父が家に戻る
葬儀屋さんの指導で
神棚に半紙が貼られ
仏壇の扉が閉められた
父専用の祭壇が設けられた
お通夜で
坊主から、戒名をつけられ、仏弟子 僧都にされた
火葬場で、四十九日法要の予約を強引にされ
石屋さんも指定された
父の同級生に石屋さんがいて
母が頑張って、指定業者を拒否した
実家に行くたび、母が嘆いていた
お花が減って
「おとうちゃんの場所がどんどん小さくなる」
法要の日
ブリザードフラワーの仏用 花かごを持って行った
家を出る前
母は父の遺骨に 孫を読んだ
「おじぃちゃんのお母さんは、小学2年で亡くなった。妹もいたけど、若い時に亡くなってしまった
おじいちゃんの子供時代はさびしかったけど、今はこんなにたくさん家族がいる。」
結婚してよかった、離婚しなくてよかった
息子ができてよかった
と、心の底から思った
坊主の長い話と、お経が終わり
父の肉体が確かに存在していたことを証明する 遺骨が地下に入った
これからは、位牌というものと、思い出だけが、父の存在の証となる
寂しい
実家に戻り
神棚の白い紙が はがされ、仏壇の戸を開け
位牌が納められた
坊主の呪文で 父は ご先祖様になった
東日本大震災の時、本堂が半壊し、立て直しになった
寄付と言いながら、料金表があった
実家のお墓は二 マス分あるので
基本料金30 × 2
院号一人につき プラス10
祖父は 養子だったので 曾祖父に 院号をつけた
父は縁の薄かった 自分の父に 院号をつけた
父は80 寄付していた
法要の前、坊主はここを強調した
寄進者名簿 大きな看板の 上のほうに 父の名前があった
告別式のあとくらいから
弟は 坊主から プレッシャーをかけられていた
「先代さんと同じお付き合いを・・・・」
新盆も訪問する 日時が指定された
例年、坊主の都合で、お経をあげにくる年があったり、なかったり
指定されたら 5万
施餓鬼法要もするように言われた 5万
弟はだいぶ参っていた
父のときは、なんとかできそうだが
母のときは無理かもしれない
自分がなんとかしても
息子には・・・・・
弟のラインでは
坊主と金 という言葉が 何度も入る
実際の支払いは、母がしているが
今後のことを思うと、気がめいるようだ
マツリゴトは ひとまず 落ち着いた
母が寂しそうなので
「坊主のいうことは、業務上の絵空事で、おとうちゃんの 心はここにいるよ。成仏なんかしてないよ。
見えないけど、ここで、今まで通り暮らしているよ」
少し、母が笑顔になった
ゴーダマ・シッタルダ は あの世のことなんて語っていない
前世の行いが悪いと、不幸に生まれる
不平等な世界で、幸せになるにはどうしたらよいのかを考えた、カースト制の国の王子さま
父は仏弟子になることを望んでいたので、あれでいい
母は父のところに行きたいというので、同じでいい
私は、私の信条に従い
実家のそこかしこに 父の存在をかんじ、思い出して 泣く
夜中に思い出してなく
夢で会って、朝泣く
マツリゴトが終わって
あの 坊主 一度蹴とばしてやりたい
いつか必ず、蹴とばす
本堂再建の前に 跡取り 小坊主用の 家を建てている
あれだけ集めれば、何件も家は建つ