この地に住んで30余年、両隣りは定年を迎えた頃だったようだ。
回覧板は左から右へ回る。
顔を合わせば気候の挨拶くらいはマストである。
左隣のご主人が亡くなられたのは4年前だった。右隣のご主人、よく堺の垣根ごしに犬にお菓子をくれたので
、犬が楽しみにしていたものだが最近お顔を見ないと思ったら、病院に入っていらっしゃるらしい。
家族全員フルタイムで働いていると立ち話もする暇はない。
まだ春の花が庭を賑やかに彩っている4月、95歳の天寿を、全うして旅立って行かれたとのことを、5月になって耳にした。
お隣さんのことなのに、今はだれにも告げず送ってしまうお家がほとんど。近所付き合いはないらしい。
あまりにも残念、とはいえ、そのお家ごとのの事情も、あることです。
悩むこと一週間余、一言お悔やみを言いに行こうと仏具屋さんに行って適当な御供えはないかと探し、結局香りのお線香に、御供えののし紙をつけてもらった。
朝の出勤に出ていらした若奥さんをつかまえて、遅くなったことを詫び、お悔やみを気持ちを伝え
お線香を御供えして欲しいと伝えた。
出勤前にご迷惑かと思ったが、お悔やみの、気持ちを伝えられて、ホッとしたものか、我知らず涙が滲んできた。
ご近所の方が亡くなったことを知らずに何年も経つこともあるよ、とはよく聞く話しになってしまった。
私にとっては、とても大きなできごとだった。