ととじブログ

書きたい時に書きたい事を書いている、あまり統一感の無いブログです。

漱石忌

2018-12-09 22:13:36 | 本/文学
今日12月9日は夏目漱石の命日。
ということを、岩波書店のツイートで知った。


『三四郎』『それから』『門』を前期三部作、『彼岸過迄』『行人』『こころ』を後期三部作と呼ぶ。
最終作品の『こころ』は日本文学史に残る傑作のひとつとして名高い。
『三四郎』から『こころ』に至り、ある種の文学的普遍性の頂点を極めたと言う事もできる。

しかしながら『こころ』には深刻な欠落がある、と私は思う。
漱石自身が意図的にそうしたのか、そうせざるを得なかったのか、それとも無自覚にそのようになったのか?
『三四郎』から『行人』までは、決して十分とは言えないまでも、それは描かれてきた。
『こころ』ではそれが排除されている、あるいはそれから目をそむけている、と私には感じる。

‘それ’とは、女性。

もっと女性にスポットを当てなければ、と漱石が考えたかどうかはわからないけれど、『こころ』以後、何らかの新しい文学的境地に踏み込もうとして描いたのであろう大作『明暗』。
漱石の死去に伴い、未完となってしまった。

享年49歳。
早すぎる。
せめてあと10年ぐらいは活躍して欲しかったなぁ~と思う、今日12月9日。