宮古on Web「宮古伝言板」後のコーケやんブログ

2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。
 藤田幸右 管理人

県土整備部と住民(3)岸壁工事はやり直しだ

2012年12月03日 | どうなる復興計画

ここで言う「住民」とは主に漁師や港湾従事者の事と言ってもいい。そして、結論的には岩手県沿岸港湾の復旧工事はやり直さなければならないだろう。それは県土整備部管理の工事だからである。やっつけ工事が目に余る。これからの工事も期待できない。


山と土と樹を好きな漁師ブログ
<頑張っても、地球や大自然の事..>より



漁師のつぶやきブログ<宮古魚市場前の悲惨な状況>より


漁師の徒然なるブログ<大潮で岸壁に波乗り上げ>より


漁師の徒然なるブログ<魚市場は冠水,波が乗り越え>より


コーケやんブログ<これでいいのか復興工事>より


これらのブログの人は写真とともに繰り返し繰り返し危機感を訴えている。これらの写真は工事前の、工事後の…、というような問題を越えている。それほど深刻なのだ。私のブログよりそちらの漁業者のブログの方が切実感があると思う。


●県庁の工事マニアルは公開を!

岸壁の復旧工事がこの有様である。第一義的には今次3.11津波のダメージからの復旧であるが、それが、地震による地盤沈下、世界的な海面上昇、異常気象,何よりも復興事業として遠い将来までの実用性を視野に入れて対応したものであるのかどうか?
(この実用の岸壁が実は地区津波防災との関連で地区一般市民の大きな関心ごとであるがここではそこまではふれない)
残念ながらそうではなく、何も考えずにただ元の再現の復旧工事、その工事発注だけに関心を持って対応している。かれらにとっては想定外の震災であったから、マニアル通りの役所仕事のほころびは漁師,港湾従事者の人たちには隠しようがない。県土整備部のマニアルとは? 県庁の棚に積まれた明治以来の古い古い虎の巻である。さすがの県の津波防災技術専門委員会も未だそこを越えることが出来ないでいる。専門委員会には越える気があるのかどうかさえ疑問である。

唯一そこを越えて港湾岸壁・防波堤を作ったのはわたしが知るかぎり普代村元村長だけである。

「県の係官に『太田名部漁港の防波堤はきゃしゃである。枕崎の防波堤と比べてみてください』と語気を強めて言ったら、詭弁に等しい回答があった。『国費の無駄遣いをしないように、十の波力に対し十一の力をもった防波堤を作ればよいので』と…。当時はそのような考え方がまかり通っていたのである。今では、枕崎の防波堤をしのぐ強固なものになっている」(故和村幸得「太田名部漁港の着工」より)

──昔も今も県庁のやり方は変わっていない。マニアルとはこのような事だ。


●港湾設計の基本は住民が決めるもの

県土整備部の工事は、設計思想もなくごくわずかの関係者の密室会議で決定されてまさに「十の波力に対し十一の力をもって」とふらふらと目立たないような俗論で工事を進めてきた。いまや平時の港湾設計、港湾構築ではないのだ! どういう考えで設計しているのか大々的に議論を巻き起こさなければ収まらない。

この事は腹いせで言っているのではない。また県土整備部の工事に対して断言的なものの言い方をしていると思われかも知れないがそれには理由がある。前にも同じことを書いているが…
港湾,岸壁工事は一義的には実用の工事であり以下の人たちの実用に供する工事であるからその人たちの意見をくみ上げなければならないというあたりまえな理由である。地元地元の沿岸漁師の漁業従事者、沖合・遠洋漁業従事者、港湾建設経営者・労務者、荷役などの港湾従事者、加工場や漁協職員の水産業従事者などの実務者の経験と観察を復興工事の参考の中心におかなければならないという事である。海洋、漁業、港湾関連実務者だけではない広く被災者市民,一般市民から参考情報を収集し、漁業者をふくむ被災市民,一般市民にふたたび広く情報提供、問題提供することこそが大事なことである。


●住民の意見をくみ上げる仕組みづくりを先きに!

被災者との合意形成というか問題意識の共有というかそのような事が不可欠なのである。県土整備部はそのような事をしていない。「そのような制度はない」とまで断言している。そのようなことではダメなのだ。その事ができなければ正しい工事は永久にできない。波や津波や気象の海の自然をあまく見てはいけない。

公務員としては、そのような地元住民の実務や経験や意見、いわゆる地域住民のニーズをより適確に普遍的にくみ上げる能力を第一に駆使しなければならない。公務員にはそのようなコミュニケーション技術をつねに学習し発揮する事が求められている。住民との真剣なコミュニケーションがなく、百年一日がごとく、ただ国や県の上の方だけに顔を向けて学者や設計者や事業者やコンクリートや骨材を扱って内向きに円をえがいていても、見える欠陥は見えるのである。出る欠陥は出る。


県土整備部の大きな欠点は個別地域住民を無視、軽視、していることである。




つづく





コメント
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