すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

六月議会一般質問① 壇上からの質問

2012年07月24日 | 日記

 六月議会では地酒の振興策と題して、質問をさせていただきました。私はお酒が好きです。趣味と言ってもいいと思います。ベルギーにはビールを飲むためだけに1週間行ってきましたし、アメリカのナパバレーのワイナリーを訪ね歩いたこともあります。四川省では紹興酒の向上を見学してきました。その土地、その土地の食材には、その土地、その土地のお酒があり、そのマリアージュこそが、食文化なのだと思っています。鳥取の清酒は本当に美味しい。なにより、蔵元の皆さんが情熱をかけて、真面目に酒造りをされています。それなのに、酒の販売量は減り、醸造を止める蔵元が増えています。そして、その構図は他の伝統産業でも同じです。そこで、今回の一般質問ではテーマを「地酒」にしぼり、一時間にわたって質問させていただきました。

 ○3番(砂場隆浩君)(登壇、拍手)会派「かけはし」の砂場でございます。一般質問もあと2人となりました。きょうは、通告に従いまして「食のみやこ鳥取県」は本物か、地酒を通して議論をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 「食のみやこ鳥取県」。いい発想だと思います。地域の食を通じて県民の皆さんと誇り、それから地域への愛情を醸成するアイデアとしては非常にいいと思いますし、それが食のみやこ推進課までつくられ、着実に歩まれていることは評価をいたしますが、この将来ビジョンを見ますと、米、シイタケ、ナシ、スイカ、鳥取和牛、大山赤ぶた、鳥取地どりピヨ、魚など出てきませんが、地酒が出てまいりません。確かに飲酒運転や未成年の飲酒は論外であります。ルールは守らなければなりませんが、大人の楽しみであり、そして文化であるお酒をもう少し大切にしていただいてもいいのではないかと思います。

 

現在、今、鳥取県がどういう状況か考えてみたいと思うのですけれども、皆さんの手元に、議長のお許しを得て資料を配らせいただきました。それをレジュメとして進めます。

 2ページを見て下さい。県内の酒量の販売量ですが、1997年には4万 7,950キロリットルあったものが2010年には4万 2,377キロリットルと11.6%減っております。日本酒で見ますと、1997年は22.9%、 8,940キロリットルであったものが2010年には 4,337キロリットル、約半分以下になりまして、占める割合も14.4%です。

 次に、3ページのグラフを見ていただければ、日本酒だけを取り上げたものですが、いかに少なくなったかわかると思います。

 4ページは、それに伴いまして酒造免許状の数がどれだけ減ったかです。2009年は23ですが、現在は19にまで減っております。

 私は、酒造業は鳥取の宝だと思っています。地域の伝統産業であり、地域の伝統文化ですけれども、清酒の三要素こそが鳥取の宝だと思います。清酒の三要素は、水、米、人です。鳥取の水は、きょうの午前中に福間議員が議論されましたように、本当にいい水です。ミネラルウオーターの生産高が全国3位であることからもわかります。そして、鳥取の米は、後で述べますが、強力や鳥姫などブランドの酒造好適米があります。日本は弥生時代、大陸から米が渡ってきて文明が花咲きました。そして、池田家は32万石と、米の収穫量で領地を示します。外国は何エーカーみたいな面積で示していて、これから見ても、いかに日本人が米を大切にしてきたか、そして米の酒である清酒を大切にしてきたかがわかると思います。そして、鳥取の人がつくります。蔵元、杜氏、そして蔵人ですが、昔は出雲杜氏、但馬杜氏がほとんどでしたが、今はほとんど社員が杜氏になっておりますし、家族経営ですから息子さんや娘さんがお酒をつくっておられます。酒を醸すことは地域の誇りを醸すことだと思いますし、客観的に見ても鳥取の酒は鳥取の宝であると思います。

 次、6ページを見ていただきたいのですが、酒造好適米の比率は、鳥取県は 72.68%で全国で1番です。ほかのところ、例えば酒どころと言われている伏見や灘があります兵庫県は 12.45%、京都は9.54%です。いかにいいお米をつくっているか、これがわかると思います。右を見てください。精白ぐあいですけれども、大吟醸が50%以下、吟醸酒は60%以下、本醸造は70%以下ですが、鳥取県は59.9%まで米を磨き上げます。全国平均が67.1%であることから比べても、よくわかると思います。兵庫、京都は73.1%、73.3%です。それから米1トン当たりのアルコール使用量ですが、鳥取は何と67リットルしか入れていません。全国で5位です。全国の3分の1しか入れていません。米だけでしっかりとした酒をつくっているのが鳥取のお酒です。そして日本酒度ですが、 1.4からマイナス 1.4が普通です。 5.9から 3.5ぐらいが辛口、6を超えると大辛口ですが、何と 6.2で2位です。1番は高知の 6.4です。そういう意味でも、非常に特色のある酒をつくっています。

 私は、鳥取の酒は鳥取の宝として「食のみやこ鳥取」でも、言葉にはありませんが、その中で位置づけて、しっかり支援をしていただきたいと思いますが、知事、いかがでしょうか。

 次は、農商工連携の理想像を酒造好適米で実現をしていただきたいという思いから質問いたします。

 実は昨年ですけれども、鳥取県は山田錦の種もみを熊本県から買っていますが、出荷しないという連絡があり、大騒ぎになりました。原々種は兵庫県がもちろんお持ちです。担当課は兵庫県やJAとかけ合って種もみを確保しようと努力したそうですが、かないませんでした。結局、蔵元さんや栽培農家が走り回って、やっと確保したそうです。今、県は種もみが異種交配しないように抜き取りなどの協力はされているそうですが、やはり県民が困ったときに支えてこその県ではないでしょうか、行政ではないでしょうか。そういう状況になっても蔵元や栽培農家を県の職員が訪ねることは少なかったと不満をお聞きいたしました。酒造業界が小さい業界だからなのでしょうか、それとも食のビジョンの中、県の将来ビジョン「食のみやこ鳥取県」に書かれていなかったからでしょうか。

 ところで、この問題は知事のもとに報告上がっていたのでしょうか。私は、この問題は小さい問題ではないと思いますので、答弁を求めます。

 次、8ページを見てください。鳥取県で酒造好適米として栽培されているのは玉栄、五百万石、山田錦、強力、鳥姫の5種類です。このうちの強力は大正時代、県の奨励品種であったものなのですが、これが戦後消えまして、昭和61年、鳥大農学部で一握りにも満たない種もみが保存されていることがわかり、これを復元したものです。鳥取県以外に強力は出しておりませんし、3年ごとに種もみも更改しておりますので、非常にしっかりと県民の皆さんが支えている米です。鳥姫は1996年に五百万石系列の神の舞に玉栄を交配して鳥取県でつくられたものです。いずれも、やはりいい米だと思っています。ブランド酒米競争が今、全国で行われている中、この2つの酒造好適米は、すごいものだと私は思っています。生産が安定するように、また蔵元が使いやすいように補助金を出すなど、何か思い切った支援策を講じていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 もう1つは、酒蔵の後継者の問題です。手仕事担い手育成事業というのがありまして、県は2分の1補助をされています。非常にいい制度だと思いますが、研修生の現状で言いますと、これまで14人の方がこの支援事業を受けて修行をなさいましたが、就業された人は7人、未就業者は7人で、現在2人が修行中です。杜氏分野ではお一人が、この分野で研修をされました。

 私は、問題なのは、この制度そのものはいいと思うのですけれども、事業の実施要綱の中に、研修受け入れ先の代表者の3等親以内の直系親族以外の者という1項が入っていることです。今回、蔵元7つ、みんな訪ねました。みんな家内清酒工業のような小さな小さな家族でのお仕事です。そして、陶芸や竹細工なども家内的にされているところがほとんどです。本当に担い手を、地域の産業を守ろうというのであれば、この1項の条項を削除をしていただくことはいかがでしょうか。やはり、家族であっても東京で働いている、大阪で働いている子を、会社をやめさせて後継ぎにしようといったときに、では帰ってきたらすぐ売り上げが上がるというわけではないのです。そういう意味では、やはりこの条項を外していただいて、家族であっても支援が受けられるようにしていただきたいと御提案をしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 もう1つは、地理的表示の保護制度の提案です。一番有名なのはシャンパンだと思います。シャンパーヌ地方でつくられたブドウで、瓶の中で2次発酵したものだけがシャンパンということができます。あとはスパークリングワインになります。これについては、国はもう既に検討を始めておりまして、2010年に閣議決定をして検討を始め、昨年10月には保護制度を導入するというふうにしております。この中では、鳥取県では鳥取砂丘、ラッキョウ、鹿児島県の黒酢などが候補として上がっています。では、県で見ますと、「食のみやこ鳥取県」では、推進サポーター制度というのがありますが、これは登録をすればだれでもなれますし、推進三ツ星サポーターについても、生産者であれば年2回以上の対面販売や年2回以上のPRイベントに参加すればいいということになっています。基本的には、このサポーターというのはPRサポーターでありまして、ブランド化には余り役立たないのではないかと思っておりますので、新しいそういうブランド化のための制度を考えたらいかがでしょうか。

 我が国の中にも、WTO協定に基づくTRIPS協定で、地理的表示に関する表示基準というのは国税庁が告示をしておりまして、壱岐しょうちゅう、球磨しょうちゅう、泡盛、琉球泡盛、薩摩じょうちゅう、それから白山の清酒が指定をされております。これも一つ検討に値するのではないでしょうか。

 諸外国の例を見れば、アメリカが証明標章制度を導入しています。12ページを見ていただければわかるのですけれども、このカウボーイみたいなこのマークですけれども、これはアイダホ州ポテト委員会から認証を受けなければ書くことができません。アメリカでは、このほかマウイタマネギ、インディアナ州牛肉、 100%ハワイコーヒーなどが、この制度の認証を受けています。

 この制度では、フランスのAOCが有名ですけれども、EUでは、このAOCをベースとして今、PDOとPGIと2つの制度があります。簡単に言うと、PDOのほうは、生産、加工、調整のすべてが特定の地域内で行われなければなりませんが、PGIについては生産、加工、調整のいずれかが特定の地域内であれば大丈夫です。皆さん御存じのロックフォール、チーズですね、青カビの。ちょっと僕は苦手なのですけれども、これはロックフォール・シュール・スールゾン村の牧草で育てた羊の生乳を使って、村の洞窟の青カビで、村の洞窟で最低3カ月熟成したものがこれに当たります。

 では、使ってみたらどうかというと、次の14ページを見てほしいのですけれども、ブレス鶏は農家額でほかの鳥に比べて 4.6倍の値段がついていますし、小売価格では 3.7倍です。トスカーナのオリーブオイルも約2倍、それからノン渓谷のリンゴはトレンティーナ州のほかのに比べて 1.7倍の値段がついております。そういう意味では、ブランド化を進めるのでは非常に有効だと思います。

 確かにいろいろな難しい問題もあります。余り厳しくしてしまうと指定ができませんし、緩くしてしまうとブランド化になりませんので、そういう調整などさまざまな問題はあると思いますが、鳥取県版の産地呼称制度導入の研究を始めてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。

 最後の質問は、まんが博で、この地酒を全国発信、世界発信できないかということです。北東アジアの地方政府サミット、本当にお疲れさまでございました。成功だったと思います。ですが、そのレセプションなのですけれども、壇上には鳥取の酒と書かれたたる酒が置かれて、おお、やるなと思ったのですけれども、乾杯をますでやったのはメーンテーブルだけでした。あとは大手ビール会社のビールでした。韓国、中国、ロシア、モンゴル、たくさんのお客さんがおられるのですから、皆さんに楽しんでいただけたらと思いました。しかも、そのあとのうたげで供されたのは、外国産のワイン、県外産のしょうちゅう、大手会社のウイスキーでした。

 次、15ページを見ていただけたらいいと思うのですけれども、海外客へのレセプションで提供された地酒の一覧でございます。確かに中国美食協会の来県のときには、さまざまなお酒が出されましたが、それ以外はこれでいいのでしょうか。

 福寿海の上撰が出されていますが、中川酒造さんは強力の栽培に力を入れておられ、純米酒づくりにしっかりと力を入れておられます。それがなぜ上撰なのでしょうか。担当者にお聞きすると、経費の問題だと言われました。エンジン01のレセプションでは谷本酒店の谷本さんを中心になって地酒コーナーがつくられたそうです。太田酒造の陽子さんたちも出て、鳥取の酒をPRしてきたとお聞きしました。

 今回、鳥取県東部にある7つの蔵元さん全部にお聞きしたのですけれども、県が本当にそういうチャンスをつくってくれるなら、1本の値段で2本を出してもいいです、原価で出してもいいですなど、皆さん、そういうお声を聞きました。しかし、県の職員が蔵元さんたちにそういう提案をされたことはなかったそうです。レセプション会場の外で直販コーナーを設けるなど、移動酒販免許を持っている酒屋さんに来てもらうとか、直販免許がなくても注文を受けることはできるのですから、そこで注文の受け付けコーナーをつくるとかそういう、県が、1本でもいいから皆さんのお酒を売りますよ、こういう思いを蔵元の皆さんにも、そして消費者の皆さんにも示すことが大事だと思いますが、知事、いかがお考えでしょうか。お答えをお願いをしたいと思います。

 それともう1つ。実は鳥取のお酒が漫画にはよく出てくるのです。これが「美味しんぼ」という漫画ですけれども、「美味しんぼ」で日本酒新時代というコーナーがあるのですけれども、鳥取の日置桜が紹介されています。それから「夏子の酒」には何回も出てきます。

 これは上原浩先生がこの主人公の一人になるのですけれども、甲州屋さんという池袋にあるお酒屋さんですけれども、児玉光久さんという方が経営されて43歳で亡くなったのですけれども、その逸話が出ていまして、売れない酒は社会の迷惑ですとして諏訪泉が出ています。これは、こんなにいいお酒をつくって、どうして売れないのかという、児玉さんの叫びを描いたものです。それから、もう1つは、同じ諏訪泉ですけれども、諏訪泉の鵬も出てまいります。こうじというのは大体37度でつくるのですけれども、鵬は47度でこうじをつくります。そのときに名作鵬を生んだ諏訪泉という形で紹介されています。非常にいろいろなところで、漫画で鳥取の酒が出てまいりますので、ぜひともまんが博覧会、マンガサミットの会場には、そういうコーナーも設けていただき、またレセプションもたくさんあるでしょうから、しっかりと地酒をPRしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 以上で壇上からの質問を終わります。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 六月議会一般質問② 知事の答弁 | トップ | 「水俣病救済救済申請締め切... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日記」カテゴリの最新記事