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防潮堤の基礎工事は?
地質調査はどう行われているのか?
11月の岩手県の2回の説明では、直立式防潮堤の基礎工事は一本一本の鋼管杭を地底岩盤(支持地層)まで埋め込むというものでありました。鋼管杭は8mから40mの長さでそれぞれの先は地底支持地層に80センチ(鋼管杭の太さと同じ寸法)埋設する、必要な地質調査はすでに終わっている、と。
支持地層 鋼管杭を地底で支える硬い支持地層(※別紙図面参照)について──
(1) 8m以下、またはその前後の浅い支持地層の場合、
(2) 深さが不明確で鋼管杭の先が支持地層から少しでも浮く場合、
(3) 支持地層が30mも40mも極端に深い場合、
いずれもその地点では鋼管杭は防潮堤を支えているとはいえずに、有事の際は、そこからドミノ倒し的に全体的崩壊に進むのでは? と思われます。 糠に釘、砂上の楼閣にならないために厳密な地質調査は不可欠なのに、県の説明はアバウトすぎました。
地質調査 岩手県は防潮堤の基礎にあたる15地点の地質調査は終えたとしているがそれについては数々の疑問が残っています。
疑問 1 15地点のうち4カ所は平成19年、3カ所は21年の調査である。つまり以上7カ所は大震災の前の調査である。地盤沈下、地殻変動は鋼管杭の長さと支持地層の関係に影響をしないのか? 影響しないわけがない! 8カ所は平成24年の調査。
疑問 2 そもそも、震災前の7カ所の調査は、現行防潮堤計画のための調査ではなく、いま幻(まぼろし)になった旧鍬ヶ崎防潮堤のためのものでした。調査の「目的」も「方法」も異なる事は中学生でも分かる事です。加えて旧調査については「調査されていない」という根強い疑いが付いて回っている…。調査「地点」も計画敷地から外れている。
疑問 3 震災前の7カ所が有効だとしても、幅10m(防潮堤予定敷地)長さ1,600mの調査が15カ所でカバーできるのか? いわば100m(1,000平方メートル)を1カ所の調査では粗すぎないか?
疑問 4 鋼管杭が上部防潮壁を支えるには縦の強さではなくむしろ横の抵抗力(横バネ)と強調しているが、このような震災前後の混同、100m間隔という粗雑すぎる調査では「横バネ」もメーカーのただのリップサービスに思える。少なくとも地区住民は安全厳密な再調査でなければ納得できない。
昨年(5/29)事故になった県の地質調査やぐら
おわりに
鍬ヶ崎の防潮堤を考える会としては、急きょ、以上のハード面の意見や疑問を取りまとめて、広く一般市民や関係機関に問いかけたいと思います。
11月の説明会・勉強会ではそのほか景観や観光、産業や生業(なりわい)、いろいろな面からの貴重な賛否の意見がありました。当会としては、岩手県に対して、断片的、後追い的、アリバイ的説明会ではない包括的説明プログラムを求め続けます。
※別紙図面