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2011.6.1~。大津波、宮古市、鍬ヶ崎復興計画。陸中宮古への硬派のオマージュ。 藤田幸右(ふじたこうすけ) 管理人

★これでいいのか復興工事(6)岩手県県土整備部

2012年07月27日 | どうなる復興計画


B土木技術思想の無節操応用。ピントはずれ




海の事は何も分からずに「やまご」と後ろ指を指されても県土整備部は、主なフィールドである陸側の貯水ダムや河川工事については経験の蓄積もあり100パーセントの自信と信頼があるように思われている。それがそのまま(A)政治的な越権や誤った行政判断に思い上がっている事については前項で述べた、許されない事である。


県土整備部の栄光の土木技術はここにきて、しかし(B)技術的にも許されない局面にぶちあたっている。それは陸側で発揮した技術を(何の根拠もなく)そのまま海側の工事に応用している事である。本項は、海側工事には陸側の技術は通用しないということをベクトル図示したいと思う。




a、ダム技術



    
           (1図)ダム断面図

ダムにかかる水の力は小さい。いや、ダムの強さは下に向く水の圧力(ポテンシャルエネルギー=重力)に耐えればよいわけで(1図)で分かるように水の深い下の方をより厚くして実際のダムは作られている。矢印は運動の力と方向を示すベクトルで、水の寄りかかる力の程度であろうか? 「寄りかかり」力と表現している向きもある。上のほど横の力は小さく、真下に向く力に比べてこの方向への力は小さい。


    
           (2図)大きなダム断面図

大事な事は深さが同じならダムへかかるこの力は常に同じだという事である(2図)。ダムの強度はもっぱら水深のみに関係する。ダムの広さが宮古湾くらいであろうと、太平洋の広さであろうと深さが同じなら同じ高さのダムで十分であるという事である。

(県土整備部の技術思想にはこの原理が色濃く巣食っているというのが私の結論である)




b、河川堤防技術


(3図)堤防平面図 



(4図)堤防断面図



洪水対策の河川堤防にかかる力のベクトルは(3図)(4図)のように小さい。曲がりの場所がほんの少し大きくなる程度。水量がまして流れが急になると堤防と平行の向きのベクトルがどんどん大きくなるが、ベクトルの先きは無限容量の海であるから直接破壊するものは何もない。流れが急になると堤防の曲がりにかかるベクトルは連動して大きくなるが真っすぐの堤防へのベクトルには変化がなく変わらず小さい。ただ水量が増し水深が増すと、ダムと同じで、真下に向くタテの力(ポテンシャルエネルギー)は大きくなるが堤防の破壊までは(曲がり、削り、奇流を無視すると)起きない。溢流はあるいは起きる。

(県土整備部の技術思想にはこの原理が色濃く巣食っているというのが私の結論である)




c、堤防、防潮堤の技術

ダムも堤防も水深にしたがって施設の高さを決めれば原理的には施設の保全、付近住民の災害からの安全を確保できるものである。堤防は高さによって洪水を防ぎ、ダムは高さに合わせて溢流を調整することが出来る。工学的形は底広の台形となる。単純に言えば、水勢は計算によって制御できるものである。

(県土整備部の技術思想にはこの原理が色濃く巣食っているというのが私の結論である)

高さによって水勢を防ぐことが出来るという思想をあやしげなシミュレーションに仕立てて岩手県沿岸一帯に持ち込んだのが県土整備部である。わたしは前に次のように書いた。「岩手県庁は宮古湾を単一の防災地域と考えて一律10.4mの防潮堤と水門で湾内を密閉する事にして、以後、思考停止におちいっており、宮古市も、追従、思考停止中である」と。事態は変わっていない。(この項つづく)


 

 

 

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