『アメリカ生まれ三沢育ち』
-空軍バーガーを作った男たち-
トゥルルルル・・・
「ハイ。三沢市観光協会です」
「あのー。米軍基地のハンバーガーが食べたいんですが、食べられるところありますか?」
「申し訳ありません。一般の方は基地に入ることはできないんですよ。市内でそういったハンバーガーを提供している店もありません。」
「そうですか。どうも…。ガチャ。ツーツー…」
最近、この手の問い合わせが増えてきた。
協会会長 高橋博美は失意に唇をかみ締め、受話器を置いた。
そんな高橋を見かねた職員が冗談交じりに言う。
「横須賀市にはネイビーバーガーがあるそうです。三沢市で空軍バーガーなんてできないッスかねぇ?」
「!? それだ!!」
高橋は叫ぶと同時に走り出していた。
やがて高橋とともに現れた一人の料理人。道の駅みさわレストラン「くれ馬ぱ~く」のシェフ下田清春。その人だった。
下田と協会メンバーたちはプロジェクトチームを結成し、ハンバーガー作りが始まった。
「まずは、アメリカのハンバーガーとはどういうものなのか、実際に基地のハンバーガーを食べてみよう。」
下田の指示で米軍基地内のありとあらゆるハンバーガーが集められ、メンバーによる試食が行われた。この味を元に空軍バーガーの試作品を作ろうというのだ。
程なくして、試作品が完成し一回目の試食会が始まった…しかし、
「これじゃあ…ダメだ」
高橋は首を横に振った。
メンバーは皆、凍りついた。
基地内のハンバーガーはしっかりとした歯ごたえのパンや固い肉パティというアメリカ人好みのもの。これをただ、真似ただけではは日本人の好みとは合わなかったのだ。
ハンバーガー作りは早くも暗礁に乗り上げかけた。
「アメリカの食材を使わずに、アメリカ風バーガーを作る?そんなの無理だ!」下田はつぶやいた・・・。
「あきらめるのはまだ早い!俺達がやらなければ、誰がやるんだ!」
会長の高橋だった。
高橋のアツい言葉に心を揺り動かされるメンバー。下田の料理人の心に火がついた。
メンバーたちによる試作品作りが再開された。
パンは三沢市内のパン屋のやわらかいものを使い、パティの肉は外国牛を独自にブレンドし、やわらかさを追求した。
やがてアメリカンサイズだが、やわらかで日本人好みのハンバーガーが完成した。
「みんなを集めてくれ!早速試食会だ!」
しかし…
高橋の首はまたもや横に動いたのである。
皆、驚愕し、凍りついた。
「なぜ・・・?」
「確かにやわらかくて、おいしい。しかし、これをアメリカ空軍バーガーと呼んでいいものか?」
「!?」
確かに!日本産の材料、日本人好みの味付けのハンバーガー。
これをアメリカ風といえるのだろうか?
「くそっ!どうすればいいんだ!」
下田たちの前に「日本人にも好まれるアメリカ風」という大きな壁が立ちはだかった。
試作を繰り返しても打開策は見つからなかった。
そんな折、メンバーの一人がつれてきたのが米軍シェフ、ジェス・ウィルスソンだった。
下田とジェフ・・・国は違えど、二人の料理が意気投合するのに時間はかからなかった。
ある日、ジェスの招きで基地を訪れた下田は、チャリティーパーティの料理を手伝うことになった。メニューはメキシコ料理だった。
「ハンバーガーのことを教えてくれるんじゃないのか?」疑念を抱く下田。
嵐のようなオーダーを消化し終えた彼を待っていたのは米兵達の「オイシイ!」という賞賛と屈託のない笑顔だった。ジェスは下田を「マイ・フレンド」と紹介し、その腕前を褒め称えた。下田は素直にうれしかった。「自分にもアメリカ人の口に合う料理が作れるんだ!彼らにオイシイ!といってもらえるハンバーガーを作りたい」料理人の血が騒いだ。
翌日、ジェスが下田を連れて行ったのは基地内のショッピングセンターだった。肉、野菜、スパイスなどあらゆるアメリカ料理の材料がそろっているこの店で、下田はアメリカ料理について学ぶこととなる。
彼の心にアメリカンスピリッツが芽生えた瞬間だった。
下田にもう迷いは無かった。
・アメリカンサイズの大きさだが、やわらかいパティの肉には焼き目をしっかり入れるのがアメリカ流。
・人種が違えば、好みの味も違う。ケチャップやマスタードは好みでかけてもらおう。
・レタス・トマト・オニオン・ピクルスは別に添える。しかも多めに。パンが水っぽくならず、シャキシャキの新鮮なものを食べてもらえる。
こうしてアメリカンだが、日本人にもアメリカ人にも好まれるハンバーガーが完成。
空軍基地の町の名物ということで、『三沢エアフォースバーガー』と名づけられた。
『道の駅みさわ』くれ馬ぱ~くにて販売されている。
今後はエアフォースバーガーを標準化し、三沢の名物にすること。そのために、三沢産の牛肉も使っていきたい。下田の夢はまだ終わらない。
エアフォースバーガー セット650円
バンズからはみ出るほどのビーフパティ。
レタス、ピクルス、オニオン、トマトといった野菜類は別添になっていて、好みではさめるようになっている。全てはさむとかなりのボリューム。
ケチャップ×2(1つはポテト用?)、マスタード、マヨネーズがついていて、好みの味付けができる。マヨネーズを多めにすると一気に日本人好みになる。
このお話は3割くらいフィクションです。
こちらを参考にしました。
7月20日はハンバーガーの日。
1971(昭和46)年のこの日、東京・銀座の三越内に日本マクドナルドの1号店が開店したことから、日本マクドナルドが1996(平成8)年に制定。
この日、1万人以上の客がつめかけ、1日で100万円以上の売り上げを記録した。
三沢で食べられるバーガーいろいろ。
タマネギ、ピクルス、トマトなどの具材が見える。好みでかけるケチャップ、マスタード、マヨネーズも添えられている。エアフォースバーガーの原型?
サブマリンサンドイッチの一例。
小さなエビのフライがたくさん入ったサンド。
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