すなば たかひろ

「元気で人に優しい鳥取」を取り戻すため、県議になった元新聞記者の挑戦記。みんなで鳥取の未来像を考えましょう!

知事に会派要望を提出(2)

2012年01月18日 | 日記
会派要望書は要求内容だけなので説明書を添付しました。要望書は知事、副知事、統括監、財政課長と面談して、じっくり説明をし、何とか実現して欲しいと強く訴えましたが、直接の担当部署にその熱意を伝えたいと、今回からの試みとして提案の背景、全国の状況などを説明した説明書を添付することにしました。一読いたただければ幸甚です。

◆今回、新規に要望する事項
【危機管理局】
(1)原子力防災専門職員の採用
鳥取県は昨年12月25日、境港市、米子市と共に中国電力と「島根原子力発電所に係る鳥取県民の安全確保等に関する協定」を締結されました。まず、この御努力に敬意を表します。本当にご苦労様でした。
鳥取県内を含む周辺地域住民の安全確保がすべてに優先すると前文で確保した上で、安全確保を責務(第1条)とし、情報の公開(第2条、第8条)などを協定という形で法的な責任を中国電力に認めさせたことは大きな前進でありました。残念ながら、「事前了解」とすべきところが、「報告と意見の開陳(第6条)」、「立入調査」が「現地確認(第11条)」に留まっています。今後、改定のさらなるご努力をお願いしたいと思いますが、同時に、鳥取県が中国電力の報告に対して的確な意見を述べ、現地確認に赴いた県職員が正確に事態を把握し、即座に県民の安全を確保するための意見を中国電力に伝えることができれば、「報告と意見」は「事実上の事前了解」に、「現場確認」は「事実上の立入検査」になります。加えて、防災対策区域が拡大されれば、島根原発のオフサイトセンターに県職員を派遣する事態も想定され、原子力発電所の危機管理に精通した専門家が必要となります。
島根原子力発電所では3号機の運転開始が迫り、国が運転開始から40年たった原子炉は廃炉にする方針を打ち出したことから、稼働38年の1号機の廃炉問題も急浮上しています。これらの報告が中国電力から出されたときに、鳥取県として的確な意見を出せるよう準備を始めることは鳥取県にとって焦眉の急です。県として担当職員の採用も予定されていますが、高度な原子力防災の専門知識を持った有能な人材を配置できるように厚遇を以て、採用していただきたいと思います。

(2) 米子・境港を西日本の防災基地にする研究会設立
 東京都では都庁と立川防災基地に防災センターを設置し、首都直下型地震に備えています。二カ所に防災拠点を設けたことで、いずれかのセンターが被災しても、被災情報の収集、分析、審議、決定を支障なく続けることができるからです。鳥取県においても、県庁に加え、県西部に防災センターを設けることが必要だと考えます。米子市には県西部総合事務所、陸上自衛隊の駐屯地、JR支社、米子警察署、DMATや救命救急センターを持つ鳥大医学部付属病院があり、境港市の米子鬼太郎空港には航空自衛隊と海上保安庁航空隊があり、境港には大型船が接岸できる岸壁のほか、海上保安部もあり、防災関係機関が揃っていると言っていいでしょう。会派の森岡幹事長が6月議会でパラダイムシフトとして提案したように、立川防災基地のように日本赤十字や内閣府の災害備蓄倉庫を誘致し、各機関を県内だけでなく、東日本及び西日本の太平洋岸や瀬戸内側が被災したときに支援する国家級の防災基地にするための研究会を立ち上げ、検討を始めていただきたいと思います。

(3)災害時通信網の確保
県は厚生労働省が主導する広域災害救急医療情報システム(EMIS)に加入し、22年度予算で整備予算1914万円を予算計上し、衛星携帯電話の整備なども進められてはいます。東日本大震災では、発災6分後に災害医療センターに設置されたDMAT事務局と、災害拠点病院でありながら岩手県で6病院、宮城県で1病院、福島県で2病院が翌日まで連絡がつかなくなり、電話回線やインターネット回線の断裂により、EMISとの接続が一時不能になりました。EMISは災害時の情報収集や救命救急活動に大きな役割を果たすと期待されて、鳥取県でも導入されたものですが、接続ができなければ何の役にも立ちません。衛星携帯電話は音声による連絡だけでなく、EMISの災害時運用のために、衛星経由で通信回線が確保できるよう複数台の設置を進めていただきたい。加えて、一般病院にも順次、衛星携帯電話の設置が進むような支援制度を導入すると共に、診療所など小規模医療機関も発災時は一次救急の対応をしていただくことになるので、NTTと連携しながら受発信抑制から除外される災害時指定電話に切り替えていていっていただきたいと思います。

【福祉保健部】
(4)「鳥取発!農福連携モデル事業」の充実
「鳥取発!農福連携モデル事業」は、「ふるさと雇用再生特別交付金」を活用して4134万円の事業費で2年間実施されました。障がい者を労働力として受け入れて良い農家と農業に取り組んでみたい障がい者をマッチングするこの同事業を利用して22年度は99件4083人が就労し、障がい者が可能な農作業のリスト化が一定程度できたほか、障がい者に農業はできないという思い込みが薄らぎ、農家の障がい者に対する理解が進んだことは高く評価できると思います。この点を考慮され、23年度は9月末までの就労数は36件1679人で、このまま推移すれば、約2割減少と苦戦していますが、交付金事業が今年3月末までに終了したとしても、福祉保健部の概算要求通りの予算を確保し、単独事業として継続していただきたいと思います。
農福連携の着地点は、事業所が自ら農業経営に乗り出し、自立できる収入を障がい者が得ることができるところです。マッチング事業は、今は意味が大きいと思いますが、農家から農作業を就労系障害福祉サービス事業所が受託しているだけでは、事業所は農家の下請けに止まり、最終形ではありません。農作業受委託のマッチング事業に加え、事業所自らが自立して農業を営むことができるような事業所自立支援のマッチング事業にも取り組むべきではないでしょうか。具体的には、事業所が耕作放棄地や耕作者が高齢化して耕作を止めようとしている農地を取得したり、賃貸借したりすることができる農地譲渡のマッチング、豊かな経験や知識を持ちながら自ら耕作することが辛くなった農業従事者、退職した農業普及員や農学者、JA職員を事業所の指導者として紹介する人材のマッチング、県の東京事務所や大阪事務所がデパートやスーパーと事業所を繋ぐ販路のマッチングへとシフトすべきと考えます。そして、販売店への直接出荷、農産物を加工してからの販売など付加価値の高い農業を事業所が取り組めるようになれば、障がい者の給与は増やすことが出来ると考えますので、ご検討をお願いしたいと思います。

(5)障がい福祉サービス事業所ハートフルサポート事業の拡充継続
就労系障がい福祉サービス事業所の運営支援を目的とした「運転設備資金融資制度」は昨年度6件実施され、特定非営利活動法人「鳥取青少年ピアサポート」が鳥取市役所交差点角にケーキショップnononaをオープンするなど、成果が現れ始めています。また、就労系障がい福祉サービス事業所の新商品開発の支援を目的とした「新商品開発支援事業補助金」は、22年9件726万6千円の補助金を給付し、その結果、特定非営利活動法人「夢ハウス」が点字名刺の製造販売をスタートさせるなど、こちらも着実な成果を生んでいます。両事業とも地味ではありますが、非雇用型のB型事業所が、雇用契約を結ぶA型事業所へ転換し、あるいは、障がい者お一人お一人のニーズに合わせた福祉作業所として自立したB型事業所として自立した運営をしていただくためには、下請的、あるいは、家内内職的な作業から脱皮し、独自製品を開発し、製造販売していくことが重要と考えます。2012年度予算案の概算要求では22年度13件に助成したにもかかわらず、10件分しか請求されていません。思い切って限度額や助成額を拡充して継続していただきたいと思います。
工賃(この言葉は使いたくないのですが……)3倍計画のモデルケースとして、よく取り上げられる富山県のフェレスト八尾会は、和紙を使った葉書や栞、アイスクリーム、割烹着やエプロン、さらにはペットボトル入りのお茶など、実に多種多様な独自製品を製造販売されており、お手本にしたいと思います。また、高知の「ワークスみらい」は、オリジナル製品であるケーキとどら焼きがヒットして年商は6億5千万円で、120人の障がい者を雇用しています。大事なことは、フォレスト八尾会やワークスみらいのように、いくつもの独自製品を開発し、販売し、そして、その中から消費者と共に売れる商品を選択していくことです。ところが、両制度とも使えるのは県の現行制度では1回きりです。独自製品の開発は二矢、三矢を放ってこそ、はじめてヒット商品は生まれます。そして、とりあえず一回だけ挑戦したみた事業所よりも、何度も何度も新製品開発に取り組み、何とか自立を目指す熱意ある事業所こそを支援して頂きたいと思うのです。「Heaven helps those who help themselves.」とも言います。新商品開発支援事業補助金を、同一事業者が新たな開発に取り組む場合は、複数回給付を受けられる制度へ改善していただきたいと強く求めます。

【未来づくり推進本部】
(6)第30回地域づくり団体全国研修交流会鳥取県大会の支援
 9月29、30の両日、主会場を倉吉未来中心、分科会が県内11市町で開催されます。この大会は全国の地域づくりのリーダーが集まるコンベンションという魅力だけでなく、そんなリーダーたちが県内各地で、県内で地域づくりに頑張っている人たちと交流することになり、地域にいい刺激を与えるだろうと期待されています。しかしながら、その一方で、中途半場なものとなると、集まるのが情報発信力を持っている地域づくりのリーダーたちだけに「鳥取の地域づくりはなってない」と全国に広まってしまう恐れもあります。現在、鳥取県地域づくりセンターを中心に各市町で準備が進んでいますが、各市町によって支援の温度差があり、課題を抱えた分科会もあると聞いています。県による財政的支援に加え、各種の県が持つ「県政だより」や「とっとりNOW」などの媒体での宣伝、東京・名古屋・大阪の各本部による誘客活動のほか、関係各部による積極的な支援に取り組んでいただきたいと存じます。

【病院局】
(7)県立中央病院の長期ビジョン策定
 県立中央病院は千代川河口にあり、県の津波予想でも堤防を越えて海水が病院に迫る可能性が指摘されています。災害拠点病院が、津波被害が想定される河川河口に位置することだけでも県民は不安を覚えると思いますが、加えて、災害で電力の供給が途絶えたとき、非常用電源装置が地下階にあるため、海水が堤防を越えて地下階が浸水すれば、非常用電源装置は機能せず、人工心肺などの機器に電源の供給ができなくなり、患者の生命が危険にさらされることになります。しかも、耐震工事は完了したものの、その耐久性は10年程度という設計であり、非常用電源装置を屋上等へ移設することも耐震構造上、無理があると聞いていますので、中央病院の周囲を高い防波堤で囲って現在地で新築するか、移転新築するかの検討は避けられません。中央病院は鳥取県の第一次医療圏、県東部の第二次医療圏にとっては基幹病院であり、県全体あるいは県東部の医療をどうデザインするかとう視野に立って、長期ビジョンの策定を始めていただきたいと思います。また、災害は明日発災するかもしれません。当面、非常用電源が浸水で使用できなくなった場合に備え、屋上に太陽光発電システムか、エコファームなど代替電源の設置を検討していただきたいと考えます。

【未来づくり推進局】
(8)「まんが王国とっとり」推進のため、明治大学マンガ図書館の分館を誘致されたい。
 2012年度は、まんが王国とっとりの建国イヤーです。県内には水木しげる記念館や青山剛昌ふるさと館がありますが、全国には長谷川町子美術館や三鷹ジブリの森ミュージアムなど、たくさんの美術館、博物館があり、人気を集めています。国際まんが博覧会に合わせ、全国のまんが博物館、美術館明治大学は全国最大規模をほこる東京国際マンガ図書館を2014年に開館させますが、その分館を鳥取県に誘致し、まんが王国とっとりのシンボル的施設にしていただきたいと思います。

(9)「温泉王国とっとり」の建国
 関金温泉が昨秋、三朝温泉に加えて名湯100選に選ばれました。名湯百選は、NPO法人「健康と温泉フォーラム」が、温泉療法医が薦める温泉として選定するもので、79件が指定されています。診療所として存続が決まった岡山大学付属医療センターとも連携しつつ、「現代の湯治場」として地域資源として全国に売り出すためには的確に利用者のニーズを把握することが大事です。男性会社員が団体で賑わった時代から、家族や小グループで温泉を楽しむ時代へと移行しまたが、県内の各温泉地は、この変化に十分に対応しているとはいいきれません。まず、現状を把握することから始めるべきです。県内各温泉施設の利用者へのアンケート調査を実施し、ユニークなオンリーワンの振興計画を策定していただきたいと思います。そして、様々な振興策を実現し、観光客の誘客を進め、「温泉王国とっとり」を建国していただきたいと思います。

(10)新設腎センターの充実
 腎移植に関する相談や支援、腎不全に対する指導などをおこなう腎センターは2013年度に米子医療センターに設置される計画だったが、福祉保健部が前倒しで2012年度から整備を進めるよう予算要求をしている。改正臓器移植法が昨年7月に施行され、腎臓移植を待ち望んでいる透析患者の皆さんの福音となると期待されたが、脳死者からの移植は思うほどに進んでいない。設置される腎センターが県臓器移植バンクと密に連携し、腎移植手術推進の中核施設として活発に活動できるように支援し、腎センターを患者さんの利用しやすい施設にしていただきたい。加えて、臓器
移植病院、臓器提供病院が増えるよう宣伝活動に努力していただきたいと思います。

【商工労働部】
(11)水産業用大型冷蔵庫の代替フロン機への転換支援制度
 オゾン層を保護するモントリオール議定書の改定を検討するため、ウィーンで1995年に開かれた第7回締結国会合は、フロンガスであるHCFCの生産全廃時期を先進国については2020年までに全廃するよう前倒しすることを決めました。現在、境港で水産関係大型冷蔵庫を持つ企業のうち、5社はNH3など代替フロン冷媒を使った冷蔵庫に更新していますが、27社は現在もHCFCを使用しています。改定議定書で全廃されるのは生産であって、使用までを規制するものではありませんから、2020年までに冷蔵庫を更新しなければならないというものではありませんが、冷蔵庫が故障しても漏れたHCFCの補充ができなければ、継続使用は不可能となります。大型冷蔵施設の改修費は大きな経費が必要であり、各企業への財政的な支援策がなければ境港の水産業の存続にも大きな影響を与えかねないと考えます。視線策が環境イニシアティブの視点及び水産事業継続の視点から、HCFCから代替フロン機への転換支援制度を設けていただきたいと思います。

(12)フィッシュセレクターに防風防寒対策
近年の漁獲減少で漁業生産者は量から質への転換を余儀なくされ、漁獲物の選別による適正価格での取引を希望し、付加価値のある漁獲物は選別機能のある近隣他港(浜田、恵雲、舞鶴等)に水揚げする傾向にありました。そこで、鳥取県営境港水産物地方卸売市場にフィッシュセレクター(魚体選別機)及び付帯装置を設置し、受入販売体制を多様化したのですが、新設されたフィッシュセレクターは、防風防寒設備がないため、長時間にわたる作業環境に適していません。漁業生産者の労働環境を整備することで、水揚量の維持・向上及び高付加価値化による水産資源の有効利用を図っていただきたいと思います。

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