今までに経験したことのない事態に昨日遭遇した。
いつもと同じように仕事についた私は午前10過ぎの1本の社内電話に大慌てする事になった。
「はい、○○部のこだわりですが。」
「こちら、○○部の○○ですが、実は奥さんが倒れられまして」
「えっ倒れた?本当ですか?」
これを晴天の霹靂と言わずして何と言うべきか。私たち夫婦は同じ会社で働いている。緊急連絡先として私の職場の方に電話がかかってきたようだ。同じ会社でも部署も違うし、勤務場所も違うので、倒れたなんて全く気づくハズもない。
倒れたというその言葉にただ動揺するばかりである。娘の風邪がうつったらしく、カミさんは一昨日せっかくの休みを家で1日寝て静養していたのだ。昨日の朝、「無理しなくていいから休めば」という私の提案を押し切って出社していただけに、確かに気がかりだった。しかし、まさか倒れるとは予想だにしてなかったのだ。
「はい、そうです。出社されて途中まで問題なかったのですが、突然調子が悪くなって帰ろうとした所で倒れられたのです。」
「どんな具合ですか?」
「それが意識がハッキリしてなくて問いかけにもあまり反応しません。」
「えっ、そうなんですか?救急車は呼んでいただけないのですか?」
「本人がイヤだといってるんです。」
この会話が更に私を混乱に陥れる。意識がないってどういうこと?なぜ救急車を断るわけ?どの程度ヒドイのか全く予想もつかない。余りのことに絶句してしまった。相手はお構い無しに話を続けた。
「もしもーし、えっとですね。それと倒れた時に頭を打っているらしく自力歩行が困難なんです。車椅子に乗せて休憩所までお運びしてます。そこで休まれていますので、至急迎えに来ていただけませんか?」
「はあ、事情はよく分かりましたが、なにぶん私も仕事中でして改めて調整したうえで御連絡します。」
ちっとも事情は理解できてなかったが、とりあえずそういう返事をしたのが精一杯だった。だが、実際どうしたものかオロオロしていると、たまりかねた同僚のSさんが迎えにいってあげてと背中を押してくれた。上司にも掛け合ってくれて仕事を中座する事になった。
家内の部署まで車を飛ばして、迎えに駆けつけた。顔を見るまではどんな容態か全然分からないし安心も出来ない。車を降りて走って事務所へ到着するまで脳裏をよぎるのは最悪の事が起きたらどうしよう、そればっかりだった。縁起でもないと振り払っても頭から離れようとしなかった。
ようやく休憩所へ駆け込んでみると、予想に反して、自力歩行ができるまでに回復していた。一時は口も聞けないほど弱っていたのでカミさんの職場の同僚も相当に焦ったのだろう。本人が救急車は恥ずかしいので呼ばないでと言っていたらしいが、それを真に受けてどうするつもりだったのだろう。貧血で意識が遠のいて倒れたのは事実だし、その時に頭を打ったのも本当だ。打ち所が悪かったらと想像するだけでゾッとする。
本人がどう言おうと状況を考えると、救急車が妥当だったと思える。もっと重大な病気だったら手遅れになっていたかもしれない。肩を貸して駐車場までカミさんを連れて歩いていく間、つくづくこの程度でよかったと胸を撫で下ろしていた。
そのまま、カミさんを家まで送り届けて、また仕事に復帰した。1時間程度の中座で済んだのが救いだった。その夜は子供の晩飯の支度やら翌日の弁当やら洗濯やら病人の看護やらで、大忙しだった。
さて、今朝病院へカミさんを連れて行ったら、インフルエンザと診断された。やはりそうかと思う反面、知らずに接していた私を含めた家族はどうなるのだろうと新たな不安が出てきた。喉が少し痛いと感じるのは気のせいだろうか?
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