(写真は信貴山にて。 2009.1.2)
『奈良大和の祭り』から、奈良の暮らしを読む
奈良の平城京近くで開催されている『 奈良大和の祭り』を楽しむ。
写真集出版を機して、この個展を開かれたらしい。
会場に着いてみると、作品の多さと素晴らしさに圧倒。
絵画個展などにはこどものころから慣れ親しんできたが、写真展の個展ともなると、勝手がわからない。
初めはぼんやりと眺めていたが、これがなかなか面白い。
奈良の歳時記と言うだけあって、奈良の祭が満載。
私は元 奈良県生まれではないので、知らない祭がことのほか多い・・・というよりも、知らない祭だらけである。
この写真は親切。
祭の土地や時期、月日まで書かれており、親切にも祭の内容や意味合いなどの記されていた。
写真は祭にとどまらない。
奈良の 神社や神にお供えする『神餞(しんせん)』や寺院や仏に供える『仏供(ぶつく)』などの写真が多く展示。
こうなれば、ぼわんと見ている場合ではない。
私はコートとバックをコインロッカーに入れ、メモをとりながら、丹念に見始めた。
『神餞(しんせん)』や『仏供(ぶつく)』は、今までに読んできた宮田登氏などの話を思い浮かべながらゆっくり見る。面白くてなかなか前に進まない。
饅頭や餅などの並べ方一つにしても意味合いがあるようだ。
K大学の講師をなさっている下鴨神社神主様の講義内容の又聞きしたことを思い浮かべる。
赤米の盛り方や数にしても、天に通じたり 五穀豊穣につながる二(2)という数で、興味深い。
これについては 後で入り口付近の東大寺の写真を見ると、火を使った神事の背景に写っていた。
こういった見つける楽しみも加わる。
五穀豊穣を祈願して、○根信仰の供え物や他にも意味深いものが多い。
米や餅などにさされた竹や棒状のものは 天(あの世)に通じるのだろう。
これは 仏に供える白米や墓の前に置く泥饅頭やカマにも通じるものがあると思われる。
民俗学的な写真はこれまでにも見てきたし、大阪の民族学博物館でも多く展示されているが、奈良に限定してこれだけ数多く観られたということ葉素晴らしい。
民族学的に見ても、意味があると感じる。
きれいな写真と言うだけではこんなにも楽しめなかったかも知れない。
以前から個人的な好みとして、写真に関しては人間と密着した 伝統芸能や祭や生活に密着した内容をテーマにおいた作品が好きだ。
そうしてこの写真展は、写真家N氏の写真作品としても、また内容を考えても、私の好奇心を充分に満たしてくれた。
今回の写真展は面白かった。
多分 写真家の方は厚みのある人なんだろうと作品の数々を見て、想像した。
写真集『なら大和の祭り』は写真を楽しむ方にとっても 今後奈良を満喫したい方にとっても満足できるのではないかと思われる。
『神餞(しんせん)』や『仏供(ぶつく)』などは会場の一部を厳選して、載せられていた。
これからこの本をゆっくりと見て味わい、また熟読を楽しみにしている次第。
奈良に住み、祭などを楽しむためのバイブルとして活用したいと思える一冊に出会ったことを、非常に喜んでいる。
写真展 『奈良大和の祭り』
会期 2009年1月21日(水)~1月25日(日)
時間 10:00~17:30
会場 奈良市美術館
そうできればいいなと思っています^^
毎日が楽しいです^^