ととじブログ

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神鳥-イビス / 篠田節子

2019-01-25 06:03:53 | 本/文学
神鳥-イビス
著者:篠田節子 (しのだせつこ)
発行所:集英社
集英社文庫
1996年10月25日 第一刷発行

感想文、以下、ネタバレ有り。


「朱鷺(トキ)飛来図」を描いた明治の女流画家、河野珠枝の生涯をテーマにした小説を執筆している流行作家の美鈴慶一郎。
美鈴慶一郎から「朱鷺飛来図」を基にしたカバー絵の依頼を受けたイラストレーターの谷口洋子。

谷口洋子がイラストを描くために現物の「朱鷺飛来図」を見たいという、ごく普通の、あたりまえの動機から、二人の「冒険」が始まる。

舞台は鎌倉、世田谷、新潟、佐渡、奥多摩へと移っていく。
「朱鷺飛来図」を見るためだった冒険が、「朱鷺飛来図」に隠された謎を解くための冒険へと変わる。
謎、「朱鷺飛来図」に描かれている恐怖の意味を、最後の地、奥多摩で、二人は知る事になる。

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時を超え明治の奥多摩に入り込んでしまう…というよりは明治の奥多摩の映像を見せられてしまう…と言いながら襲い掛かってくる朱鷺には実体があり命の危険にさらされるという、わけのわからないぶっ飛んだホラー・ミステリー。
さらに、篠田節子が得意とする民俗学的な要素や、美鈴と洋子のラブストーリー的な要素も盛り込まれ、飽きることなく読み進められる。

ひとつだけ不満を言うならば、問題が解決されないまま、すなわち恐怖から完全に解放されないまま終わってしまっているところかな?
『勇者ヨシヒコ』で例えるならば魔王の城から逃げ出して、必ず倒してやる! で終わってしまった感じ。


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