こんな本を読んでいる

日々出版される本の洪水。翻弄されながらも気ままに楽しむ。あんな本。こんな本。
新しい出会いをありがとう。

『日本にある世界の名画入門』を眺める

2005年04月27日 | 絵心は無いけれど・・・
 赤瀬川源平さんの『日本にある世界の名画入門』(光文社)を眺めた。何年か前に,ひろしま美術館で買った本だ。名古屋美術館所収のモディリアーニの『おさげ髪の少女』から池田20世紀美術館所収のレジェの『佇む女』までの15の作品が載っている。15作品中3作品,ピサロの『ポン・ヌフ』,ルソーの『要塞の眺め』,シャガールの『ヴィテブスクの眺め』はひろしま美術館所収の作品である。もう,随分前に買った本だが,本棚に飾られているだけだった。

 何気に,パラパラめくって見ると,なんと,例のキリコの『ヘクトルとアンドロマケの別れ』がのっていた。ダリ,エルンスト,ユトリロ。キリコも超現実主義(シュルレアリスム)の仲間だ。で,さすがに赤瀬川さん,わしのような,ええかげんな見方はしない。少し引用する。

  「キリコの絵は夢みたいな世界だけど,物凄くはっきりしている。目の前にあるものは妙なもので,何のことだかわからないのだけど,その妙な物の一つ一つに,手にとるような実感がある。この絵がどういうつもりで描かれたかまるで不明なのに,描かれた物の実感だけは物凄くあるのだ。木材の堅さや,石膏の肌触り,釘の穴の感触,板の厚み,それだけでなく目に映る日差しの眩しさや,皮膚に触れる空気の温度まで,はっきりと,冷静に感じられる。~『日本にある世界の名画入門』(光文社)P122から引用」

 同じ作品を鑑賞しているのにえらい違う。表現力豊かな人はうらやましい限りだ。ちなみに,キリコのこの作品をはじめ,先週のブログでは,トロイしりーずを楽しみ,阿刀田さんの『新トロイヤ物語』をお勧めしたところであるが,阿刀田本をもう一冊お勧。そのもう一冊は『ホメロスを楽しむために』。この作品は,ホメロスにフォーカス。『イリヤス』,『オデュッセイヤ』が中心で,アキレスにも十分スポットが当てられている。特に,オデュッセウスの冒険譚が充実しているのが特徴だ。『新トロイヤ物語』でもの足りなかった人も満足できるでは?  

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