「誤解」の教訓
避難モラトリアム発生
気象庁「臨時情報」の勇足(いさみあし)
今回の地震の破局的問題は避難の中断(モラトリアム)であった。情報不足、誤解、準備不足等のいかんを問わずに避難行動を中断するような事態があったことは事実であり。そこのとこからは、あるべき避難の教訓も出てこなかった。
8月8日、日向灘で<震度6弱> 2
⚫️ 地震発生、即刻、避難が先決
元々地震が沿岸、あるいは海域で発生したら津波注意、津波警報があり、直線的に高所に避難するべきである。今回の日向灘<震度6弱>ないし<強>の大地震の場合は何はともあれ体感と同時に避難を意識し実行するべきであった。 ── ごく基本のことを述べてている。気象庁、自治体の初動情報によっては実行動までいかない場合がある(以下同じ)。
⚫️ 避難の司令塔は自治体
避難対策の指令塔(headquarter)は自治体だ。自治体はゼロから地震情報を受信、発信、気象庁などの情報を地域住民に橋渡ししなければならない。巨大地震・津波の避難方針、対策までをその都度、場所場所で発揮しなければならない。つまり地域毎、地区毎の避難場所、避難経路、等の告知・誘導の繰り返しだ。観光客、外国人を含めた地域全員の避難の完了まで続く。
※ 地震情報の多重流通イメージ(部分)
⚫️ 意味不明のモラトリアムの発生
今回最大の破局的問題は避難の中断であった。問題は政府や気象庁が「観察」「調査中」「最大1週間」のモラトリアム、住民にとっては「待ち」とも取れる声明を出したことである。地震・津波には、観測する側にも、そのような猶予があってはならない。
8月8日、日向灘で<震度6弱> 3
誤解警報、誤解情報発信の可能性が払拭できない。「1時間」「2時間」「1週間」と誤解される可能性。中身の誤解(誤報)ではなく一瞬の「躊躇(ちゅうちょ)」と「待つ」「待って」と要請されたという住民側の誤解。これで国民、地域住民の避難の緊張感が一気に解けてしまったのである。
なぜそのような誤解が生じたのかといえば政府、気象庁側が各県と各自治体に先んじて「南海トラフ」との関連作業情報、関連調査情報を流したからである。結果、偶然、M8地震、巨大津波等は起きなかったが、住民の間に有効な行動、有効な次の備え、次への反省点等の共有が得られなかった、行われなかった。
⚫️ 「避難の司令塔は自治体」の再認識、再確認
何はともあれ、自治体に先んじてモラトリアム情報を広く流したことが問題であった。裏を返せば自治体の初動が遅れたことである。自治体のそれぞれ独自の初期初動情報の発信に、遅れ(うろたえ)、不備はなかったか? ── 単に時間の早い遅いではない、気象庁情報は網羅的に強力であり、で、あった。気象庁情報に比肩できる準備、行動があったか?!
避難対策の指令塔(headquarter)は自治体だ。自治体は政府、気象庁の発信情報を鵜呑みにせず、ゼロから地震情報を受信、発信、気象庁などの情報を地域住民に橋渡ししなければならない。巨大地震・津波に対する蓄積された避難方針・対策をその都度、その場所で十二分に発揮しなければならない。避難、待機、継続、終息等、そのほか避難所対策等
⚫️ 地区防災対応。町内会、学校、職場など
──(最大の課題。詳細は後で)
⚫️ 政府、関係機関、気象庁の役割の再認識。解体、改編成など
気象庁は、避難対策の指令塔(headquarter)は自治体(厳密には政府、気象庁を含め)に譲るということのバランス、関係性、整備を忘れて国民的コンセンサスのない「巨大地震臨時情報」「注意」を不十分のまま発信したほか、避難の具体性にも下手(へた)に言及した。悪いことではなかったが、頭ごなし、強力性を持ってやってしまって、誤解、不信を買った。
政府は東日本大震災の教訓の国民的コンセンサスをまだとっていないのではないか?
あるいは不十分にしか…
実は、これらの誤り、不十分性は、10年近く前から、南海トラフ地震・津波について(われわれブログ管理者等によって批判されながら)無反省に、修正もされずに続いていたことでもあった。
※ 右蘭「カテゴリー」など参照
南海トラフ/中央防災会議/地震調査委員会 (33件=最終行「前ページ」をたどる) ほか
半詳細解説次ページ予定