7日目の朝はガタゴト走る列車の振動で、5時半に目が覚めた。
車窓からの景色。
なつめやしがいっぱい生えてて、エジプトっぽいなぁ~
予定では7時前にはカイロに着く予定だったのだが、かなり遅れているようだ。
ずいぶん遅くなってベッドを片づけに来て、朝食が運ばれた。
パンが3個にコーヒーって、噂には聞いてたけど変だよね。
車掌さんにお湯をもらってカップヌードルを食べた。お箸を持ってくるのを忘れたので、ツアーのはじめに添乗員さんにもらったマイ箸が大活躍した。
車窓から見た、洗濯ものを干す若妻。
アップで。
エジプトの人ってこんな風に重ねて干すのよね。日本だと乾きにくそうだけど、エジプトは乾燥しているので問題ないんでしょう。
あれ?
窓からだれか手をふっている。
子供だった。かわいい♪
けっきょく電車は3時間半も遅れて10時半にカイロに着いたのだった。
とってもいい人だった私の車両の車掌さん。
それにしても、どんだけボロい電車なんだ!!
大急ぎでエジプト考古学博物館へ行く。
もっとも楽しみにしていた所のひとつ。でも困った。今日もスケジュールたっぷりなのに3時間半も遅れたから、必然的にここでの見学は短くなるわよね。
そこで私はしつこく添乗員さんに自由行動しちゃいけないか打診した。
だって、この日のためにどうしても見たいものをガイドブックで探し、館内図と照らし合わせてルートまで決めていたのに、自由時間が少なかったら絶対見きれないもの。
そして食い下がって勝ち取りました。ただ、集合時間までそんなに時間はない。ミイラ室へ行く時間も入れて1時間40分ほど。ひっそりと群れから離れ、決めていたルートへ急ぐ私。
館内は数年前から撮影禁止なので世界中から集めてきた写真でご紹介しよう。
1F中央部にある一段低くなったアトリウムを駆け抜けて、いちばん奥へ向かう。
異端の王さま、アクエンアテン(イクナトン)の像。奥さんはエジプト3大美女のひとり、ネフェルティティ。
う~ん、この馬ヅラと変な体型、最初見たときは気持ち悪かったんだけど、最近は個性的で良いかも、と思えるようになった。
階段をのぼって2Fへ。壁には死者の書やパピルスが飾ってあった。
そして、ツタンカーメンのエリアへ。
最初の部屋にあった、あの黄金マスクに心臓をわしづかみにされた。
世界で一番有名なファラオのミイラにかぶせられていた、
22金とラピスラズリ、黒曜石、水晶、ターコイズなどの宝石で緻密な技工がほどこされた重さ11キロのマスク。
もうね、このどこを見てるかわかんない視線といい、完璧な顔立ちといい、ぬめぬめとした魔力的な黄金の輝きといい、その存在自体が奇跡としか思えない。
これはミイラが入れられていた3重の棺のうち、いちばん内側の人型棺。黄金製。あり得ないほど綺麗。重さ110キロだって。金換算すると…バタッ
ツタンカーメンの宝石。
これも。
こんな迫力のアクセサリーが無数にある。
等身大のツタンカーメンの立像。
死者の内臓を納める容器(カノプス壺)を入れるための黄金の厨子。4人の女神が守っている。
女神のひとり。
ツタンカーメン王の玉座。若きファラオに妻が香油を塗る姿が描かれている。ふたりは1足のサンダルを片足ずつはいているのだが、これは愛し合っていて仲が良かった、ということなんだそう。じ~~ん。
ゲーム。これで遊んでたのかなー。
犬の姿をしたアヌビス神を乗せた厨子。
その向こうにカノプス壺、そのさらに向こうに壺を入れる厨子が見える。
アラバスター(エジプトの大理石)製のカノプス壺。ファラオの顔が彫られている。
美しい。
2Fの奥から順にツタンカーメンのものを見ながら手前に来たので、ここでミイラ室に入ることにする。ミイラ室入室には別料金で100エジプトポンド(1600~1700円)かかる。
ここはすごかった!!
実は私はここへ入るまで、ミイラ室はファラオのミイラが置かれている部屋、くらいの認識しかなかった。
でもですよ、ミイラ室に入り、歴代のファラオのミイラ10数体が一堂に集められているのを目の当たりにすると、このミイラ室の存在も奇跡としか思えず、それを自分の目で見ているという現実に、からだがワナワナするほど興奮してきた。
普通生きているときの人間は一枚皮のよくできた生き物だが、死ぬと肉体は滅びて骨になる。その時点から肉体の個性は消えていくのだが、ミイラは違う。
何千年も前に血の通った一人の人間として生き、ファラオという頂点の立場にいた人が、生きていたときの姿の個性を残しながら、今ここに存在しているのである。
しかも数十年、数百年の年月を超えて、さまざまな年代の頂点達が同じ部屋で眠ってるんだよ。
96歳まで生きたという最強のファラオ、ラムセス2世は確かに長身の老人の姿でミイラになっていた。
セティ1世はラムセス2世の父であり、ひとつ前のファラオ。けれども息子より若くして亡くなったので、ミイラも若く、非常に男前である。
それからハトシェプスト女王のミイラ。ガイドブックでは不細工に写っているが、実物のほうが美人だった。
そして私がなぜか惹かれて気に入ったのはトトメス4世のミイラ。現代風でクールな顔立ち、カールしたグレーの髪も残っている。
お気に入りのトトメス4世の姿を目にしっかり焼き付けて、ミイラ室を後にした。
そして1Fに駆け下りて、さっきのアトリウムにあった、
アメンエムハト3世のピラミッドの頂上に乗っていたキャップストーンを見た後、
とても見たかったラー・ヘテプとその妻ネフェルトの像を見に行った。
この像は発見されたとき、あまりのリアルさに採掘者たちが驚いて逃げ出したという逸話がある。
ほんとうに生きているみたいなの。
ふたりとも目の玉は水晶で、
見とれてしまうくらい綺麗だった。
それからアトリウムの正面奥の、高さ7mのアメンヘテプ3世と王妃の像、
ハトシェプスト女王のスフィンクスを見て、
もう一度、2Fへ上がってツタンカーメンの黄金マスクを見た。
その後ブラブラと、見てない秘宝などを見ていたら、すでに自由行動になっていたツアー友達のMさんに会ったので、ふたりで最後にもう一度、ツタンカーメンを見に行った。
その麗しいお姿を3度も見ることができ、大満足だった。
でも、次にこの博物館を訪れることがあったら、今度は半日くらいブラブラしてみたいよ。今回ほとんど足を踏み入れられなかったエリアがまだいっぱいあるの。
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