VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

住宅政策研究会シンポジウム:伊藤元重

2008年11月25日 | 住宅業界
東京大学大学院 経済学研究科他主催の住宅政策研究会シンポジウム「日本の活性化における住宅産業の役割」が
住宅生産団体連合会の後援で開催され、伊藤元重研究科長の話を東大キャンパス経済学研究科棟へ聞きに行った。
こちらは新しい建物

井堀教授の司会で、伊藤氏の基調講演が始まった。
伊藤氏は、住宅は専門外であることを前提に、現経済の流れから内需の中でも[家計]を動かすしか無いという背景と
それには[住宅・医療・福祉]分野の需要、「今の為より明日の幸せにしか投資しない日本人」という視点を。

中でも、「資産を最も持っている高齢者がお金を使わなさ過ぎる」課題を相続税の対象者が少な過ぎる点からも
相続税関連を見直す事で、生前にお金を使う流れを創る必要をアピールされた。

また住宅の中古市場は自動車産業を見習って、新築供給会社が中古の市場をマーケットメイクすべきであると
車のコンシューマーリポートなどを参考に、住宅の評価を第三者がビジネス化することも促された。

面白かったのは伊藤氏、キューサイ青汁を愛飲しているらしく「飲めば健康、寿命が延びれば飲み続ける・・巧い商売」と。

後半はパネルディスカッション。国交省住宅局和泉局長・旭化成ホームズ岡本顧問・東大公共政策大学院金本院長が加わった。

和泉局長から、日本は過去3回の経済バブル崩壊を経験したが、一度も地価は下がらない土地神話であったが
今回、初めて地価が下がるという環境に。結果、地価に依存しない‘住宅価値が評価される’時代になると。
興味深かったのは、消費税は「税率を他商材と変えろとは言わないが、100年持つ住宅なら100年割引的な考えを」と。
また中心市街地への高齢者住み替え対策として「超高層マンションは疑問、低層の集合住宅が必要」と。
また、住宅には長期ローンの重要性が高く、市場に任せてリスクが増える不安から旧公庫的な役割の必要性を示唆された。

住宅会社の立場から岡本顧問からは中古市場を活性化する為にも「買取再販に税制を考慮が必要」「中古マンションの建替えには行政補助を」また、リバースモーゲージを信託にすればやり易くなるという具体的な現場の意見が出された。

伊藤氏の高齢者に住宅投資・贈与などでお金を使ってもらう考え方には賛成であるが
住宅業界としては、高齢者が投資したいと思えるような、豊かな住生活を楽しめる住まいを供給しなければ
なかなか我慢強い日本の高齢者は、転居投資してはくれないと思う。
伊藤氏の言われた街に必要なもの‘食・住・遊・学・医’に関する付帯サービス含めた
クオリティの高いシニア向けの、特に賃貸住宅の不足を解決し需要創造しなければならない。


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