改訂版・健康的身体操作について考える02:立ち幅跳びによる脊柱の動的安定性の向上

2015年08月09日 | コンディショニングの話

「健康的身体操作について考える」第二弾と書きつつ、

前回の続きとなっておらず、申し訳ありません(;^ω^)

でも、簡単で役に立つエクササイズのお話なので、どうかお付き合いください。(; ・`д・´)

 

最近、脊柱の安定性を向上させるエクササイズに「立ち幅跳び」をよく使うんです。

事の発端は不良姿勢を気にして来院された小学2年生のAくん。

背を丸め、腰も引け気味なAくんの立ち姿から、

抗重力筋(姿勢を保つ働きが強い筋肉たち)の機能が不十分であることが判りました。

全体の機能を調べるために、全身で後ろに反る動きや頭を後ろに倒す動きを促すと

Aくんの胸郭は動くことを拒み、腰はさらに引け、肩をすくめて首だけを窮屈に倒そうとします。

『胸郭の伸展制限かな?』と、胸椎の柔軟性を調べてみるもさほど固さはみつかりません。

固そうに動いていながらも固さが見つからないなんて、一見不思議な感じですがそこは頭を柔らかくしてみましょう。

例えば池に浮かぶボートの上に立ってラジオ体操をするとします。

大きく前屈、そこから後屈…

なんてしてみたとします。

上手にバランスを取らなければ、池にボチャンです。

そんな最中、私たちの動きはどうなるでしょうかね?

力んで固い動きになりませんか?

でも、力を抜けば関節は自由でしょう!?

つまり、こうしたケースでは骨格を支える姿勢筋の働きが不十分であることを考えるんです。

 

見た限りでAくんの問題点は以下の4つです。

・股関節が伸ばせない=大殿筋や中殿筋後部の働きが悪い

・腹部体幹が不安定=脊柱の関節を安定させながら滑らかな運動を許してゆく(つまり動的安定性)ために必要な腹筋群の働きが悪い

※ これは「股関節が伸ばせない」にもつながる要件です。腹筋は骨盤と胸郭をつなぎ、支えています。

そのお腹の筋肉たちがきちんと骨盤を支えていないと骨盤が基点となる下肢の運動にも余計な力を必要としてしまいます。

・胸郭が伸ばせない=肩甲間部の諸筋の働きが悪い

そして、

・それらのパーツを「頚の動き」に沿ってタイミングよく連動させることができていない

 

見立てがあっていれば、これらの筋群がタイミングよく働きだせばAくんの頚はスムースに上を向くはずです。

固さがないなら治療手技は不要です。

必要なのは薬になる「運動」を見つけること。(これを運動療法といいます)

『さて、それらの筋肉たちがいっぺんに働くような運動はないかしら…』

と、想像力を働かせた結果、最初に頭に浮かんだのはウエイトリフティングの「スナッチ」という種目でした。

ただ、院内にそれをするための道具はありません。

もうひと捻り考えたところ、出てきたのが前出の「立ち幅跳び」だったんです。

 

Aくんには、「できる限り遠くに飛ぶこと」と「音をたてないように着地すること」を目標にしてトライしてもらいました。

はじめは上手に身体全体を伸ばして跳べず、着地もドスンと大きな音が立っていましたが、

じきにキレイに跳びだしました。

動きがきれいになった=目的の筋群が働きだした

ということです。

さて結果はどうでしょう?

「Aくん、上を向いてみよう!」

すると、さっきとは打って変わってスムーズに、そしてフルレンジで天井を見上げるAくん。

どうやらAくんの身体の不具合に対する推論も間違っていなかったようです。

それからは、脊柱の不安定性があり、かつ大きな痛みが伴わないケースに限り、

ホームエクササイズとして立ち幅跳びを提案することが増えてきました。

そうこうしつつ、

いろいろなケースを見てゆくうちに、

「ひょっとしたらこの立ち幅跳びには全身の連動性を高め、瞬発力を引き出す効果があるかもしれない」

と考えるようになり…

そうなると何らかの手を打って確かめたくなるのが性分で、

息子と私でちょっとした実験をしてみました。

結果やいかに!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

長くなったので、続きは後日!

では!

 <続く>


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