すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

メタンハイドレート講演会

2013年08月19日 | 日記

 メタンハイドレート等海洋資源開発の講演会が16日、とりぎん文化会館であり、参加させていただきました。メタンハイドレートの開発を中央の大手資本に頼らず、地域の手で進めるべきだというのが、私の持論であり、県議会の本会議で何度も取り上げてきたテーマです。鳥取環境大学に専門講座を設けるなどの提言をして参りましたが、平井知事は「議員は気忙で……」と方向性は一致するものの、スピード感や手法論との違いを感じているとことです。現在、松本先生たちによる日本海での海底調査も本格化しており、今のようなスピード感でいいのかという不安感を持って聴講に駆けつけた次第です。 

 最初の講演は日本海洋掘削(株)の市川祐一郎社長で、「我が国のメタンハイドレート開発について」の演題でお話をいただきました。以下はその概略です。

 

 昨日は吉岡温泉に泊まったが、熱いお湯だった。地熱発電なども考えたらと思った。今日は我が社が25年くらい取り組んできたメタンハイドレートについて話そうと思う。我が社は資本金は75億円。331人の社員のうち鳥取県出身は私1人。鳥取県の人も出てきて欲しい。掘削リグなど世界各国で石油や天然ガスを探している会社です。

 海洋掘削リグは海底に柱を立てるジャッキアップ型、半潜水のセミサブルマシーン型、掘削船のドリルシップ型の3つのタイプがあります。ジャッキアップ型は150メートル程度、あとの2つは8000メートルくらいの推進で、海底から5000メートルの深さまで調査できるので、1万2000メートルの深さまで調査できます。

 メタンハイドレートは低温、低圧の条件下でメタンガスと水の分子が結合した結晶体。1㎥のメタンガスとには170㎥のメタンが含まれています。海底坑口やパイプラインの中で生成される中を詰まらせるやっかいものとして考えられてきました。海底では500メートルより深いところか、地上では寒く、高圧のところで確認されています。2003年時点では和歌山や四国の沖、北海道の沖などで確認されていましたが、2009年になるとBSRの解析で、北陸、山陰沖、南西諸島などでも存在の可能するのではないかと思われるようになりました。東南海トラフだけで日本の天然ガスの消費量の5年分はあり、日本全体では100年分とも言われています。

 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21)を設立して、開発計画が始動しています。2001年から陸上の産出試験を始めました。フェーズ1は資源量評価、生産手法開発、環境影響評価の3グループに分かれ調査しています。東部南海トラフ(静岡沖~和歌山沖)をモデル海域として研究を進めています。メタンハイドレートは海底の直上、海底の泥層、砂層の中(集積体)では形で存在しています。

 メタンハイドレートは加熱、または、減圧することで、気体化しますので、この性質を利用して陸上産出試験を実施しています。カナダ・マッケンジーデルタで実験していますが、泥沼が凍結する冬期しか採掘実験はできません。坑内に温水を循環する加熱法で日産500㎥を生産できました。次に同じ場所で、水を組み上げて坑内を減圧する方法で、日産2400㎥に成功しました。これがフェーズ1です。

 フェーズ2では、海洋産出試験に取り組みます。地球深部探査船「ちきゅう」を使って、今年1月~3月、海底300メートルのMH層から減圧法で、日量2万㎥を算出しました。でも、日量はこの10倍、100倍ないと経済性は達成できません。今後2,3年でリグを立てて、本格的な試験を実現したい。

 20年後、30年後の日本の姿を夢見ながら長期戦略としてメタンハイドレートを組み込んでいきたいと考えています。リグの使用料は1日あたり、ジャッキアップ型の旧式で700万円~1300万円、新式で1500万円~2500万円、セミサブマーシブル型の旧式で2000~3000万円、セミサブマーシブル型の新式、ドリルシップ型で5000万円~6000万円です。これでは100日で50億円になってしまいます。大量の資源量がないとペイしないのです。経済性を向上させることがこれらの課題となります。

 鳥取県沖のメタンハイドレートについて、存在の可能性はあります。しかし、大規模に存在する可能性についてはわかりません。現在、調査されている松本先生の研究を待たなければいけません。ガスの生産量、その経済性はまだまだわかりません。この調査には相当の予算を覚悟しないといけません。日本海側は五県共同で進めると聞いています。埋蔵量などの調査はしていかなければならない。ご健闘をお祈りしたい。

 会場からいくつかの質疑がありました。私も以前、松本先生が期待されていた表層型の開発のについて、その可能性をお聞きしました。

 市川社長は「表層型は産出させるのが難しい。採掘技術が開発されていない以上、当社は資源開発の対象にしてない。日本海側にも砂層の集積型も存在している。開発するのなら、こちらの方でははないか」と否定的でした。

  次の講演は経済産業省資源エネルギー庁資源燃料・燃料部の堀琢磨課長補佐が「新たな海洋計画の策定と海洋資源に関する取り組み」というテーマでお話いただきました。以下は講演の概略です。

 鳥取の戦国大名である亀井茲矩公は干拓事情と共に貿易通商に力を入れ、長崎に朱印船の出張所も設けたほどでした。池田藩も御船手組という水軍組織を設けています。これが平時には行政組織化して、海洋行政を担当していました。このように海洋政策を鳥取県は続けてきたんです。そこで、今日は海に皆さんの目を向ける話をしたいと思います。

 新しい海洋基本計画が今年4月に閣議決定されました。計画年度は29年度までは続きます。平成19年には海洋基本法が制定されました。これには6つの基本理念と12の基本政策が定められ、初めて海洋基本計画が平成20年に制定されました。

 新海洋基本計画では海洋国家の目指すべき姿として4つの柱が明記されました。①国際協調と国際社会への貢献②海洋の開発利用による富と繁栄③「海に守られた国」から「海を守る国」へ④未踏のフロンティアへの挑戦です。

 今後、海洋エネルギー・鉱物資源調査を加速させていきます。メタンハイドレートは、砂層型の開発を中心に、日本海側を中心に存在が確認された表層型についても分布調査をしていきます。石油・天然ガスは、基礎物理調査などを進めていきます。 海底熱水鉱床は、試掘試験機を作成し、沖縄海域で調査を続けていますが、約340万トンと資源量を推定しています。海のレアアースは南鳥島周辺で賦存状況を調査しています。マンガン団塊は、ハワイ南東沖の鉱区を取得、コバルト・リッチ・クラストは南鳥島の南東600キロの公海で、鉱区を取得しています。

 再生可能エネルギーも、洋上風力だけでなく、波力、潮力の開発も進めます。潮力は月の力で発生するもので、計画的に取り組めます。

 ネットワーク、つながり力が大事になるでしょう。全国へ、世界へ広がると知恵を得ることができます。海に目を向けるということも大事です。江戸時代から脈々と続く、池田藩の海洋政策を続けんです。実は県立図書館に行ったんですが、鳥取の海の話の本がないんですね。多様な視点で、海を見直すことが大事ではないか。物語性というか、ストーリー力も大事。その3つのメッセージを大事してくださいとお願いして、私の話は終わります。

 会場からは「表層型は可能性がないと市川社長の話はがっかりしました。表層型への開発へ力を入れて欲しい。太平洋側より日本海側の方が浅い。これはメリットではないか。知識を集約して欲しい。日本中に散らばっている技術を持つ会社から、知恵を集結すべきだと思う。どこの企業がではなく、資源エネルギー庁が音頭を取って、予算もしっかり付けて、頑張ってください」という意見も出されました。これに対して、堀課長補佐は「「知恵の結集は大切なこと。いろいろあると思う。墨田区の地場4社が『江戸っ子』という海洋調査の会社を作った。大阪が宇宙なら、東京は海というわけです。ご期待に装用頑張ります」と話されました。

 最後に生活環境部から「知事の記者会見で『8月上旬から10月にかけて日本海で国の海洋調査が実施される』という発言がありましたが、これは明治大学を中心とする通常の学術調査です。また、この会見で、試掘という表現を用いいましたが、敷津は資源量が確認した後にすべきもので、学術調査では使いません。訂正して関係者にお詫びしたい」と発言があり、さたに「メタンハイドレートに興味関心がある方は、メタンハイドレート研究会を設置するので、希望される人は参加してください」との呼びかけもありました。

 

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