな言葉からはじまっておりました。

「日本には優れた詩歌がたくさんある。
近代の詩・短歌・俳句にも良いものが多いが、
古典の和歌・俳諧にもたくさんの名歌・名句がある。
それらについて少し深く知ってみたいと思う人は多いだろう。
万葉集は明治以降、最もよく詠まれてきた和歌の集である。
・・・現代の研究成果を踏まえた万葉集の読みのダイジェスト
が欲しい。そう思っている人々も多いだろう。
万葉集は1200年も前に編纂された歌集である。
集められた歌は七世紀のはじめから八世紀中頃までの、
和歌という形式が成立して歩みはじめる頃の歌であるから、
その時代が文学史上どんな時代であったかを知った上で
読まないといけない。いきなり近現代の詩歌と同じように
鑑賞しても、どこかいまひとつ本当のところに手のとどかない
もどかしさが残る。その手のとどかないところに
日本文学を特色づける非常におもしろい、重大な問題が
隠されている。近年、そうした点についての研究も
著しく進んで、新しいことが分かってきた。・・・」

「あとがき」は、こうはじまっておりました。

「青灯社の辻一三さんから、
池田弥三郎と山本健吉が『萬葉百歌』という本を出している。
万葉集から百首選び、その一首一首を二人で論評していく本で、
とてもおもしろい、現在までの研究経過をふまえて、
新たにそういう本を作らないかという話を持ち込まれて、
すぐに思いついたのが森朝男さんである。
森さんとのつき合いは三十年近くになるが、
その誠実な人柄と万葉集への情熱と鑑賞力、批評意識に
信頼を感じてきている。それでいて、私とずいぶん違う。
二人の感じ方、読み方などが重なれば
とてもおもしろはずだと確信に近い想いを抱いた。・・・」

うん。読めてよかった。
そういう、充実感を味わえました。

コメント
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