vagabond の 徒然なるままに in ネリヤカナヤ

エメラルドグリーンの海,溢れる太陽の光,緑の森に包まれた奄美大島から,乾いた心を瘉す写真をお届けします。

YS11

2006-09-30 22:49:56 | ネリヤカナヤ etc.
唯一の国産旅客機YS11が,今日,日本の空から姿を消した。
ラストフライトは,本日の奄美群島の沖永良部島 発,鹿児島 着の便。
YS11を国内で保有しているのは,JAC(日本エアコミューター)だけだが,JACが最初にYS11を飛ばしたのが,この航路であることから,ラストフライトの白羽の矢が立ったそうだ。
奄美群島から本土の病院へ急病人を運んだり,また,棺に乗って島へ帰る人を運ぶ役割を果たしもしたようだ
思わず,今日の「桜子」のエピソードを思い出してしまった…
(ラストフライトの記事はこちら


ずんぐりむっくりのYS11。
エンジンはロールスロイス社製で,古いながらも軽快な音色が心地よい。
他社製と違って,「遅くても落ちない」という妙な安心感を感じる飛行機でもあった。
パイロットや整備士にはかなりの負担をかけたようだが(こちら参照),その分,人間味を感じた。

わずか182機を製造しただけに終わったYS11。
その挫折の原因を分析すると,タラップ車を整備していない空港が多いことを見過ごしていたなどCS(顧客満足)の不徹底,ブランドイメージが定着していないことに伴う販促費の想定外の過大な支出,寄せ集めでのプロジェクトゆえの責任所在の不明確などが挙げられるようだ(先日のクローズアップ現代の内容を要約するとこのようになろうか)。

今,三菱重工が,第2の国産飛行機の製造・販売を目指して頑張っているらしい(こちらの記事)。
期待のカラーリングは,歌舞伎の隈取りを意識したものらしいが,さて,その性能と販売力はいかに。
経産省も,日本の製造業の技術力の頭打ちと陳腐化に大きな危機感を抱いているようで,相当の力を入れているようだ。
抽象的な理念先行型のトップのキャッチフレーズよりは,よほど獲得目標が明らかで具体的な夢のある話で,大いに好感が持てる。
試乗会等があれば是非手を挙げてみたい。

ところで,YS11の方は,第2の人生をフィリピン等の海外へ売却されて過ごすようだ。
平和的に使われるようで何より。


YS11の機内は,かなり手が入れられているようで,非常に奇麗だ。
機内設備だけ見れば,最新鋭のプロペラ機と大差ない。
乗り心地は,エンジン音が"揺らぎ"を感じさせ,体に共鳴するような妙な響きをも感じさせるB社製に比べて,かなり快適。
衝突防止装置の義務づけにより,退役させるにはもったいなく感じるのは私だけではあるまい。

この日(2006年7月)の乗船率は,恐らく100%。
そのうち3割程度は,航空マニアっぽかった。
私の隣席の方は,東京からYS11に乗るために足を運んだそうで,しかも,この日にYS11に乗るのは,(たしか)4度目と言っていた
マニアを駆り立てる何かを間違いなく持っていた国産機。

YS11,安全な日本の空の旅を40余年にわたって提供してくれてありがとう

【2006.7.8 福岡空港 Canon EOS Kiss デジタル with TAMRON AF18-200mm F/3.5-6.3】
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