(『ヤマトタケル』においては、各幕 三回に分けて、記録いたします事をご了承願います。)
ヤマトタケル 二幕目/三幕
二幕目も舞台構成と筋書きの巧みさに食いついた感がある。
猿之助劇団率いるスーパー歌舞伎は、先日も申しましたように、初めてでした。
古典歌舞伎とはまた違った方向性を持つ舞台の面白さ。
これもまたよし!と、観客の心をとらえる。
一般の歌舞伎とは、全く別世界の舞台である。
二幕目
タケルは無事に熊襲から帰る。
帝から褒美。
最も美しいものとして、衣装は冠も着物も、藤の花の兄姫を承る。
『今度は藤娘か・・・。』
と、内心つっこむ。
今回観たスーパー歌舞伎の『ヤマトタケル』は、パロディが多い。
どうしても私の好きな ネオ歌舞伎の『花組芝居』と比較してしまう自分に気づく。
話を戻そう・・・。
ヤマトタケルには さらに、最も大きなものとして、蝦夷の国を与えられる。
つまり、蝦夷を征伐せよとの意。
「参ります、参ります…。」
とへたる タケル。
「父上は私に、死ねとおっしゃるのです。」
と、泣いて訴える。
赤と白の神宮を表わした舞台は、洒落ている。
倭姫の
「強い男ほど、向かい風を受けるものです。」
の言葉は印象的。
舞台は富士山の裾野の、焼津。
後ろ姿のまま 神座(岩)の上にはタケルと、タケヒコ。
おそらく 神楽風と思われる、太鼓と笛のリズム。
二人の衣装も見どころといったところか。
タケヒコの まな板帯(或いは化粧回し風)の衣装はインパクト大也。
ヤイレポ・ヤイラムという変わった名の兄弟に騙され、炎に囲まれル二人。
タケルは倭姫から賜った(袋の)火打ち石で、追い風にのせて、向かい火で逆襲。
「強い男ほど、向かい風を受けるものです。」
という 前出の倭姫の言葉と、火の行方をかけてあることは言うまでもない。
舞台幕は赤、赤い衣装の大人数。
手に手に持たれた赤、赤、赤。そして、赤いライト。
炎や布の赤で的見方をうまく表現。
構図も素晴らしく、みとれてしまう。
見事な赤の表現の中で、赤の衣装に身をまとった役者たちが踊り狂い、バク転に継ぐバク転。
京劇風動きを見ると、猿之助劇団を観ているといった思いが高鳴る。
私は、この劇団では、これが観たかったのだ。
これがスーパー歌舞伎か・・・。
それはまるで、昔の猿之助丈を観ているようだった。
炎の幕が一瞬にして落ち、火の精も消える。
タケルとタケヒコの勝利。
命尽きた兄弟。
「二人は 燃え、煙となって 消えてゆくのだ…」
ここで、例の音楽、
『♪じゃじゃじゃじゃ じゃぁ~~ん!♪』
が高らかに鳴る。
ここで一言。
『焼津』という地名は、以上の出来事から名付けられたともいわれている。
倭姫からのご配慮で、逢瀬を楽しむ弟橘姫。
タケルの衣装も変わり、恋は熟する。
ここで一言。倭姫と弟橘姫を混乱してしまい、人物を間違って書いておりました。今回も親切な方に お教えいただくことができて、訂正いたしました。心より感謝いたします。ありがとうございます。これからもご指導承りますよう、宜しくお願いいたします。
船を走らせていると、海は荒れ狂う。
「海の王(おおきみ)に、一番美しい物を貢ぐように。」
との、お告げ。
神は古代から 生け贄がお好きである。
涙をのんでの別れ。
海には九枚の畳を敷かれる。
この九枚というところも、中国の影響か。
大海原に敷くには、ふさわしき数字といえよう。
ここで感心したのは畳の表現。
布で荒波を表わしていたが、畳部分は下につまみ下ろされており、畳を敷く時となって初めて布を全体にひき、畳を表わした。
歌舞伎や舞台ではよく使われる表現だが、今回は違う表現と思いこんでいたため、良い意味で、まんまとペテンに引っかかった感じがする。
この自分勝手な勘違いのどんでん返しは、快い。
「命様が敷いてくれた畳の上で、いつまでも眠っていられることができますもの・・・。」
と入水。
舞台中央から下手に流れる弟姫。
強気で大丈夫と言い、相手(ヤマトタケル)を思いやったものの、弟姫は泣く泣く 海に飲まれていく。
この場面、玉三郎丈の舞台でも観たが、こういったパロディ(似た場面)が多いのも、『ヤマトタケル』の特徴。見事に楽しい。
こうして弟姫は、海の君となられる。
乙姫の語源は、弟姫(オトヒメ)だったか・・・。
劇団の例のリズム、
『♪じゃじゃじゃじゃ じゃぁ~~ん!♪』
が耳から離れぬ。
これが本当の音姫(弟姫・乙姫)か・・・と言った馬鹿げた妄想は、水に流そう・・・。
姫は流れる・・・。
姫は沈する。
ヤマトタケルは船に乗ったまま、姫との別れを嘆き悲しむ。
動作にして、ちょうど『俊』の逆バージョン。
ことごとく、パロディは連射される。
美しさと切なさと、品の良い趣を兼ね備えた場面だった。
配役
小碓命/市川右近、市川段治郎(ダブルキャスト)
タケヒコ/市川右近、市川段治郎(ダブルキャスト)
兄橘姫、みやず姫/市川笑也倭姫
帝の使者/市川笑三郎老大臣
尾張の国造の妻/市川寿猿
ヘタルベ/市川弘太郎、市川猿紫(ダブルキャスト)
弟橘姫/市川春猿伊吹山の山神
帝(夜の部)/市川猿弥皇后
伊吹山の姥神/市川門之助帝
何でも電話帳くらいの厚さの台本を猿之助丈に渡され、二人がかりでスーパー歌舞伎の脚本に練り上げられたとのことです。
筋書きがびしっとしていて、舞台は工夫されている。楽しい舞台です。
何だか、今回舞台を観に行ったというより、何かと勉強になる。古事記でも読もうかとも思ったのですが、考えただけでも大変そう・・・。(爆)古典は少しは好きですが、こういった神話は無知なので・・・四苦八苦、悪戦苦闘しながら、勉強をかねて記録しています。
・・・というわけで、今回はバカみたいに長く書き込んで記録しています(笑)
読んで下さいまして、ありがとうございます!
http://www.city.izumo.shimane.jp/icity/browser?ActionCode=content&ContentID=1208764626460&SiteID=0&ParentGenre=1000000000040
?
倭姫から夜のお供にと与えられた(という言い方は好きではないが・・・)のは弟橘姫。
「強い風を受ける」と言ったのは倭姫なので間違いありません。
スーパー神楽のご紹介、ありがとうございます。楽しそうで、魅力的ですね。こういった神楽も観てみたいです。元は二年半前に、益田で、スーパー神楽のポスターを見つけた事から神楽が私の中でふくらみはじめたのです。二年前に、すでに 超お気に入りポスターでUPしていました。
本来の姿の神楽も観たい気がしますが、なかなか 難しいのでしょうね。まずは舞台で観てみるといった方法がいいだろうなと感じています。
今回私にとっての『ヤマトタケル』は、登場人物と、おもだかやさんの役者さん名とのダブルで、馴染みのないものでした。
これではいけないと思い、まだ何とか覚えている間にあらすじを記録しておきたいと思いました。いつもになく、初めて三回に分けての記録。やはり固有名詞の部分で、入り交じってしまったようです。
ごろう様に教えていただかなければ、間違ったまま覚えるところでした。ありがとうございます。心より、感謝いたしております。
これからもご指導のほど、宜しくお願いいたします。
乱鳥