和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

敬老の日・読売新聞。

2016-09-19 | 詩歌
9月19日(月曜日)の読売新聞をひらく。
今日は敬老の日だそうです。
1面と4面に、その関連記事。

たとえば、4面は、こうはじまっております。

「総務省が19日の『敬老の日』に合わせて
発表した2015年の高齢者に関する調査では、
ネットショッピングを利用し、旅行や習い事
といった趣味を楽しむ活動的な高齢者の姿が
浮かび上がった。・・・・」

ちなみに、読売新聞の月曜日は
読売歌壇・俳壇が掲載される日。
なんだか、ピントを絞れた気分。
それじゃあ、ということで、
敬老の記事、歌壇俳壇を、
交互に読んでみることに。

 読売俳壇・宇多喜代子選の3番目

 今日よりは宇治十帖へ夏季講座
    尼崎市 河野福子

 宇多喜代子選の8番目

 平仮名に似て頼朝の文字涼し
    越谷市 安居院康之


 読売歌壇・岡野弘彦選の8番目

 老いてなほ一日一首残さむと
  麻痺の右手をはげまして記す
     松山市 三木須磨夫


敬老の日の4面に、こうあります。


「介護を必要とせず
自立した生活ができる『健康寿命』が、
2013年の厚生労働省の調査で
男性は71.19歳、女性が74.21歳・・」

「厚労省が16年に実施した意識調査で
『高齢者だと思う年齢』として最多だったのが
『70歳以上』(41.1%)で
現状の『65歳以上』と考えている人は20.2%にとどまった。
『75歳以上』と答えた人は16.0%もおり、
高齢者の年齢を
健康寿命に近い70歳を超えたあたり
と考えている人が多いことがうかがえる。」


そして、新聞の一面左の見出しは、
「女性の3割65歳以上」。


 読売歌壇・小池光選の9番目に

 自転車に乗れば元気と人は言ふ
  あちこち病むをだあれも知らぬ
    東京都 白木静子


一面の記事のはじまりは

総務省は19日の敬老の日に合わせ、
日本の高齢者人口(9月15日現在)の推計を発表した。
65歳以上の高齢者は、総人口に占める割合は27.3%と
なり、過去最高を更新した。

「中でも女性は1962万人で女性の30.1%となり、
初めて3割を超えた。
65歳以上の男性は1499万人で、
男性人口に占める割合は24.3%だった。
64歳以下では男性が多いのに対して、
65歳以上では男女比が逆転し、
女性が男性より465万人多い。・・・」

65歳以上で男女比が逆転するのですね。

 読売歌壇の栗木京子選の1番目の短歌と選評は

 ヌスビトハギ群れ咲けば夫の供花とせむ
    この坂の半ば倒れいたりき
      枚方市 鍵山奈美江

【評】ヌスビトハギはマメ科の多年草。
名前は恐いが、夏に淡い紅色の小さな蝶形の
花を咲かせる。この花の咲く坂で倒れ、
亡くなった夫。「供花とせむ」が心に沁みる。


読売新聞の一面の最後の方にはこんな箇所。

「また、働いている高齢者も増え、
65歳以上の就業者数(15年)は
12年連続で増加し、前年比49万人増の
730万人と過去最多だった。
このうち、65~69歳の就業率は
男性が52.2%、女性が31.6%で、
高齢者の就業の場が広がっている。」


最後に引用するのは、
岡野弘彦選の一番目と二番目。
岡野弘彦氏は大正13年(1924年)生まれ。
その日、読売歌壇で選ばれた歌と選評を引用。

まず一番目

 稲刈るは五日の後がよいといふ
    穂を手にのせて九十歳の父
       匝瑳市 椎名昭雄 

【評】九十歳ともなれば前のように立ち働く
わけにはいかない。だが稲穂を掌にのせて
じっと見れば、刈り時は五日後というように、
微妙な見定めをぴたりと断言できるのだ。


次に二番目

 両目の手術終へたる老い妻が
  空のあをさをくりかへし言ふ
    横浜市 本多豊明

【評】私にも同じ様な体験がある。
眼帯の取れたのちの、眼に入るものの
形の確かさ、空の光のまぶしさ、
生まれ変ったような新鮮さだ。
だがそれもすぐ老いの日常にもどる。


読み甲斐のある
読売新聞9月19日でした(笑)。

コメント
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