すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

葉っぱビジネス・横石ともじさんの講演会

2011年11月13日 | 日記
 鳥取青年会議所が13日、賀露町のかろいち隣の食育文化ホール「とりっこ広場」で、「環境と経済の好循環」をテーマに「環境パートナーシップin因幡」を開催されたので、行って参りました。基調講演されるのが、葉っぱビジネスを立ち上げられたことで知られる徳島県上勝町の横石知二さんだったからです。横石さんは私が朝日新聞松山総局に勤務していた時代、徳島県上勝町の横石さんを取材に訪れ、また、横石さん、ごっくん馬路村で知られるゆずビジネスを立ち上げた東谷さん、夕日が止まる街づくりを進める若松さん、内子町で農産物直販所を立ち上げ、日本一と言われるまでに育てた森本さんの4人を招いて、昼から夜まで徹底討論したシンポを開催したことから、何度もお話は伺ってきたのですが、横石さんからは毎回、元気をもらうので、楽しみです。



 横石さんの基調講演は以下が、その概略です。
 私は今日のテーマと同じで、環境と観光の好循環を目指してやってきた。まあ、商売が好きなんです。好きこそ、ものの上手なれ。だから、30年やって一度も売り上げを落としたことがない。
 大事なことは居場所と出番を作ることです。縦軸に経済性、横軸に社会性を取って、グラフを書いて自分の立ち位置を知ることが大事、そして、それが目標になる。一番いいのは、もちろん(B)。そして、スタートは(C)。これまでは、(A)の社会だったが、今は(D)が商売になるようになった。社会性は環境への配慮と置き換えてもいい。

          経済性(高い)
            │
         (A) │  (B)
             │
社会性(低い)  ──・── 社会性(高い)
            │
         (C) │  (D)
            │
          経済性(低い)

 今、私の会社では多くのインターンが働いているが、みな、都会から来た若者です。田舎は、できない理由を見つけて逃げる。マイナス思考です。しかし、これではだめ。いいな流れをつくるのが、プラス思考です。上勝も高齢化率は高い。でも、経験がある高齢者は宝です。インターンを教えるのは高齢者。高齢者の得意分野で勝負できるような仕組み作りが大事だ。
 人も商品も地域も出番をつくること。私が働き始めたころの上勝は酒が好き、人の悪口が好き、負け組根性が染み付いている地域だった。そんな中で、大阪で入った寿司屋で、若い子が紅葉の葉っぱを見て、「かわいい。持って帰ろう」とはしゃいでいるんです。これは売れるぞと思って、葉っぱを売ろうとしたが、現場を知らなかったんで全く売れなかった。それで、料亭通いを続けた。でも、何も教えてくれない。業者がお店に入るので一緒に入って、写真を撮っていたら、お店の人から殴られる事件が起こった。血だらけで帰ってきた私を見て、妻が「家に1円の金も入れでんいいから、お客として行ってください」と言ってくれた。それで3年間、料亭に通い詰め、どんな葉っぱが売れるか分かった。

 今、200人が働いている。高齢者の持つ良さを活かす仕組みをつくることだ。それと、売った瞬間にデータが記録されるコンビニの仕組みを導入したいと思った。いつ、どの店で、何が、どんな人に売れたかをリアルタイムで集計できるのはすごいと思った。その二つを合わせたのが上勝の仕組みだ。出番、評価、自信は繋がっている。出番をつくり、それが評価され、自信になるようにしないといけない。キーボードは気ボードだ。テレビはぼーっと見れるが、キーボードは押してみないと始まらない。やる気がないと何もできない。だから気ボードだ。
 商売のツボは人の習慣を掴むこと。朝の6時に注文の電話をする。早起きの人は「早くてありがとう!頑張ってますね」と評価されるが、朝寝坊の人だと「こんな早くから馬鹿か!」ということになる。①情報力を高める②情報と現場の距離感をちじめる③情報の見える化することが大切だ。山でなければできない。田舎でなければできない商売をすることだ。
 上勝のシステムでは見たら得する情報というのがある。私が得た情報をおばちゃんたちの家に戻す仕組みだ。現場で写真を撮ってすぐアップして情報を伝える。そうすると私が何をしているか、みんなすぐ分かる。この信頼関係が重要。いい流れを作れる。

 上勝ではバーコードでいつ、何が、どこで売れたか、自宅で分かるようにしている。お年寄りがタブレット端末を70台使っている。田舎は変化を嫌う。してもらうにドップリ浸かっている。これを自分で何かしようと意識改革することだが、そのプロデューサがいない。いい関係で繋がっていることは、相乗効果。足を引っ張ればマイナスになる。このことに気がついてもらうための仕組みが大事だ。

 「あっそうか」という「 気付き」、「なるほどな」という「検証」、「よしやってみるか」という「実行」を 習慣にしたい。この3つで、脳を鍛えると、情報が流れる。そして、生活習慣も大事。 活かせる力がつく。時間を守る。綺麗にする。この2つが重要だ。組織ではなく、個を磨くこと。組織はその集合体に過ぎない。地域、商品、人といずれも個を磨くことだ。そのためには、できることを積み重ねて行くことだと思う。

 私は人が輝く舞台づくりをしたいと思ってきた。
   価値    場面
      商品
   情報    仕組み
商品を個として輝かすには、価値、場面、情報、そして仕組みづくりが、相互に商品を中心にして連携することだ。

 「棚田コミュニティで幸せ作り」という中心に対して、「棚田ファン」「 棚田オーナー」「耕作者」……とたくさんのスポークをつくって自転車の車輪を創りたい。 脳梗塞で倒れながら、右手一本で30万円稼ぐおばばちゃんがいる。元気なころより、今の方が出番がるあるから幸せという。これがほんまの福祉だと思う。上勝では34にゴミを分別している。しかも、自分でゴミステーションに持っていく。大変だと思ったらだめ。ゴミは好きな時間に出せると思ってもらう。分別も商品で分ける。だから簡単だ。ゴミ収集車なし、ゴミ焼却場なし。それが上勝のごみ処理だ。小さな町だからできるんでしょうとよく言われる。だったが、小さなゴミ処理地区を設ければいい。やる気と工夫の問題だ。

応援から共感へ時代は移りつつある。「あなたが作ったものだから買いたい」へ、「いいものだから買いたい」から移りつつある。上手に人に伝えることが大事な時代になった。小学生に分かるように伝えたい。私は「葵の御紋作り」だと思う。商品や地域の切り札は何かを考えたい。そして、自信を持つ。そうすればやる気が育つ。年齢は関係ない。人は誰でも主役になれる。80歳を越えたおばあちゃんが木を植える。収穫できることろには、このおばちゃんは多分生きてはいない。それでも、「死んでも、子や孫のために種を蒔きようんよ」と言って木を植えている。すごいことだと思う。小さくてもいい、キラリと光るものがあることがいい。それが上勝だ。

 その後、賀露おやじの会の藤田さん、鳥大の馬場先生も加わってパネルディスカッションもありました。さらには、環境ビジネスに取り組む皆さんが横石さんにアピールするタイムもありました。



 県庁の防災監を最後に退職され、今は菜の花を育て、菜種油を精製されている岩下さん=写真左端=のお顔もその中にありました。
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