すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

鳥取の住民投票が全国の市民運動に一石

2012年05月23日 | 日記
 住民投票で耐震改修案が大差で支持されたことで、全国のマスコミがこぞって報道をしました
し、それれを受けて、様々なブログでいろんな意見が表明されています。住民投票で民意を問い、市民の判断を示したことを評価されている方が多いように思えますし、同じような課題を掲げた地域が改めてあることを再認識しました。私たちの住民運動が全国のハコモノ行政に一石を投じたことは間違いないようです。中国新聞は「庁舎新築と民意 鳥取に学ぼう」という社説を掲載しています。示唆に富む意見なので長くなりますが、引用します。ご一読ください。

 鳥取市が進める庁舎の移転新築計画がノーを突き付けられた。住民投票の結果である。
 厳しい財政で75億円の建設費は税金の無駄遣い。20億円余の耐震改修で十分だ―。投票の6割を占めた市民の判断は重い。
 条例による住民投票といえば多くの場合、原発や産廃施設、米軍基地の是非を争点にしてきた。庁舎の整備方法をめぐっては異例だろう。庁舎の耐震問題をきっかけに有識者による市の検討委員会が2010年8月、移転新築の構想を示した。市議会の特別委も追認したが、現在地の周辺住民を中心に「民意を反映していない」と反発が広がった。昨年8月、有権者の3分の1近い署名を添えて住民投票を直接請求したものの、市議会はいったん否決する。 ここまでは民意とかけ離れた議会の姿勢として、しばしばみられるパターンだ。
 ただ議会内の力関係もあり、移転新築か耐震改修かを選ぶ議員提案の住民投票条例が成立した。民意を問うことにした議会の対応は一定に評価できよう。条例は「市議会と市長は結果を尊重する」と規定する。投票を受けて鳥取市長がきのう、移転新築を断念し耐震改修を進める方針を示した。路線転換を歓迎したい。
 国と地方を問わず行財政改革の必要性が高まるなか、公共事業のあり方に住民の厳しい視線が注がれるのは当然だろう。一方で、中心市街地の衰退が目立ち商業施設の誘致が思うように進まないため、にぎわい創出効果を庁舎など公共施設に求める向きがある。公共工事の受注減に悩む地元の建設業者が要望するケースもあるかもしれない。平成の大合併で新たな庁舎の建設を計画する自治体もある。その場合、国が返済の7割を肩代わりする合併特例債が「魅力」と映る。鳥取でも費用の大半が特例債で賄えると市側はアピールしていた。
 しかし住民は維持管理に費用がかかるハコものの建設に疑問を抱いている。特例債の使途にも民意を反映させるべきだ。鳥取に限らず、各地で庁舎建設問題がくすぶり続ける。
 三原市では駅前から百貨店が撤退した跡地に市庁舎と民間の複合施設を計画。市議会で賛否が分かれ、市民団体による反対運動も起きている。広島県海田町は役場の移転先をめぐり町長と議会の多数派が対立。広島市との合併をめぐる確執が背後にあるとも指摘されている。
 もちろん庁舎新築がすべて一律に否定されるべきではなかろう。東日本大震災を契機に防災拠点としての役割も従来以上に求められている。無残な被災庁舎を見れば、建設場所を選ぶにも新たな条件が加わると実感する。必要な計画であれば、自治体全域をカバーする地域の将来ビジョンを示したまちづくりを視野に入れて、住民に理解と同意を得なければなるまい。仮に移転するとしても、近隣の関連施設と連携し効率的な運営を図るなど工夫が要る。代議制民主主義が原則とはいえ、首長と議会の意向だけであらゆる課題に結論を出すわけにはいくまい。民意を直接問う仕組みをもっと生かしたい。
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