上・中・下・普通

2016年06月14日 | おとうちゃん

 

父は不祝儀に詳しい人だった

いくら包めばいいのかわからないとき

父に電話をかけて、きいた

 

父は町会長をしていたとき

地域で大きなお葬式があると、葬儀委員長を頼まれていた

一番詳しい人が、いなくなってしまったので

それは大変だった

 

病院の霊安室で弟と会ったとき

「お寺と葬儀屋さんに電話をした」と言っていた

 

ぼうさんは、8.9.10 がいいと言ってた

どうしてもなら、土日でもなんとかする

 

「旅行の予定でもあんのかな」 弟が笑った

 

菩提寺は幼稚園経営もしている

私も弟も、甥姪も この幼稚園に通っていた

園長と住職の兼業なので、土日は休みたいのだろう

 

検死の都合もあり、9日・10日に決めた

葬儀屋さんも、空いていると連絡をくれた

父はこの葬儀屋さんの互助会に入っていた

 

 

家に戻ってから、戒名のことで再び電話をした

「普通で50万です」

ゴニョゴニョ言われるより、はっきり言ってもらった方がいい

その上は100万だとも聞いた

 母にどうするか聞いた

「普通でいい」と答えた

 

翌日、葬儀屋さんが、父を連れて帰ってきてくれた

先に、ワンボックス車が来て

実作業をする人が3人来た

父を受け入れる準備をし、その後、父をきれいにしてくれた

 

 

父と弟が戻ってきた

 

父を乗せてきてくれた人がコーディネーター のような 話を始めた

父がいないので、弟と私で決めるしかない

 

祭壇の流行りは、花祭壇ですが・・・

写真を見せてくれた

神社みたいな祭壇より高いが、流行りなら仕方がない

花祭壇は 上中下 3パターンあった

 

地味な葬式だと言われたくないので   中 にした

 

窯を選べと言われた  これも 上中下  中 にした

 

お通夜の料理を選ぶ   中

 

香典返しを選ぶ      中

どれもこれも、上中下の3つしかないので その他 色んなものが中になった

 

困ったのはお料理の人数 

ネットで調べると、見込の人数の 5割

葬儀屋さんは 7割 と言った

見込みの人数なんてわからない

 

母に決めてもらった

150人見込んで、100人分注文した

 

葬儀場から 火葬場までの車の用意

24人乗りのバスを何台借りるか

これも悩んだ 親戚をざっと数えて20人 そこに当日加わる人

ギュウギュウでは失礼なので、2台にした

火葬場まで来てくれた人は 37人だった

 

喪主の母が 中 を1対選んだので

その他の花は  下 になった

 

駆けつけてくれた叔父が

「花は多いほうがいい」と言うので

弟夫婦と、私ら夫婦 2対 

おかしな話だが 孫一同で 一対

 

「子供がお花を贈るのはおかしい」

母が却下してくれた

 

叔父さん達も頑張ってくれた

その後、親戚やご近所さんから、お花を戴けるという連絡があり

直接、葬儀屋さんに注文して、支払いを済ませてくだった方もいて

お花はたくさんあった

 

 

「おとうちゃんが今までしてきたことが、帰ってきてるだけ

不祝儀には随分お金がかかった」 母が言った

 

支払いは、坊さんと 葬儀屋さんだけだとおもっていたが、違っていた

火葬場代(チップ別) 待っている間の 茶菓子代

車代(会社が違っていた)

花やさん

料理屋さん

酒屋さん  別々だった

 

 

支払いはいつなのか 尋ねたら

酒屋さんが 瓶を数えてから と 言われた

 

甥は 初めて見る ビン飲み物と王冠に驚き

王冠を60個ゲットし、栓抜きデビューもした

 

支払いの部分が明確でなかったので

お通夜・葬儀を通して

私と弟は 黒いショルダーバックを背中に背負い

母から預かった大金を 分けて持った

 

結局支払いは、告別式の翌日でよかった

 

お通夜の読経の時

弟はずっと ブツブツ 言っていた 「うっ!」 唸った瞬間があった

お経でも唱えているのかと思っていた

後で聞いたら、来てくださった方の人数を数えていた

 

エレベーターが開くたびに、7.8人 出てくる

150人を超えたとき、唸った

「料理が足りない お父ちゃんに怒られる」 本気で焦ったそうだ

 

葬儀屋さんにきいたら、お料理は十分 余った そうだ

余るくらいが調度いい

 

お通夜に来てくださった人は 180人だった

 

自宅に戻り、告別式のことで、12時近くまで 話し合いをした

まだわからないことがある

 

その時、天井の一部が 「コツコツ」 鳴った

弟は 天井にむかい

 

「おとうちゃん なんとかなってるよ ちゃんとできてるよ 」  

笑いながら、話しかけた

 

コツコツ は 止まった

 

 

 

 

 

 

 

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2 コメント

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お悔み申し上げます (りょう)
2016-06-16 17:10:21
お父様のご冥福を心からお祈りいたします。

お悔みが遅くなってしまって申し訳ありません。

沖縄旅行の記事で、お父様が
「こんなに気が楽な旅行は初めてだ」と
繰り返しておられたというのを読んで
生涯ご自分のことよりも、まずは回りの人たちに
気配りをされ続けてこられたのだなあと思いました。

ご家族だけでなく、地域のたくさんのお友達
お知り合いに悼まれて旅立たれた、と思いましたが
コツコツのエピソードで
やはりゆっくり休んではいられない
気が気ではないお人柄なのだと微笑ましかったです。
どうかお父様の気が済むようにさせてあげてくださいね!
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りょうさんへ (があこ)
2016-06-16 21:23:53
私の拙い文章で、ここまで父を理解してくださって
ありがとうございます
りょうさんが 「私だけのため?」に書いてくださった記事
何度も読み返しています
ぼうさんによって、信じられないほど遠くに送り出された
ような気分になっていました

川の向こうがあるのかないのかわかりませんが
少なくとも父は、
「ちょっとそこまで 出かけていて、いつでも帰ってこれる」

そんな気持ちになれました
コメントありがとうございました

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