宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

漁師さんと山の親密さ

2015年01月07日 | どうなる復興計画

宮古市の 古舘和子さんから「12/21前浜マリンセンターの学習会に参加して」という報告記事をいただいた。学習会の内容には興味深いものがある。また、学習意欲など、震災を契機に、よりよい地域づくりをしようとする各地の地道な努力がうれしい。


気仙沼市、前浜(地名)マリンセンターでの学習会


テーマ:ランドスケープデザイナーと持続可能な集落を考える
    ~気仙沼市前浜地区を題材に~

日 時:2014年12月21日(20日~)

場 所:気仙沼市 前浜マリンセンター

講 師:廣瀬俊介さん
    ランドスケープデザイナー(International ASLA)、風土形成事務所主宰、東京大学 空間情報科学研究センター 協力研究員。2014年3月まで東北芸術工科学院  デザイン工学専攻環境デザイン領域 准教授、東日本復旧復興計画支援チームメンバー。主著『風景資本論』。

主 催:一般社団法人 環境復興機構

 

20日は、気仙沼の前浜地区のフィールドワークが行われましたが、私は21日にの廣瀬先生の報告と意見交換に参加してきました。20日に撮った写真をスライドで説明しながらお話ししてくださいました。

 

飛騨古川の古川祭り

古川祭りの神社は、山の中腹に一ノ宮、その一ノ宮から下りてきた「山のふもとに二ノ宮」があり、 三ノ宮は平野にあり、御県神?と呼ばれているそうです。──山は海の恋人のような関連性を感じました。

飛騨古川の人達は信仰心があり、町並みも、近代的な家はなく、古川祭を2階から観覧し楽しめるような昔ながらの家が並び、大工さんも昔ながらの家を建てれる人がいて、新しく家を建てる人も、古いタイプの家を建てるそうです。

古川祭を商業化する案があったそうですが、あくまでも自分達の信仰のための祭りにしたいとの要望が強く、外部から人を集める商業的な配慮はなされなかったそうです。

里山農業により食料自給率が74%で、1965年頃の日本の自給率と同じ。朝霧が有名。

このようにして伝統と自給率を守る地区もあるそうです。国際経済への流されすぎには注意が必要だと感じました。


そのほかのお話しの要点・メモ書きより

・コンクリートでは、草や土がなく、虫が育たない。生物生産・物品循環が崩壊

・石積み→「固くて重くて強い」だけでなく、水も通す(生物生産可)から強い。窒素、ミネラルがあれば、魚は大きくなれる。

・湾は本来、周りの山からミネラルが下るので、ミネラルのスープである。

 
カット写真=宮古市松月海岸(コンクリートが目に入らない浜)=ブログ管理人


・水が湧くことで、水が動く。動くことで底に光が届き藻が増える。←あらい  しょうご 先生

デザイン 今は、かっこよく見せる、お金のために利用されているが、本来デザインというものは、使いやすくするために生まれた分野。

土木工学 日本は昔、オランダ人により、山に木を植えたりして治山事業も上手くやりこなしていたが、その後フランス帰りのエリート日本人により、山の水を早く海に直線で流すコンクリート事業が主流になってしまった。これによって、川の勢いが増して下流の洪水が問題になってしまった。林野庁の治山事業。

・生物が繁殖するため、川の流れ、川の形は、ひだや、高低差が必要。コンクリートにはそれはできない。また自然な川の作りは、人の気持ちをおおらかにする。コンクリートのようなストレートの川よりも、蛇行した方が、多様性が生まれる。せきしょう→石を置いてバクテリアをつける。(せいの さとこ 先生)

・山を知っている漁師さんは、その暮らしを仕事に生かしている。

・三陸ジオパークとは、海浜を潰し、一体何をしたいのか。野外博物館は早稲田大学の高木先生も参考に。千葉の谷津干潟パークセンターも参考になると思う。とてもうまく造られている。

・ドイツのルール工業地帯は、産業遺構公園となっていて、古い工業地帯を美術館やオフィスにして、人を集めている。(←田老鉱山も、鍬ヶ崎の漁協の下の鉄索ターミナル遺跡や、鉱山のトロッコ跡を散歩道など、少しづつ変えていくのもいいかも。と、思いました)

・防潮堤が無い今の前浜は、全部、大事なものが見える環境。各家家の庭をつなぐ小路が自然にあり、人との交流・つながりがあり、犯罪が起こりにくい。

・前浜はウナギが昇ったという川があった。(宮古の閉伊川は、今でもウナギを捕っている人がいると聞いたことがあります)

・「魚(うお)つき保安林」によって、漁の質が変わってくる。山から、栄養塩(えいようえん)や、弱酸性、弱アルカリ性などの地下水が流れてくる。

 
前浜地区の魚つき保安林は漁港の西側に位置する。

・コンクリートで地面を覆ったりせき止めたりして、地下水が枯れれば地盤沈下するので、コンクリートで地下水を止めずに、流した方がいい。

・ (人の手による使い易さの)細やかさが、穏やかさをつくる。無意味な景観ではなくなる。

・コンクリートは、寿命が短く、固くてもろい。

・グリーンインフラ→国が来年から計画を立てて、再来年から予算をつける事業がはじまる。
最近の雨の降りかたなどでは、グレーインフラでは対応できないので、国はグリーンインフラを検討中。3月の国連会議でも盛り込まれる。この考え方も十分に参考にするべきだ。

・水の性質→硬いものに力強くあたると、周りにある軟らかいものが壊れる。

・石積み→津波の際にも、崩れながら固まっていた。壊れながら固くなっていく。粘り強さバツグン。さらに石積みや砂利の様な岩の上に柳を植え、柳の根に砂利を抱かせれば、より粘り強さバツグン。

・盛土が広範囲で行われているが、盛土に圧迫されて地下水と海に悪影響が出ないか気になる。山を切り開いた所は安定しているように見えるが、盛土の所は弱そうで怖い。

・小泉の防潮堤は、岩盤に杭を打たずに、岩盤まで杭を刺さずに、下の砂を固める。

・水が抜けないまま地震で揺すられると、液状化現象になってしまう。仙台での団地

・盛土の上にコンクリートをかぶせた防潮堤・建造物は、コンクリートの中の土が動く。10年後位から打診法で隙間をチェックし、コンクリートを注入していく作業・費用が必要になる。

 

──

 

以 上 、メモ書きからの要点になります。中学、高校あたりの子ども達にも聞いてほしいお話しだと思いました。「漁師さんと山の親密さ」を感じる内容で、現代では忘れられていることだなぁと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

コメント (1)
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