(写真は『ペルシャ文明展』で購入のパンプレット中の『山羊像頭部』)
ペルシャ文明展 大阪歴史博物館
7月28日。大阪歴史博物館で行われている『ペルシャ文明展』&『サントゥール演奏会』に行く。
ペルシャらしい文様や展示物が多く、好きなもの、欲しくなるものも多くあった。
私の好きな唐草文様や獅子狩文様の銀皿などもある。
今回の収穫は、イランではポピュラーなひよこまめの形にもなっている一般的な花柄文様。
花柄文様だと思っていたが、説明を読みすすめるうちに、『ロゼット葉文』という一説があることがわかった。なるほど、ロゼット葉も花も、じゃんけんぽんの パーのように広がっている。
またイランではおなじみの連珠文も、『ゾロアスター教』の五穀豊穣を願った文様とのこと・・・知らなかった・・・・・・
先ほども書いたように好きな展示品が多かった。
8の彩文土器の台付き杯。
イラン高原の新石器時代に特徴的な彩文土器とのこと。
鳥文様が描かれ、台は放射状に見える文様。
彩文土器はほかにも好きなものが多くあった。
4のように横一列に連なる動物意匠はかなり様式化されている。
角を強調したその表現から、当時もっとも身近にいた家畜動物の羊あるいは山羊と思われる。
動物形土器 のこぶ牛形土器も、とことん単調な形が面白い。
それでも角は立派。
共通して、耳にイヤリングをつけていつのが特徴的。
これは多分、五穀豊穣と子孫繁栄を願って、牛を女性に見立ててのことだと思うのだが・・・・・・
魚形土器はイランでは珍しいらしい・・・
口から中を覗くと、中に美しく光が漏れていた。
こういった時に酒でも入れて、
「あらあら、あなた、お酒がつぎにくいわねぇ・・・。」
「おっとっとッと・・・いいじゃないか、こぼれたって・・・。」
「あら、あなた・・・。」
ぽわーーん。
・・・なんてことにならないとも かぎらないのである。
29の鉢はいろといい、文様といい、好きだな。
こぶ牛、豹、蛇が描かれている。
形は蕎麦猪口を少し平べったくした感じ。
31の山羊頭装飾小鉢。
これは上から見ても素敵。
かがみこんで 下から見ると男前な器。
色よし姿良し、性格良しの男らしい器だった・・・
33の境界石。
石灰岩に文字が刻まれており、ずっしりと安定感がある。
これはおそらく、日本のお地蔵さんのような役目を持つのであろう・・・
リュトン(角杯・41)を見た子どもは、
「木に掛けると面白い。木に掛けると面白い・・・」
といい続け、父親に怒られていた。
なるほど木の上で酒を飲み、酒に酔ったヘベレケの男が、リュトンを木に掛け、
「俺はリュトンのような宝を持った男・・・」
と、ペルシャ的な詩でも唱えようものなら、面白いかもと、ひとりほくそ笑む私・・・。
42の銀製円盤はイランの特徴的文様と色合いが好きだった。
家族にこういったものに近い工芸品はあるかと問うと、
「ないよ。」
と、一笑された。
46のような嘴形注口容器は陶器や銅せいにかかわらず、ペルシャには多い。
この嘴のとんがった注口容器、ガラクタでいいから、一つ欲しいな・・・
76の一角獣小像は、基本的なところが、家にあるものに形と色が似ていて好きだ。
家にあるものは背中のうえに101(印章)そっくりの鳥が乗っかっているんだ。
余談だが、北海道のビッキーというアイヌの方が彫られた、『幸福の鳥』も、ペルシャの鳥に、似た形状で好きだ。
104のダレイオス1世の銀製定礎碑文は銀版の上に文字が刻まれている。
古代ペルシャ語とエラム語、バビロリニア語といったたいそう難しそうな言語が、楔形文字で表記されているらしい。
美術的に見ただけでおはずかしい事だが、えらく美しい。
この碑文を入れたという、定礎碑文埋納容器(105)は、外側も中側にも、ナイフで全体に刻み付けた文様が見られ、現代美術のような感じ、斬新な容器。少しカンデンスキーを思い浮かべないでもない。
・・・というよりも、カンデンスキーの絵画は、アフリカはもちろんのこと、古代ペルシャのにおいもする。30の筒形杯のマット目文様といい、こぶ牛といい・・・他にも例をあげれば、きりがない。
110のホルス神の飾り板(タイル)の文様と形も好きだ。111のロゼット文の装飾タイルも素敵だ。
ペルセポリスなどの浮き彫りは、重量のせいか、今回 大きいものは展示されてなかった。
こういったものは、現地で遺跡を見るに越したことは無いのかも知れない。
113の浮き彫りはデッサン力が素晴らしい。
かなり美形の男前二人が刻み込まれ、うっとりとする・・・
後ろの男は壺を胸高にかかげている。
これは朝の神か王に対する捧げ物であろうかと思われる・・・
中が酒なのか水なのか・・・
もし酒だとすれば、古代のペルシャ人は朝から酒を・・・現在のイランでは考えられないことである。
122の四耳鉢の大好きだ。
色も形も美しく、ロマンさえも感じる。
四隅にライオンのとってが付けられている。
中国の博物館で、高杯の脚部分三箇所に、蛙のついたものを見たことがある。中国では、蛙は輪廻、再生を表す吉祥文様である。
それを考えるとライオン文様も、ペルシャでは力を見せ付けるための吉祥文様だと考えられないことも無い。
123の皿は、一言、
色が・・・美しすぎる。
153の水差し。
ガラスの色が変色し、美しすぎる・・・
ほしい・・・・・・
他にも正倉院のそれと類似する切子椀。切子瓶などもある。
正倉院のものに比べて色が篭り、変色。
私の場合は この変色した今回のペルシャ文明展の切子椀や切子瓶の色彩の方が 好きだった。
これらも、ほしい・・・・・・
好きや好み、欲しいかななどだけで今回も数時間見て回った『ペルシャ文明展』だったが、時間が全然足りない。
『ペルシャ文明展』はもう一度朝から訪れ、ゆっくりと見て回りたい。
次回は 歴史的観点から展示物を楽しみたいものだと、感じた。
感情には偶像否定の展示物は無かった。
この偶像否定は時代がもっと新しいのだろうか・・・
いつもながら、歴史に疎い乱鳥である。