VIVIEN住生活総研

住生活ジャーナリストVivienこと藤井繁子が、公私を交えて住まいや暮らしの情報をお届けします!

‘トランジション・タウン’活動、英国より来たる

2009年03月02日 | 社会・文化
地元逗子でまちづくり活動をしていると、様々な市民活動をする人達に出会う。
今日は昼間に、今年隣まち鎌倉市の市長選に出られる渡辺光子さん(鎌倉市民フォーラム代表)が
歩行者と自転車のまちを考える会」の事で訪ねて来て下さり、意見交換をした。
秋の選挙に向けたマニフェストへ、同じようなテーマの環境交通政策を検討されているようだ。

そして夜は、逗子市議の松本まちこさんのお誘いで
『イギリスの言いだしっぺに学ぶ「Transition Town 冒険の3年半」』という集まりに参加した。
トランジション・ジャパンの吉田俊郎さんが司会進行し、英国から来日しているNaresh GiangrandeさんとSophy Banksさんを紹介。
 
彼らは‘トランジション・タウン’というコンセプトを、英国のトットネス(TOTNES)という8000人の小さな町で2006年に導入。
アイルランドに始まり世界で既に100以上の地域がトランジション・タウンとして公認され、導入検討をしている地域が1000以上あるという。
ナレッシュさん(左)はトットナムでのトランジッション・タウン創始者であるロブ・ホプキンス(右)氏と共に立ち上げた人。
 
同じくトランジション・トットネスで活動するソフィーさんは心理療法士であり、トランジションの重要性を精神面からアプローチ。
活動の紹介を、まずトランジションの必要性を、①気候変動②ピーク・オイルという2つの社会背景から解説。
 
未来をイメージする2つの典型的映画、左:マッドマックス状態OR右:スターwォーズ状態。
我々が選択すべき未来に向けたステップは?右は石油利用量の推移と4つの選択肢。
資源は無限をベースに成長、現実否定~資源が枯渇、絶望。の間に、トランジション(受容)という道筋。資源は最低限の利用を促す。
 
石油依存社会からの脱却を目指し、ライフスタイルを変えるための意識改革を地域で推進する草の根運動がトランジション・タウン。

トランジション運動の推進方法をトットナムの事例でナレッシュさんが紹介。
2006年にスタートしたばかりの運動は「A~ZのまだC段階」なのに世界に飛び火している状況。
そのC段階までのステップは、地域の有志6-8名で問題意識の共有を4-5ヶ月で行い
イベント公開で仲間を募り、右のようなテーマを討議し地域の英知を結集してゆく。
 
自治体とも協力し活動の市民権を得てゆく事で、メディアにも取り上げられ大きなムーブメントになっていったようだ。
プロジェクトが具体化した例として、カーシェアリングやバイオ人力車、地域通貨、昔の建築技術継承なども。
市民の意識共有が進めば「エネルギー削減計画書」の作成により、成すべき事をまとめあげる。
 
今日のセミナー後にも、トランジション・イベントの雰囲気を体験するワークショップ。「未来から現在に呼びかけるとしたら?」

会場に展示された著書や、トランジション・タウン各地のリーフレットなど。
 
一般的な市民活動と違う雰囲気の運動なのは、その‘ゆるさ’。若者に多く支持されているのはそんな所か。
環境運動派とは違う、ナチュラル志向でスピリチュアルなモノに魅かれるタイプの人達が集まっている様子。
今日の参加者も私が知る市民活動の皆さんとは違う年代・雰囲気の方々・・・取り組むテーマは同じであるのに面白い。

活動の肝と思えたのが、ハート&ソウル(心と魂)というワークショップが重要であるという事を強調された点。
「心を変えなければ、持続可能な行動にはならない」と。全く共感する。とは言え表面的な行動が重要でもある環境活動。
ただ基準やルールを作っても、ライフスタイルを変えるのは簡単ではないし、自分の行動に葛藤や不安も生まれ流されもする。
それを心理療法的に心からフォローする場があるのがこの活動の新鮮な所であった。