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乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

『通し狂言 霊験亀山鉾』   大阪松竹座壽 初春大歌舞伎

2009年01月25日 | 歌舞伎

  大阪松竹座壽 初春大歌舞伎

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 夜の部

 

 一、通し狂言 霊験亀山鉾(れいげんかめやまほこ)  

 

 序 幕 甲州石和宿棒鼻の場より      

      播州明石網町機屋の場まで  

 二幕目 駿州弥勒町丹波屋の場より      

    同 中島村焼場の場まで   

 中 幕 春寿松萬歳   

 三幕目 播州明石機屋の場  

 四幕目 江州馬渕縄手の場  

 大 詰 勢州亀山祭敵討の場   

 

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 一月二十一日、家族と 大阪松竹座壽 初春大歌舞伎夜の部の『通し狂言 霊験亀山鉾』を楽しむ。

 家族はこの日、久しぶりの休みとあって、目を輝かせて舞台を眺めていた。

 土日返上で早朝から出勤デ仕事だった彼にとっては、またとない骨休みだったことだろう。

 

 さて舞台は、格好良かった。

 これは鶴屋南北が松本幸四郎のために書き下ろした芝居と言うだけあって、仁左衛門を堪能するためにあるような芝居。

 

 この芝居を楽しむための重要ポイントは、大きく くくって二つと考えられる。

 一つは仁左衛門丈を楽しんだ上で、現在の幸四郎丈ならばどういった演じ方をするかを想像する。

 もう一つは、この芝居はいろいろな歌舞伎の芝居をつなぎ合わせたようなところがあるので、どういった芝居が土台になっているか、又 どのようにパロディかされているかを探る点にあると言えよう。

 このように大胆発言を毒舌すると、お叱りを受けるかも知れないが、私としてはこのように感じる次第である。

 

 まず一点目。

 これを妄想すると、時間はすぐに過ぎる。

 仁左衛門丈と幸四郎丈では、藤田水右衛門及びの八郎兵衛は全く違った人に写るような気がする。

 私は両役者が高校時代から好きなので、どちらがいいとはいいがたい。

 両方がそれぞれいい持ち味で、役を全うし 舞台上を跳ねると感じる。

 この芝居は 関西では七十七年目に興行されたとのこと。

 幸四郎丈で演じられていないばかりか、歌舞伎好きの見巧者とて この芝居を観ずに一生を過ごしてしまった方も多いのではないかと思われる。

 こういった役者のための芝居も、もう少し多く興行されてもいいとは思うが、案の定、今回も空席が未だあるのは残念な事だ。

 

 もう一点は何の芝居のつなぎ合わせられたかを探り、どのようにパロディかされているかを考えるのは非常に楽しい。

 夏祭りや油地獄ならいざ知らず、すし屋あり五右衛門あり鳴神あり忠臣蔵あり鈴ヶ森あり・・・・・・。

 どれだけつなぎ合わせればいいのかといった他の芝居のてんこ盛り具合には、満足。

 芝居を観ている間中、ほくそ笑むといった具合だ。

 

 南北の筋書きはしっかりしている。

 ただ難点を言えば、話が単純過ぎる。

 初めから最後までストレートでひねりが無い。

 まぁ、古典歌舞伎の筋書きは誰でもわかる単純なものが多いので、こんなものだろうとは思う。

 この芝居は心情の揺れを楽しむものではなく、あくまでも役者のかっこよさを楽しむことに徹するが良いと思う。

 見得であったり形であったり、台詞のアクセントや太刀さばきや衣装や鬘(かつら)に目を向けると非常に良い。

 見得やにらみやだんまりなどといった歌舞伎独自の醍醐味も魅力といえよう。

 

 千秋楽まで余すところあと二公演。

 もう一度いこうかと迷ってはいたが、今回はやめておこう。

 ネットで調べてみると、一人席をとると、二十六日十五列目、千秋楽は四列目どぶ席となっていた。

 まぁ、次回のお楽しみということで、無事めでたく今回の壽 初春大歌舞伎の昼夜観劇も無事楽しむことができた。

 これも家族のおかげと、心より感謝。

 日々家族のために健康を考えた食事作りに専念する私である。

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 藤田水右衛門/の八郎兵衛  仁左衛門

 丹波屋おりき/貞林尼  秀太郎           

 掛塚官兵衛  翫 雀            

 石井兵介  進之介         

 源之丞女房お松  孝太郎    

 石井源之丞/石井下部袖介  愛之助        

 轟金六/大岸主税  薪 車         

 六之進妻おなみ  吉 弥           

 芸者おつま  扇 雀        

 大岸頼母/仏作介  段四郎            

 藤田ト庵  我 當               

 

 萬歳  藤十郎

 

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 松竹株式会社より定期的に配信されている『歌舞伎美人』より 

 あらすじ ↓

 

 亀山の仇討  藤田水右衛門は石井右内との立会いに敗れた腹いせに、石井右内を闇討ちで殺し「鵜の丸」の一巻という秘書を奪います。

 そして敵討ちにやってきた石井家の人々―右内の弟兵介、養子の源之丞、家来の轟金六、源之丞と恋仲の芸者おつま等を卑怯な手を使って次々と返り討ちにしていきます。

 最後には曾我祭りの鉾が取り囲む亀山城下で大岸頼母の助けを借り、石井の一族であるお松、源次郎、下部袖介らが水右衛門を討ち、本懐を遂げます。  

 

 四世鶴屋南北の仇討物の最高傑作と言われる『霊験亀山鉾』。

 初演は文政五年(一八二二)ですが、上演はこれまでにわずか数回しかなく、関西では七十七年振りというまさに幻の復活狂言です。 

 本作の題材である「亀山の仇討」は「忠臣蔵」の元になった赤穂浪士の吉良家討ち入りの前年に起きた実際の出来事で古来、芝居に小説にと数多く脚色されていますが、なかでも名作とされているのが、この『霊験亀山鉾』です。  

 

 もともと南北の作品は悪役なのに色気もある「悪の美学」が真骨頂です。

 この作品でも主人公・藤田水右衛門の徹底した冷血漢ぶりが、かえって不思議な魅力を漂わせており、序幕から敵討ちにやってきた石井家の人々を、権謀術策の限りをつくし次々と返り討ちにしていく水右衛門の非情さがこのお芝居の大きなみどころになります。  

 

 また、今回の上演の中心となる二幕目の「丹波屋」から「中島村」には、水右衛門の行方を捜す源之丞とおつまの前に謎の男・八郎兵衛が現れます。

 この八郎兵衛と水右衛門が瓜二つという奇抜な設定、八郎兵衛の正体が顕れるどんでん返し。

 また燃え盛る火の中、棺桶を破って水右衛門が現れる衝撃的な場面など南北の芝居の特色が十分に出た一幕となっています。  

 

 ほかにも、水右衛門の実父卜庵が石井家の者に自ら進んで討たれて合敵(お互い敵同士)となりますが、この時水右衛門が初めて人間らしい感情を見せて親の死を嘆く展開など、みどころ豊富な話題作です。  

 水右衛門と八郎兵衛の二役に仁左衛門、実父・卜庵に我當、貞林尼と丹波屋おりきに秀太郎、大岸頼母に段四郎、掛塚官兵衛に翫雀、おつまに扇雀、石井兵介に進之介、お松に孝太郎、源之丞と袖介の二役に愛之助らの顔ぶれでご堪能下さい。  

 

 また、中幕では、藤十郎による『春寿松萬歳』をご高覧頂きます。

 お正月にふさわしい華やかな舞踊で、新春を賑やかに寿ぎます。

 

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笑えない!若者の奇妙な行動に 首を傾げる乱鳥

2009年01月25日 | 乱鳥徒然 Rancho's room.

(写真はイランのエスファハーン)

 

 

 先日、息子と 映画『感染列島』に行った際、少し気味が悪い思いをした。

 映画の内容ではない。

 

 劇場内は封切り当日というのに、がらがらに空いていた。

 私たち親子は中央ブロックの 通路よりの中央。

 息子は通路の定位置。

 空いていたので、私は指定席(つまり息子の席のとなり)から一席ずらせて 座っていた。

 

 開演5分前頃、薄い布地のリュックを背負った若者が入ってきた。

 かなりこちらを立ったまま凝視。

 ずっと見ているので、気に掛かる。

 もしや、彼の席を私が座っているのだろうか?

 不安は高まる。

 

 かなり長い間見つめているので、席を問うてみた。

 すると 

「いえ、席は13番です。」

 若者の席は数個左だという。

 すかさず 彼はたたみ込むようにいった。

「ここに座ってもいいですか?」

 それは私の真横の席だった。

 私は不振に思いながらも、

「どうぞ。」

と、微笑む。

 

 息子はすぐに私たち親子の真ん中に置いていた荷物を膝に抱え、私は、即座に息子の横に落ち着いた。

 いくら私がスマートな体型だといっても、精神的に息子の真横は窮屈な感じがする。(笑み)

 暫くすると、若者は自分の指定席に戻られた。

 どうやら、私たち親子できていることに、気がついてくれたらしい。

 

 映画が終わるなり、彼は足早に私たちの前を通り過ぎていかれた。

 結構真面目な若者だったらしく、私の前を通る際、

「どうも、すみませんでした。」

とお頭を下げていかれた。

 その行為がかえって私たち親子は度肝を抜かれた。

 

「どうも、すみませんでした。」

って、一体どういう事なんだろう・・・。

 多分、私を移動させたことか・・・。

 

 息子は、自分より少し年上の二十代学生だという。

「どうも、すみませんでした。」

の言葉には、息子も目が点。唖然としていた。

 

 息子が言うには、例え隣の席が指定席であったとしても、劇場ががらがらの場合は 他の人から少し離したいらしい。それはおばちゃんに限らず・・・というのが本音らしい。

 健全だ。納得する。

 

 もしかして、この映画を一人で見るのが怖かったのだろうか・・・。

 それとも、母上様に先立たれたかわいそうな若者なのだろうか・・・。

 結局 あの若者の真意は、今となってはわからない。

 それにしても、あの若者の言動は 映画以上に奇妙だったことを付け加えておく。

 

 

 

 そんなこんなで、映画の記録をつける気になれなかった。

 映画『感染列島』記録 ↓

 http://blog.goo.ne.jp/usuaomidori/e/65e0f5c8ee1d240348ccefff3349e3ee

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『感染列島』  妻夫木聡  檀れい

2009年01月25日 | 映画

 

  『感染列島』

 

 日本 2009年

 

 監督・脚本 瀬々敬久

 

 キャスト

 妻夫木聡

 檀れい

 国仲涼子

 田中裕二

 池脇千鶴

 カンニング竹山

 佐藤浩市

 藤竜也

 

 

 もう随分前のことだが、1月17日土曜日。

 子どもと 映画『感染列島』を見た。

 とても怖かった・・・。

 怖くて、家に帰ってからも、目に見えないウイルスが充満しているように感じた。

 

 この映画も、アメリカの『ツイスター』のように、政府が関わっているのかもしれないと思うと、余計に恐ろしい。

 以前劇場で見た『日本沈没』よりも数倍、怖かった・・・。

 人ごとではない。

 テレビでは特集を組んで、鳥インフルエンザが広がった場合のシュミレーションを放映。

 また、最近ではタミフルが効かないインフルエンザも出現したという。

 こう考えると、人間も、一生物に過ぎない。

 本当に、先日書いた 人類奢ることなかれなのである。

 

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『奈良大和の祭り』から、奈良の暮らしを読む

2009年01月25日 | 美術・文様・展示物

(写真は信貴山にて。 2009.1.2)

 

 

 『奈良大和の祭り』から、奈良の暮らしを読む

 

 

 奈良の平城京近くで開催されている『 奈良大和の祭り』を楽しむ。

 写真集出版を機して、この個展を開かれたらしい。

 

 会場に着いてみると、作品の多さと素晴らしさに圧倒。

 絵画個展などにはこどものころから慣れ親しんできたが、写真展の個展ともなると、勝手がわからない。

 初めはぼんやりと眺めていたが、これがなかなか面白い。

 奈良の歳時記と言うだけあって、奈良の祭が満載。

 私は元 奈良県生まれではないので、知らない祭がことのほか多い・・・というよりも、知らない祭だらけである。

 この写真は親切。

 祭の土地や時期、月日まで書かれており、親切にも祭の内容や意味合いなどの記されていた。

 

 写真は祭にとどまらない。

 奈良の 神社や神にお供えする『神餞(しんせん)』や寺院や仏に供える『仏供(ぶつく)』などの写真が多く展示。

 こうなれば、ぼわんと見ている場合ではない。

 私はコートとバックをコインロッカーに入れ、メモをとりながら、丹念に見始めた。

 

『神餞(しんせん)』や『仏供(ぶつく)』は、今までに読んできた宮田登氏などの話を思い浮かべながらゆっくり見る。面白くてなかなか前に進まない。

 

 饅頭や餅などの並べ方一つにしても意味合いがあるようだ。

 K大学の講師をなさっている下鴨神社神主様の講義内容の又聞きしたことを思い浮かべる。

 赤米の盛り方や数にしても、天に通じたり 五穀豊穣につながる二(2)という数で、興味深い。

 これについては 後で入り口付近の東大寺の写真を見ると、火を使った神事の背景に写っていた。

 こういった見つける楽しみも加わる。

 五穀豊穣を祈願して、○根信仰の供え物や他にも意味深いものが多い。

 米や餅などにさされた竹や棒状のものは 天(あの世)に通じるのだろう。

 これは 仏に供える白米や墓の前に置く泥饅頭やカマにも通じるものがあると思われる。

 民俗学的な写真はこれまでにも見てきたし、大阪の民族学博物館でも多く展示されているが、奈良に限定してこれだけ数多く観られたということ葉素晴らしい。

 民族学的に見ても、意味があると感じる。

 

 きれいな写真と言うだけではこんなにも楽しめなかったかも知れない。

 以前から個人的な好みとして、写真に関しては人間と密着した 伝統芸能や祭や生活に密着した内容をテーマにおいた作品が好きだ。

 そうしてこの写真展は、写真家N氏の写真作品としても、また内容を考えても、私の好奇心を充分に満たしてくれた。

 

 今回の写真展は面白かった。

 多分 写真家の方は厚みのある人なんだろうと作品の数々を見て、想像した。

 写真集『なら大和の祭り』は写真を楽しむ方にとっても 今後奈良を満喫したい方にとっても満足できるのではないかと思われる。

『神餞(しんせん)』や『仏供(ぶつく)』などは会場の一部を厳選して、載せられていた。

 これからこの本をゆっくりと見て味わい、また熟読を楽しみにしている次第。

 奈良に住み、祭などを楽しむためのバイブルとして活用したいと思える一冊に出会ったことを、非常に喜んでいる。

 

 

 写真展  『奈良大和の祭り』

 会期 2009年1月21日(水)~1月25日(日)

 時間 10:00~17:30

 会場 奈良市美術館

 

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13: 『神の民俗誌』  宮田登 著   岩波新書 黄版97

2009年01月25日 | 民俗学、柳田國男、赤松啓介、宮田登、折口信夫
 

(写真は奈良の信貴山。正月参拝の折。丸く光って見えるのは、小銭を貼り付けられているもよう。2009.1.2 )

 

記録だけ  

 

2009年度 13冊目  

 

   『神の民俗誌』

 

  

 宮田 登 著

 株 岩波書店

 岩波新書 黄版97

 1979年9月20日

 193ページ 320円

 

 今回も私の好きな宮田 登 著の『神の民俗誌』を楽しむ。

 やはり興味深い。

 

 宮田 登氏の話の中に度々出てくる「木花開耶姫(このはなさくやひめ)」の話は、好きだ。

 これは『日本書紀』巻二に記されている。

 

「箒の神」は、はき出すとか 掃き寄せるとか。

 これはケガレとハレに関するのだろう。

 箒の丸く絞った形も、いかにも心霊が宿りそうで、こういったものを神に見立てる日本人の知恵には驚きと同時に、納得もする。

 こういった形は妊婦や出産にも見立てられている。

 妊娠中トイレを掃除するといい子が生まれるといった言い伝えは、こういったところから来ているとのこと。

 納得。

 

『江談抄』や『諸社通用神祇服忌大成(じんぎぶっきれい)』http://www.wul.waseda.ac.jp/kotenseki/html/wa03/wa03_06343/index.htmlの例は興味深い。

『諸社通用神祇服忌大成』での 「魚鳥、大社無憚 (魚鳥、大社にて はばかり無し) 」は、わた其の場合は 大神神社(三輪神社)の神餞(しんせん)である つるされた鯛と雉を思い浮かべる。

 

『仏説目連正教血盆教』の、「血の池地獄」

 そうだったんだと変に納得。

 

 鍛冶屋の話は以前読みかけたままになっている柳田國男氏の『一つ目小僧』に関連性があるのだろうか・・・。

 職人の技術が呪術者としての役割も含むといった説もこの本には記され、全体を通して、非常に興味深く読んだ。

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