琉球王朝があっただけに、沖縄はちょっと日本じゃないと思わせるモノが多い。
食文化や建物、言葉などに如実に表れている。
そこに住む人々だっていかにも南方系の人がいたり、名前が明らかに本土では聞かない沖縄独特のものだったりする。
最近では、沖縄出身のタレントが増えたり、沖縄を舞台にしたドラマのヒットなどで、馴染みこそあるが、それでも明らかに別物だ。
日本でもない、中国でもない独自の文化があったことを物語っている。
さて、その中で一番の違いを感じるのは食文化である。
そうはいっても、本土で食べられるものはどこにでもあり、外国のような事はない。
唯一の例外は”日本そば”である。
私自身が大好きでもあるのだが、高齢者である私の父の好物でもある。
ちょっと胃がもたれるような時にうってつけのあっさりした食べ物の代表選手である日本そばが手軽にどこでも食べられないのだ。
過去に行った時に何となく気がついていたが、今回ははっきりと分った。
とにかく沖縄で”そば”といえば”沖縄そば”のことである。
そば粉が全く入ってない、この”そば”は勿論そばでもなく、うどんでもラーメンでもない。
沖縄独特の食べ物である。
明治後半に小麦粉100%で作られた麺を汁で食べたのが始まりとされている。
麺の製法は中華麺に分類されるそうなので、和風ダシで食べるラーメンと言ったら分かりやすいのかもしれない。
トッピングに豚のアバラ肉を柔らかく煮たものを使用するのが一般的で、沖縄ではそれをソーキと呼ぶのでソーキそばとも呼ばれる。
ラーメンとチャーシューの関係に似ていて、切っても切れない関係のようだ。
この”沖縄そば”については単に味に慣れないと言う他なく、積極的に食べたいという代物ではない。
沖縄へ行ったら是非一度はと勧めたいが、それ以上のコメントは「・・・・。」である。
伝統の味なので沖縄の人がこよなく愛するのはよく分るし、別に不思議はない。
が、”日本そば”の店を全く見かけない事が本土から来た人間にはとても不思議に感じられた。
車であちこちを巡ったが、一軒も見かけなかった。
見かけるのは”沖縄そば屋”ばかりであった。
”日本蕎麦屋”は那覇市内でよく探せばあるんだろうが、とにかく真剣に探すというモードにならなければ食することは困難であろう。
宮古島・石垣島には恐らく一軒もないと思われる。
本土では車でちょっと流せば、そこら中に蕎麦屋がゴロゴロしているし、日本人といえば”そば”という意識が内なる常識という感覚があるのだが、それは全く通用しないようだ。
本土から沖縄へ、最近大量の人の流入が増えているそうだが、そういう人たちは”日本そば”が恋しくならないのだろうか?
その時はどこで食べているんだろうかと、ふと疑問を感じたのだった。