先日の土曜日、私が仕事から帰宅するなり、血相変えてカミさんが玄関まで飛んできた。
カミさんはその日は休みで家にいたのだった。
「聞いてくれる?」
完全にトーンが1オクターブくらい跳ね上がっている。
「一体全体どうしたんだい? 何の話?」
そういいながら、必死でオレ何か拙い事でもしでかしたかなーと冷静を装いながら頭の中はフル回転していた。
「それがね、洗濯物を干そうと思ったら、アレが出てきちゃったのよ。」
「アレ? アレじゃ分んないよ。 何が出てきたって? 話がさっぱり見えないなあ。」
言い出しづらいのか、ここで一呼吸置いて、それからカミさんが一気に言葉を吐き出した。
「コンドームよ、コンドーム。」
「えっ、コンドーム?」
全く縁が無くなってから久しい。あまりの唐突の事で、ますます訳が分らなくなってきた。思わず出た言葉が・・・。
「オレのじゃないよ。俺のわけが無い。」
「そんな事は分ってるわよ。○○のよ。○○の洗濯物から出てきたのよ。ポケットに入ってたみたい。」
ナンと随分あっさりかわしてくれるもんだと嘆きつつ、中3の息子のものだったとは予想だにしなかったので今度こそ驚いた。
「まあ、良かったじゃないか。最悪の悲劇は防げるし、改めて性教育の必要もないし、安心できるっていうもんさ。」
精一杯、父親として余裕をかまして発言したつもりだったが、内心穏やかではなかった。
「何言ってるのよ。 いくらなんでも早すぎるに決まってるでしょ。 それとなく本人に直接確認してよ。」
確かに内容が内容だけにこのまま目をつぶってるわけにもいかないだろうし、でもどうせ悪戯で持ってるだけだろうとも思えるし、ナンと切り出したもんか、しばし考え込んでしまった。
結局、直球勝負で問いただすことにした。
その結果私が想像していた通りで、クラスの友達から貰って持っていただけのようだ。
私の中学時代でも同じようにクラスで風船として膨らまして遊んでいたが、わが息子も同じ道を辿っているようで安心した。
勿論、使い道も必要性もチャンと知ってるし理解してるようだが、まだ未経験だった。まあ、そんなに慌てて体験することもないだろう。
こういうことは周りよりチョッとだけ早いくらいが丁度いいのだ。あまり早すぎても不幸にハマル危険性があるし、遅くても恥ずかしいし、周りに自慢できるくらいが理想だと思う。
それにしても、年頃の子供を育てていると、ドキッとさせられることが唐突に訪れるものだ。