新年に入って「鍬ヶ崎の防潮堤を考える会」では一般市民や会員にニュースレター(No.3)を郵送した。昨年11月に相次いで開催された鍬ヶ崎防潮堤の説明会、勉強会の報告である。
勉強会(11/9)の報告
昨年11月には、4日に岩手県の説明会、9日に当会の勉強会がありました。いずれも鍬ヶ崎防潮堤計画のハード面からの説明・勉強会でありましたが、これによってプレキャスト工法や鍬ヶ崎防潮堤の問題点が明らかになってきました。
巨大建造物であるが倒れやすい設計。
大きくても警戒が必要
計画されている防潮堤は高さ10.4m、地上の厚さ1.4m、総延長1600mの鉄・コンクリートの巨大構築物。高さや圧迫感だけでも絶望感がありますが設計や施工にも警戒しなければなりません。岩手県の説明はずさんなものでした。
配置位置 鍬ヶ崎市街地を囲むように防潮堤が配置されると中心地点の港町付近に集中的に水量と圧力が誘導されます。ここに、すくなくとも2倍3倍の波の力と波の高さが加わりますがそのような考えは岩手県にはないようです。したがって部分補強も考えていないようです。
防潮堤が出来ると津波の流れも変わってくる
防潮堤デザイン 直立式のデザインは津波の高さに対応しているだけで横方向から襲ってくる津波の圧力に対しては大きな疑問が残ります。防潮堤が河川堤防や貯水ダムと同じ思想で考えられており、圧倒的な破壊力の津波の経験が軽視されておりました。このようなデザインの本体は津波には弱く、巨大さの割りには倒壊の危険性が高いと思われます。
プレキャスト工法とは? 現在の人手不足と資材不足から工場で防潮堤の部材を作って運び、現地で組み立て施工する工法のことです。すぐ目につく事は (1)かすがい的斜めの補強がない事と (2)組み立ての部材部材の接着面の説明がない事です。斜めの補強がなければ台形型防潮堤の代替えにはならないという意見がありました。部材やユニット(※)の連結技術は接着剤なのか、鉄筋なのか、凹凸のレゴ組み合わせ状態がぶよぶよして気持ち悪い(不安定)という批判がありました。
7.5m高の防潮堤用の上部鋼管(気仙沼市朝日町)
安価なマニュアル プレキャスト工法をなぜ選んだのか? なぜ鍬ヶ崎に適応するのか? 等の説明はなく、岩手県の説明はメーカーと建設会社のマニュアル的説明に終始しました。実績もなく検証もされていない工法だからです。安価だが危険、では困ります。
※ユニット
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