跳箱

跳び箱でも飛箱でも飛び箱でもとびばこでもいいけどそこはそれ跳箱なんです。体育日和のお供にどうぞ。

販売台数占い

2007-07-30 14:24:09 | ひやかし
発売直後に一部のアナリストが最初の週末だけで50万台売れたんじゃないか?と景気のよい煽りを入れていたものですが、AT&Tの発表した第二四半期契約実績では14.6万台、もう一方の当事者であるAppleの四半期開示では27万台と、どっちにしても期待はずれな結果に終わって(ここまで半年間市場を煽りに煽って右肩上がりまくっていたApple株価急落したとのこと。合掌。(もともと歴史的高値域だったんだから仕方ないとも)

たった二日間の販売実績数値であるにもかかわらずAT&TとAppleの発表が倍近く乖離しているトホホな問題についてCNETのTom Krazit氏がいい仕事をしているので一読されたい。

Krazit氏が指摘されている諸点について跳箱も同様の検討を行ったが、あまりに思考の取っ掛かりが少ないため、ある程度以上の確信を持って書けることがない状態だと白状しておく。

なにはともあれ、初期販売台数について市場の期待を(裏切った場合に自身に跳ね返ってくるリスクを受容して)膨らませてきたAppleは消費者がランニング支出(しかも期間縛り付き)を伴う消費行動に対してスポット支出のみの消費行動と比較してどの程度慎重になるかという点について経験不足を露呈したといえるのではないだろうか?端末売っておしまい、じゃないってことで。

さて、糞意地の悪さを身上としている跳箱であるからして発売前後の熱狂というか騒乱状態もおさまりハイプ曲線がはやくも幻滅期にさしかかろうとしているらしい(正月からこっちこのネタだけで引っ張り続けてきたんだから、情報としては消費されつくしているわけだし)、このタイミングでiPhoneに塩を摺りこんでみよう。

毎度おなじみCTIAによると米国の携帯電話契約件数は2006年末時点で233,040,781件、対して2005年末は207,896,198件なので、年間純増は25,144,583件となる。素敵です。

この国はここ数年の契約件数成長率が安定している上に、人口は3億人を超えていまだ増加中(つまり限界市場規模までまだまだ余裕あり)なので限界市場規模までまだまだ余裕あり、しかも一人当たり国民所得もさほど変化していないので、今年も前年同様2500万件前後の市場拡大は期待できるでしょう。

さらに、これまたおなじみNPDによると2006年の米国端末販売は143millionと新規加入者の購入分を差っぴいても1億1800万台の買い替え需要(もちろん、二台目需要等々含まれているはずですがめんどくさいから考慮しない)があったとのこと。これまた素敵です。大雑把に言って月間1,000万台が販売されていることになります。(以前と比べて買い替えサイクルが短縮されていている模様。だいたい2年に一度買い換える感じか。)

ちなみに、これまたNPDによると金額ベースでは全体が$8.8 billion($1=126として)平均販売単価は7700円弱となるので総販売台数中かなりの数がPay as you goなどの安価なプリペイド携帯($30-50程度)で占められていることが想像でき、高性能(高額)端末市場がさほど大きくないことが推察されます。

もひとつおまけにAT&TのInvestor Briefingを読むと、2007Q2の総合ARPUは$50.63、内データARPUは$25.92(Wireless Data Revenuesが$1651MでSubscribersが63.7Mと公表しているんだから、ついでに内数もつけておいてほしいものです)とデータの稼ぎが良いことったらありません。データ通信カード様々でありましょう。もっと言うとデータ通信モジュール内蔵ノートパソコン様々なのでありましょう。ビジネスユーザー依存率高そうです。(まるでちょっと前のWillcomみたいです)米国の携帯電話利用者は他国と比較して伝統的にMOUが突出して高いので、このデータARPUの急上昇は注目に値すると考えます。(いや、なに、ビジネスユーザーがものすごい勢いでカネ払っているだけなんでコンシューマーに即波及するとは思えないですが)

要するに、低単価端末にプリペイドSIMを組み合わせた低ARPU顧客層がすごい勢いで増えつつあると同時にデータ通信カード内蔵ノートPCやBlackberryなどのスマートフォンを経費でじゃぶじゃぶ使う社用族層の二つのセグメントが伸びている状態のようです。(このエントリで引用している公開情報だけだと、これ以上突っ込んだことは言えないけど、某社や某社のデータを引用するともうちょっと詳しいことが判る。が、さすがに経費で買ってるン百万円のデータをここで引用するのは憚られる...。)

もう一方、年初に発表されたCEAのState of the Industryにおいても指摘されている通り、デジタルポータブルオーディオの販売は成長期を脱し安定期に突入していますので、2005年末の20%から数ポイントしか所有率は伸びていないと見られますから、iPodはすでに新規購入ではなく買い替え需要が中心の市場に遷移(米国市場の話だよ)してしまっていると推測できそうです。

やれやれ、ここまで整理すれば(しなくたってホントは判りそうなもんだけど)お分かりいただけるでありましょう(誰に?)。iPhoneはiPod利用者でかつスマートフォン利用者(所有者とはしない)で且つ、平均的端末価格の10倍にもなる高価なイニシャルコストを支払え、さらに最大で平均ARPUの2倍のランニングコストを2年間に渡って支払い続ける意思と能力のある顧客層にしか手の届かない商材であり、さらにAppleという会社とその製品に対して好感を持っている層でなければ購入してくれそうも無い商材でもあります。

跳箱は年末までに(提携キャリアが増えるとか、プライスアクションするとか、新製品出すとか)なんらかのてこ入れ策が実施されない限りiPhoneは100万台以下の販売実績に終わってもしかたないんではないかと考えています。(もっと言うと50万台以下でもおかしくないとも思ってます)

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1 コメント

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いまさら (跳箱管理人)
2007-07-30 17:36:55
気づいたんだけど、iPhoneのプライシングってiPod(例:80GB $249.00)+スマートフォン(例:BlackBerry 8800 $499.99但し2年縛りディスカウント前)=$748.99ここから2年縛り割引$150.00すると$598.99)ってな説明な訳?

ちょっとなぁ...。