京都の三千院には『虹の間』があります。
下村観山作の大胆な構図の虹の襖絵で、勢いのよいの虹が鴨居の上から襖に向かって、いっきに勢いよく描かれています。
この虹の絵には赤は使われてません。
この『虹の間』の奥は『玉座の間』があります。
庭から『虹の間』を覗くと、『玉座の間』は右に当たります。
この『玉座の間』がちょうど虹の『赤』にあたるために、赤は除かれているとタクシーの運転手さんがおっしゃってました。
『玉座の間』の天井は組み木?のようになっており、侵入者を防ぐものだそうです。これがまた美しい天井で、見とれてしまいます。
また二重にせりあがった台座の上に座布団がひかれ、下から敵の刀が通らないようになっているとのこと。
よく考えられた御部屋です。
『虹の間』と『玉座の間』の境目には簡素な襖四枚で仕切られており、襖は全開されてはおりませんでした。
左右両方が絶えず三、四十センチ閉じられているそうです。
この襖を開けることができるのはここまでで、あとの三、四十センチは開かずの襖です。
これも敵がなだれ込む危険を防ぐための工夫ということです。
掛け軸には『楷書』『行書』『草書』など全てが含まれた勢いのよい『鷲』という文字が掲げられています。これは王義之が書かれたものだそうで、とても嬉しくなってしまいました。
『虹の間』『玉座の間』から庭を望むと美しい杉がそびえたっています。
美と機能性を考えられた二つの間は、見事な出来栄えとしかいいようがありませんでした。
二間とも趣向の凝らした部屋で、とても楽しむことのできる空間でした。
写真は『虹の間』です。
廊下の外から内側に向かってフラッシュ無しでシャッターを押したのですが、虹が途中まで写ってくれていました。
2006'12'01